言の葉(短編小説)「さよならの意味」
さよなら
4文字の言葉で彼女は、消えた。
昨日まで繋がった携帯と共に。
思い出す昨日までの彼女。
なにかしてしまったのか?
考えても思い出せない。
いや、自分で気づいていないのか?
頭の混乱と戦いながら、俺は彼女とのメールのやり取りを見ていた。
だが、やはり分からない。
でも沸き上がる感情は1つ。
会いたい
声が聞きたい
この感情は、彼女への思いだ。
そして結論に至る。
あぁ。俺は彼女にこんな思いをさせていたのかもしれない……。
俺はどちらかと言うと、想いを伝えていない。男が伝えるのは恥だと思っていたから。
だから、今の感情は、彼女へ見せていない。
鍵、携帯、財布を持ち俺は走った。
いないかもしれない場所。
息を切らし、足が限界になるまで走る。
あの場所につくと。
愛しい後ろ姿が見えた。
「あの……」
声を出すのもやっとの俺は彼女に声をかけた。
振り向くと愛しい顔。
「……良ければ、僕と付き合ってくれませんか?」
彼女は、にっこり笑うと手を繋ぎ帰路に着いた
思いは伝えないと
想い人は消えてしまうかもしれないと気づいた記念日だった。