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決意

学校への登校路を歩きながら、玲奈は先ほどの怜との会話を思い出していた。


(「私はさっき言いました。亜鈴ちゃんについてずっと調べていたと…その過程で明らかに不自然なことがあったんです。

亜鈴ちゃんは、不自然なほどに仲のいい女性がすくなかったし、不自然なほどに女性の方が亜鈴ちゃんから離れるまでが早かったんです。これまでは、何故かというものはわかっていましたが、それの理由は詳しくはわかりませんでした。しかし…」


「なるほどね、もう大丈夫だよ玲奈さん。」)


「あの発言から察するに、これまで怜さんは悪い虫が亜鈴ちゃんに寄り付かないように手を回していた…。これは間違いない…でも、なんでそんなことを?…いや、これ以上は多分考えても無駄ね…」


あの完璧超人の怜さんのことだし、恐らく何か深いわけがあるのだろう…そう考えて、それ以上理由について考えるのはやめた。


「ただ、そういうことを怜さんがしていたということは、亜鈴ちゃんは恐らく何か悪い人たちに捕まりやすかったりするのかな…」


本人は全く自覚はないし、なんなら隣にいる怜さんに向けられているものと思っているが、実は亜鈴ちゃんも怜さんほどではないにしろ、ある程度の好意は向けられている…私を含めて。


「怜くんの影響もあるんだろうけど、亜鈴ちゃんは異性の方からの目線というものが全く分かっていないようにも思えちゃう…それこそ何か悪意を持って近づいてくる人間にも気づかないくらいには…」

「他の怖い人に亜鈴ちゃんが穢されるくらいなら、いっそのこと私が最初に…」


そこまで考えて、玲奈はブンブンと首を振った。

「…それは最終手段ね、となると、まず私が出来ることは…」



一方、怜もまた学校への登校路を駆けながら思慮に耽っていた。


「あの様子、どうやらボクの勘違いではなく、本当にボクに対してではなく亜鈴に対しての好意を抱いている感じだね…」


そう言いながら、怜は考える…自分に近づくために、自分と仲がいい亜鈴に取り入ろうとする浅ましい女たちのことを。

「あんな亜鈴の魅力について1ミリも気づかずにボクに近づくためだけに亜鈴を利用しようとする人たちと同じような人間であれば、あらゆる手段を用いて排除するつもりではあったけど…あの様子を見るに、本当にボクに興味があるわけではなく、亜鈴に好意を抱いているようだね。」


そこまで言ったところで、なぜか怜は少し重い顔をした。


「だけど、それとこれとは話が別だ。亜鈴の魅力を知るのはボクだけでいいし、亜鈴と一緒に楽しく過ごすのもボクだけでいいんだ…!ボクの亜鈴を横から掻っ攫おうとするのであれば、これまでの本当に亜鈴に興味を持っていた女の子たちと同じように亜鈴から離れるように手を回さないとね…。とりあえず、ボクが今の段階で出来ることは…」


「「亜鈴ちゃんはボク(私)が守る。悪い虫は全て事前に叩き伏せる!」」



ー一方その頃、学校にいち早くついた亜鈴は二人がそのような決意を抱いているなど露ほども知らず、すやすやと机に突っ伏して眠っていた。新しい台風の眼となる者が、亜鈴の方をじっと見ているなどということには文字通り夢にも思わずに…


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