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「もう!ほんと余計なことしてくれますよね妖怪さん」
「吉野様は《引き寄せ》ですからね。低級妖怪でも引き寄せてしまったのでしょう」
早くも妖怪による実害が出てしまった。というか、学校にも妖怪が存在しているということは、本当にあたしは何処に逃げても狙われるんだということをはっきりと理解させられる。
「はあ……こんな体質要らないですよぅ……」
思わず源氏さんに愚痴る。しかし、彼は返事をしてくれなかった。思わずむっとしてしまう。
「ちょっと、話しかけたんですから返事くらい……!!」
……その言葉を言い切ることは、叶わなかった。
「……吉野様!」
「あうっ!!」
どうしてかと言うと、言い切る前にあたしは源氏さんに力強く突き飛ばされたから。
そして突き飛ばされたあたしは勢いよく床をスライディングする羽目になった。痛い。
「ちょっと!何するんですか……」
あたしはすぐに起き上がり、源氏さんのひとつでも言ってやろうかと思ったが、目に入ったモノに息を飲んで声を出すことが出来なかった。
「えっ……、え……?」
あたしの口からは言葉にならない声が漏れるだけだ。目の前に現れたのは小さな子供数人。
……だけど、普通の子供には決して存在しないモノ。
額から飛び出た1本の角に、口に収まりきらないくらいの大きな牙。
目玉の色は黄色く、ぎょろりとこちらを見る。
そう、あれは、小さいけど "鬼" そのもの……
「ガギャアアアアア!!!!」
「きゃあああーーーっ!!!!」
小鬼たちが飛びかかるのと、あたしが叫ぶのはほぼ同時だった。
「吉野様……!!……くっ!」
源氏さんが小鬼からあたしを庇うように前に立ちはだかるが、小鬼たちは鋭い爪で、牙で、源氏さんを傷つけていく。
「源氏さんっ!」
「こいつは低級妖怪です!大したダメージにはなりませんが、これだけ居ると流石に厳しいですね……!」
見ると、先程よりも小鬼の数が明らかに増えている。これもあたしの《引き寄せ》の力のせいなのだろうか。
「げ、源氏さんは戦えないんですか!?」
「すみません!俺に戦闘能力は無いんです!ここは俺が抑えるので吉野様は神々廻様を呼んできて貰えませんか……!?」
「で、でも……!」
ヨロズ荘に帰るには電車に乗らなければならない。果たして電車に乗ってヨロズ荘へと帰って、またこちらに戻ってくるまで源氏さんは持ち堪えることが出来るだろうか。
「お願いします!早く!」
「でも、そうしたら源氏さんが……!!」
……その時だった。1匹の小鬼が隙をついて源氏さんから離れ、あたしの方へと向かってくる。
「……!しまった!!」
小鬼はそのままあたしに馬乗りになり、それに源氏さんか気を取られた瞬間、全ての小鬼があたし目掛けて飛びかかってきた。
「いやっ!!助けて!!」




