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初日を終えて…


ー亜鈴家にて


「ただいまー!」

「お、バカお兄おかえりー」


いきなり散々な罵倒をしてきた相手は、私の妹の小糸だ。


「ひどくない…?」

「いや、普通初日に遅刻する?」

「ごもっともです…」


実際バカと言われるだけのことはしてしまったので何も言い返せない。悔しい。


「それはそうとさ、今日入学式が色んなところであってるじゃん!?可愛い女の子がさあ!」

「…襲わないようにね?」


目の色を変えて、息を荒げて話し始める我が妹に、若干押されながらも私はそう答える。


私の妹は、自他ともに認めるレベルで重度のロリコンだ。それが転じてか、自分でコスプレ用の衣装や幼児物の服まで自作してしまうほどだ。


「こいつ、一周回ってすごいと思うわね…」

「何か言った?あべ兄。」

「いや、そこまで行くと一周の武器だよね…って思っただけだよ。」

「ふーん。あ、あべ兄。もし高校で可愛いロリを見つけたら是非紹介してね!」

「私にそんな紹介できるだけの能力があるとでも思うの…?」

「うーん、なんだかんだあると思うけどなあ。」

「それは買い被りすぎだってー」

「そうかもー!」


そしてひとしきり笑ってから、今日の出来事、自己紹介やホームルーム、席替えの話で起きた騒動についてを話した。


「いやー、やっぱり怜クンはモテモテだねー!お兄もあやかってみたら?」

「ばかいえー、そもそもあれは怜の魅力であって、私は何も関係ないじゃん?」

「まあ…うんそうだね?でもあれに普通に付き合えてる地点ですごいと思うけどなー」

「そう?別に普通のことでしょ。」

「そうかなあ…まあとりあえず気をつけなよー」

「気を付けるってなに…?」


不思議な妹である。友人と過ごすなんて当たり前のことだろうに。そして怜が原因で私が被害を被ったところでそれは怜のせいではないだろうに。

帰ってからも一悶着あったが、無事に一日が終わった。明日は席替えがあるが、今の間から少し荒れそうな予感しかしていないため、少しだけ不安を覚えながらも私は眠りについた。



ーその日の夜場所、とある部屋、部屋一面に▪️▪️が飾られた部屋にて


「やっとだ…やっと願いを叶えるための一歩を踏み出せる…!待っててね…私だけの君…!」


その人物はそう独りごちると、黙々と何かしらの作業を始めたのであった…




そして次の日の朝が来た!


「うにゃー!遅刻するー!」

昨日の今日でまたしても寝坊してしまった私は、今日も今日とてバタバタしながら登校の準備をしていた。


「お兄は少しくらい反省しなよー…」


いつも通り早く起きて準備を済ませ、のんびりしていた我が妹に呆れられるのを尻目に、私が出発の準備をしていると、


ピンポーン!


急に家のチャイムがなった。


「こんな時間に誰だろ。小糸ー、私今忙しいから代わりに出てー!」

「はーい。貸しひとつねー」


貸しってなんだよと思っていると、

「お兄ー、怜クン来たよー。」


玄関の方から小糸が声をかけてきた。


…怜?


「やっほー、ちょっと早く起きちゃったから来ちゃった!」


「本当に怜来てるじゃん!?」

怜の声も聞こえたため大忙しで準備を済ませて玄関に向かうと、怜と小糸が仲良さげに話をしていた。


「それであの子さー」

「あの子そんなことしてるんだー」


「ごめんごめん!…にしてもどうしてうちまで来てるの?それなりに距離なかったっけ?」


私の記憶が正しければ、怜の家は私の家の方とはそれなりに距離があったはずだ。


「いやー、ボクも遠いとは思ってるんだけどね?昨日みたいに遅刻されちゃったら少しね…?」



ぐうの音も出ない。悔しい。


私は靴を履くと、

「じゃあいってきまーす!」


「いってらー」


そして怜と一緒に外に出た。


「いやー、本当にごめんね、わざわざ遠いところから」

「いやいや、ボクが好きでやったことだから亜鈴が気にすることじゃないよ」


やだ、この親友イケメンすぎて惚れちゃいそう…!


「いやー、もし怜が女の子だったら絶対私口説いちゃってただろうなー」


私が冗談でそう言うと、怜は


「…ふえ?」


一瞬魔の抜けた声を出したが、すぐに

「なんだ冗談か。全くあまりボクを驚かさないでくれよ亜鈴ー」


といつも通りの感じで返してきた。


「いやー、でも実際怜がモテモテな理由ってわかる気がするなー、誰にでも分け隔てなく接することができるのってすごいよねー」


「…お世辞を言っても宿題教えてあげるくらいしかしないよ?」

「すごく助かる!」

そうしてしょーもない雑談をしながら学校に行くと、案の定教室に入った瞬間にクラスのみんながこちらを睨んできた。怖いよう…


「みんなおはようー」

「怜様だー!おはようございまーす!」

「今日は絶対に怜様の隣の席を勝ち取るんだ…!」

「あの変なやつ、怜と仲良いってだけでなんかいい思いが出来てそうだし俺も逆玉の輿するんだ…!」

「微妙に言葉違くない?それはそれとして、仲良くなれば必然周りに集まって来そうな女ともいい感じの関係に…!」

「怜様怜様怜様怜様怜様…!」

なんかところどころやばそうな人が混じってるような気がしたが、おおよそ思った通りのことが起きていた。


これ…席替え実際にくじでやったとしても暴動起きないかな…?







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