表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/25

母の言葉

「あんたはうちの子じゃない!」


なんて子供の頃に何度か母親の口からとびだしたものだ


私は、「それじゃぁわかりましたよ」とばかりに家をでる



私は、頑固だ


それも、どうしようもないほどに・・・


私は、私が間違っていない限り頭は下げない


それは、どんな状況に陥ってもだ



初めて家を出たのは7歳位だった気がする


「うちの子じゃない」なんて言われたら、「おうち」に居るわけにはいかない


そう思って私は家を出た


出た所で、行くところなんてあるわけがない


今さっきまで「おうち」に居たはずなのに、ここは私の「おうち」ではないと言われたのだから


行く当てもなく山を目指して歩いて行く


海は「おうち」から近いので、とりあえず向かうのは山だ


その前に、お父さんのお墓にお参りしてから行く


墓前で手を合わせながら「お父さんは私のお父さんだよね」と確認してから山を目指す


頂上はどこにあるのか分からないけど、道があれば歩いて行ける


きっとどこかに私の「おうち」が見つかるはずだ


そんな気持ちで山道を歩き続けるが、流石に田舎


誰にもすれ違わないまま、夜になってしまう


遠くで、野良犬の鳴き声が聞こえたり、フクロウの声におびえながらも歩き続けた


季節は夏を少し越えたあたりだったから、食べるのものには困らない


なりかけの果物を見つけては木に登り、湧き出る水を飲んで喉を潤す


順調に山を登り続けていたのだけど


3日目にとうとう、お巡りさんに捕まった


もと「おうち」まで連れてこられて、もと「お母さん」がお巡りさんに頭を下げている


もと「お母さん」が「何を考えているの!」なんて怒ってはいるが


今はもう「よその人」なので、怒られる意味は分からなった


私は「ここは私の「おうち」じゃないなら、あなたも私の「お母さん」じゃないでしょ?私は新しい「おうち」と「家族」を探しているだけです」と言ってやったら、泣きながら殴られた


ゲセヌ・・・


お巡りさんが困ったようにとりなしてくれて、もと「お母さん」が謝ってくれたので「お母さん」に戻してあげた


度々こんな事を続けていたら、「お母さん」も学習したのか


子供が山の中で1週間暮らす、とかいう外聞の悪さがマズイと思ったのか


ある日から「お母さん辞めます」って「お母さん」が家出をするようになった


大体は姉と兄の姉兄喧嘩から始まって、私が巻き込まれてから、「お母さん」がキレルってパターンだったのだけど


山で1週間暮らせる私にとって、「お母さん」の価値はないに等しい


それなのに、やれご飯が食べられないだの、洗濯はどうするんだとか、上が騒ぐ


騒いだ挙句に、「みんなで「お母さん」に謝ろう!」となる


まてまて、あなた達が喧嘩始めなきゃこんな事にはなってないのだから「私は行かない」


はずなんだけど、結局は暴力に負けて連れていかれる


その時の「お母さん」の勝ち誇った顔がどうにも許せない




私はこんなまま育ってきた


だから子供が出来た時に、言わない言葉ランキングを考えたりしたものだ


とうぜん「おまえはうちの子じゃない!」なんて言うはずもなく


この子はなんとなく、私に似て頑固者のようだから言っちゃいけない言葉だ


他にも色々な言葉があるのだけど



私は「お母さん」にようやく感謝ができた


あなたと同じことをしなければ、幸せになれる・・・そう気づいたのだ

時折訪れる不眠症の治し方てあるのかしら・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ