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「……襲われたァ?」
ヨロズ荘に帰宅後、源氏さんがすぐにあたしが小鬼に襲われたことを報告すると、神々廻さんは物凄く面倒くさそうに溜息をついた。
「抵抗の術を持たねェ引き寄せが一番面倒なんだよなァ……」
「それを本人の目の前で言うのはどうかと思いますよ。吉野様も望んで引き寄せになった訳ではないでしょう」
「そーだよ!サヨちゃんのせいじゃないんだから!」
そんな様子の神々廻さんに抗議してくれる源氏さんと有翔ちゃん。今日は二人にも沢山迷惑をかけてしまったかもしれない。いや、元々は二人が勝手にあたしから離れたのが原因なのでは……?
「おい源氏ィ。お前あれだけ言ってたのに離れたな?」
「……すみません」
どうやら神々廻さんはあたしの心が読めるらしい。でも小鬼に襲われたのって源氏さんと合流後だから、やっぱり源氏さんのせいって訳でもない気がする。
「とりあえず俺は今後一切吉野様から目を離すつもりはありませんので」
そして源氏さんはくるりとこちらを向き、とんでもないことを言い出した。
「えっ!?いや、でもそれって疲れるでしょ?眠くなったりとかしないんですか!?」
「幽霊は眠る必要は無いんです。なので心配ご無用です」
そういうことじゃなくって!眠る必要もなく肉体的に疲れなかったとしても、精神的に疲れるだろうし、自由がないってことを心配してるんだけど……!
というか、男の人にずっと見られてるってのも普通に恥ずかしい。それって逆にあたしにも自由がないってことだし、お風呂とか着替えとかも見られるのは困る!
「はァ……責任を感じるのは結構なことだがなァ。あまりにも現実的じゃねェだろ」
どう断ろうか考えていたところに、神々廻さんが助け舟を出してくれた。今だけは彼のことが神様に見えたかもしれない。
「ですが、吉野様はあまりに強い引き寄せの力を持っている。一瞬たりとも目をそらすべきでは無いと思いますが」
「だからあの方法を使うんだよ。お前だって知ってるだろうが」
「神凪神社の御守り……でしょうか」
「分かってンじゃねェか」
おまもり?確かに厄除けの御守りとかはあるけど、妖怪避けの御守りなんて存在するのかな……。
あたしの心配そうな顔を見て、安心させるように源氏さんは答えてくれる。
「大丈夫です。神凪神社の御守りはよく効きますよ」
「あァ、あそこにはやばいのが憑いてっからなァ」
やばいのが、憑いてる?
その言葉で一気に行きたくなくなったのだが、どうもそれは許されないらしい。
「そうと決まれば源氏、今すぐ連れてってやりなァ」
「承知致しました。行きましょうか、吉野様」
「ぼくもぼくも!一緒に行くー!」
どうやら拒否権は無いようだ。仕方ない。あたしは気合を入れるように両頬を軽く叩き、覚悟を決めた。
「……わかりました、案内お願いします……!」
というか、カンナギってごく最近何処かで聞いたことがあるような……?
そんなことを思いながら、あたし達は神凪神社に向かって出発した。




