★9 ウザオは1500mを激走した!
よろしくお願いします。
体育祭の日がやって来た。
1年生の演技はソーラン節だったけど、完成度は今ひとつだった。
楽しかったのに、無念・・・
得点種目でも借り物競走とか、二人三脚とか面白種目もあり、
みんな楽しみながら、クラス対抗も成績が良い方だったので、盛り上がってきた。
午前中最後の種目が俺の1500m走で、1年生16人が一斉に走る。
集合場所でストレッチをしている壱成と目が合った。
「宇佐、ちゃんとついて来いよ。」
「ウサギは先頭をぶっ飛ばすんだぜ!」
お互いニヤリと笑って、ハイタッチした。
海斗がいた!
「海斗も1500mだったんだ?」
「なんだよ、文句あっか?」
ジロリと睨まれた。
「いや、短距離の方が得意って言ってなかったっけ?」
「1500mも得意なんだよ!」
走る前のくじ引きの結果、俺と海斗は2列目の真ん中で並んでいた。
スタート地点に並ぶと海斗と目が合った。
「頑張ろうぜ!」
「おう!」
ニッコリと笑って声を掛けると、海斗も笑みを浮かべていた。珍しいことがあるもんだ・・・
「位置について。ヨーイ。バン!」
一斉に飛び出すと、いきなり何かが俺の顔に当たった!
痛い!なんだ?
何かに躓いて激しく転んだ!痛い!
くそっ、早く起き上がらないと!
立ち上がって走り出したが、ぶっちきりの最下位になってしまった!くそっ!
1年1組、2組の前を通過した。
「宇佐!がんばれ!」
春花が泣きそうな顔で叫んでいた!
負けてられるか!
「宇佐!」
桃子が祈るように両手を組んでいた。
ちゃんと走れている。ペースを少し上げろ!
2周目が終わる頃、2人抜いた。やる気のないヤツらだ。
先頭は壱成で、3番目に海斗が走っていた。
1年1組、2組の前を通過した。
「せーの、宇佐~、行け~」
みんなが声を併せて大声を出してくれた!
赤星亮平が俺たちの旗を振っていた!燃える!
4周目が終わる頃までに、さらに4人抜いた。帰宅部か、文化部か?
このトラックは1周200mだからあと、3周半!
・・・
先頭の壱成があと1周となり、ベルが鳴らされた。
俺はあと1周半、前には4人いる!
1年1組、2組の前で1人抜いた!
「宇佐!」
春花が、桃子が、みんなが応援してくれている!もう少しだ!
残るは壱成、サッカー部のヤツ、海斗だ!
最終コーナーを回る頃、海斗の後ろにピッタリと付いた。
最後の直線で勝負だ!
カーブの終盤から死力をつくしてスピードを上げた!
直線に入ると海斗が腕を大きく横に振ってきたが、
大外にぶん回していたので、そのはるか外側を走った。
海斗に並んだ!
絶対に勝つ!
足が!痛い!息!苦しい!あと!もう!少し!
海斗がスピードを緩めた?
俺は3位でゴールテープを切った。
目の前が真っ暗になってふらつくと、誰かがぎゅっと支えてくれた。
「宇佐、大丈夫?」
涙目の春花だった。
「ああ、ありがと。」
「唇、切ってる!あ、足は、膝、見せて!」
疲れ切って座り込むと膝に激痛が走った!
「あ~、血だらけじゃん!こんなのでよく1500mも走れたね!
救護所に行こう。立てる?」
伸ばされた春花の手を掴んで立ち上がった。
「うん、大丈夫。」
俺の手を握ったままの春花が頬を染めていた。
「あの、宇佐・・・よく頑張ったね。か、カッコ良かったよ。」
「おぉ。ウザオって言わないのな。」
「い、行くよ!」
手を繋いだまま歩き出した!マジか!は、恥ずかしい~
「バッカじゃね?
どっちが3位でも点数は変わんね~のに必死で走って、倒れるフリまでしやがって!
大してことねーのに、大げさに痛がって!」
海斗の大きな声が聞こえた。
バチン!
「いたっ!」
桃子が海斗にビンタして、大きな声をあげた。
「アンタ、最低ね!味方の宇佐を殴ってワザと足を引っかけて!
最後は簡単に諦めて!ホント、最低!」
「違うって!たまたま手が当たっちまって、バランス崩して足が当たっただけなんだ!」
「わざとだ!そんな偶然あるもんか!もう二度と、私に話しかけないで!」
こんなに怒っている桃子初めて見たよ!怖い、怖すぎる!
「お、おい、ちょっとした冗談じゃね~か?おい、桃子!」
弱気になった海斗を放って、怒りをすぐに消して、心配そうに桃子は俺の近くに来てくれた。
「宇佐、大丈夫?」
「うん、応援ありがと。最後3位になったのはみんなの応援のお陰だよ。」
足を引きずっているのを見て、ますます桃子は心配そうになった。
「・・・肩、貸そうか?」
「ダイジョブ、ダイジョブ。」
両方の膝小僧が血だらけだった!こんなの小学校以来だ!
消毒して大きな絆創膏を貼ってもらうと、痛みは感じなくなった。
軽く走ってみたら、まだイケそうだ。
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金曜日に更新します。




