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「うぐぐ……狭いです……」
正直、都会の通勤ラッシュを舐めていた。
まさかこんなにすし詰めにされるとは。足、浮いてない?ちゃんと立てているかすら不安だ。
「だ、大丈夫ですか源氏さん、有翔ちゃん……」
「こういう時に霊体って便利ですよねえ」
「霊体モードになれば透けるからぼくらはだいじょーぶだよ!」
な、なにそれずるい……。あたしにもその力を分けて欲しいくらいだ。
「ちなみに霊体モードだと俺達は他の方には見えませんので。あまり話さない方が宜しいかと」
それも早く言って欲しかった。だから周りから変な目で見られていたのか。恥ずかしい。
まあ学校は二駅先だから、それほど遠い訳でもない。ほんの少しの辛抱だ。
「……きゃっ!?」
しかし、突然腰の辺りに嫌な感触を感じて、思わず大声を出してしまう。当然、周りからは変な目で見られる。
き、気の所為……?いやでも、これは絶対触られてる!!
視線だけ背後に向けると、そこには地味なサラリーマン風の男がガッツリとあたしの臀部を触っていた。
……なるほど。これが噂の痴漢というやつか。まさか引っ越して早々に都会の洗礼を受けるとは。……って、そんなこと考えてる場合じゃない。なんとかしなければ。
「……ぁ、」
あの、と声を掛けようとした。だけど身体が強ばる。
というか、なんかその、息荒くなってませんか……。え、やだ。気持ち悪い……。
「げ、源氏さん……」
蚊の鳴くような声で源氏さんを呼ぶ。しかし、あたしを守ってくれると言ってくれた執事は、何故か近くに居なかった。有翔ちゃんもいない。ああもう、肝心な時に役に立たない……!!
「や、やめ」
「うわああああああっ!!」
あたしが覚悟を決めて大声を出そうとすると、その前に痴漢をしていた男が叫んだ。……え?なんで?
「……!!」
その理由は振り返ってすぐに判明することとなる。なんと、男の腕にはがっしりと蛇が巻きついているではないか。……な、なんで?いつの間に!?
あたしは別に、蛇が苦手な訳では無い。だけど電車内で突然蛇が現れたら誰だってびっくりするだろう。
当然、電車内は大騒ぎになった。
ズキン。
「……痛っ……!」
すると突然、あたしの頭がズキズキと痛み出す。
「な、なに……?なんなの……?」
「こっちだ」
「……えっ」
頭が痛くて判断力が鈍っているところを、突然腕を掴まれて引っ張られる。
いろいろなことが突然起こりすぎて、もう本当に訳が分からない。




