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青景の頁(せいけいのページ)――産声が消えた世界で  作者: 直助


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9/10

明日も同じように

 朝。


 


 目が覚める。


 


 声はしない。


 


 天井だけがある。


 


 しばらく、そのまま横になっていた。


 


 起きる理由はない。


 


 遅れる理由もない。


 


 体を起こす。


 


 顔を洗う。


 


 制服に袖を通す。


 


 上着を持たなくなっていた。


 


 それだけで、季節が少し進んだことがわかる。


 



 食堂。


 


 同じ席。


 


 同じトレー。


 


 同じ味。


 


 向かいの椅子は、今日も空いている。


 


 箸の音だけがする。


 



 授業。


 


 板書。


 


 端末。


 


 チョークの音。


 


 ページをめくる音。


 


 誰かの咳払い。


 



 それだけで、時間が過ぎていく。




 昼。


 


 校舎の窓から、空を見る。


 


 雲が高い。


 


 白い光が、少し強い。


 


 夏が近いのかもしれないと思った。


 


 それ以上は考えなかった。




 夜。


 


 食堂。


 


 部屋。


 


 シャワー。


 


 ベッド。


 


 


 同じ順番で、一日が終わる。


 


 


 何も起こらない。


 


 


 何も変わらない。


 


 


 それなのに、


 


 時間だけが進んでいる気がした。


 



 別の日。


 


 


 洗濯をする。


 


 


 別の日。


 


 


 本を一冊読む。


 


 


 別の日。


 


 


 食堂で、いつもより少し遅くまで座っていた。


 


 


 別の日。


 


 


 明日の時間割を、初めて自分で確認した。


 


 


 小さなことばかりだった。


 


 誰にも気づかれないくらいのこと。


 



 でも、


 


 自分で決めて動いた気がした。


 


 夕方。


 


 部屋に戻る。


 


 


 窓の外が、少し赤い。


 



 どこかで、蝉が鳴いている。


 


 細い声が、長く続いていた。


 


 


 いつのまにか、そんな季節になっていた。


 


 


 机の上に、制服を置く。


 


 


 しわを伸ばす。


 


 


 明日の分のシャツを出しておく。


 


 


 それだけの準備。


 


 


 誰に言われたわけでもない。


 


 


 ただ、そうしただけだった。





 ベッドに座る。


 

 静かだった。


 



 冷蔵庫の音もない。


 食器の音もない。


 足音もない。


 


 


 声は、どこにもない。



 それでも、


 もう、


 少しだけ慣れてしまった気がした。



 電気を消す。


 


 


 暗闇。


 



 目を閉じる。


 




 明日も、


 たぶん、


 同じように朝が来る。


 

 それでいいと思った。


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