5 兄弟たち
ちょっと兄弟多めですが、これも父親がハーレムクソ野郎だった弊害ともいえますね。主人公の相手は1人決めていますが増えるかどうかは未定です。なお父親がハーレム作っているのでハーレムというタグは詐欺じゃないですよ
「さて君たちの”ボウケンシャ”登録をするよ」
義叔父上が自分たち年長組を通したのはギルドの建物の最上階にあるギルドマスターの部屋だった。”ボウケンシャ”ギルドの受付は時間がかかるため、特例でこの部屋で手続きを行うらしい。
「それじゃあまず書類を作るんだけど文字はかけるよね。この紙に記入してくれるかな。」
義叔父上改フェリックスギルドマスターが差し出してきたのは父がこの世界に持ち込んだ紙である。
従来使っていた羊皮紙よりも薄くて安く、破いたりできる。父がこの紙を導入するまでは貴族などは「破けるから正式な書類には向かない」と半ば意地で公文書に羊皮紙を用いていたのだが、父は「そんなもん知るか」と紙の正式採用を決めてしまった。
ニーベル辺境伯領の特産品の一つである。
紙には姓名、父と母の名、身分、前職、出身地、その他得意とすることなどを記入する四角い枠のようなものが記されていた。
「じゃあニーベル辺境伯タローとエミリアの息子レオン、同辺境伯とリアの娘ゾーイ、同辺境伯とルイーザの娘ジョセフィン、同辺境伯とハンナの息子フィン、同辺境伯とカグヤの娘トモエ、同辺境伯とマリーの息子ノア、同辺境伯とマチルダの娘テレサ、同辺境伯とメリナの娘フィオナの登録を認めます。リーダーはレオン殿で登録しておきました。」
「ありがとうございます叔父上、それでは”ボウケンシャ”なるものの心得を教えていただきたいです。」
「うむ。まあお前達に言うべきことかは迷うが、”ボウケンシャ”は基本領主の代わりとなって魔物を狩るのが役目だ。故に立場は領軍に準じるが立場を悪用して領民に無体を働いたり金品を要求したりすれば職権乱用とみなしてお尋ね者となる。」
なるほど、一応統制は取ろうとしているらしい。
「一応ギルドは”ボウケンシャ”同士の争いの調停を努めたりする。故に自力で報復したりはしないように。一応形だけだが罰則がある。”ボウケンシャ”の怪我や死などは基本自己責任だがリーダーはメンバーの残された家族に保証する義務がある。故に各自の得意な武器や魔法、戦い方をしっかり抑え、無駄死にや怪我が出ないようにせよ。」
そうか、”ボウケンシャ”の死や怪我は自己責任とすれば今まで貴族が魔物を狩るときに出ていた部下の死や怪我を保証しなくてすむ。放浪貴族たちにとっては今までとかわらないし良いシステムだ。
「怪我はしたくないし、一応各自の得意なことをおさらいしておきますね」
「おう、頼む。義兄上はともかく姉上は…」
苦笑するギルドマスターフェリックス。小さい頃から姉にこき使われ、今でも頭が上がらないらしい。では弟妹たちの確認をするか。
まずはニーベル辺境伯タローと元聖女リアの娘ゾーイ、聖女とは純潔の乙女に与えられる称号で、その称号があれば数百倍のを持つ治癒魔法を使うことができる。太古の昔には奇跡と呼ばれていた
だが聖女として役割を果たすには治癒魔法を始めとする魔法をもともと習得している必要がある。元聖女とはいえリア母上は治癒魔法の名手であり、その娘であるゾーイもとても治癒魔法に長じている。
頭までかぶった純白一色の修道服に魔法の触媒となる杖、正確も(兄弟の中では)一番おっとりしているが母親が聖女であるという誇りがとても強く、また怒らせるととても怖い。また脱ぐと年長組の中では一番すごい。…とてもすごい…。
それに比べてルイーザの子ジョセフィンはとても小柄で12歳と言っても通用する。母親よりは少しだけ大きいのが救いか。だが怒ると城内でも火魔法をポンポン飛ばしてくるためゾーイとは別ベクトルで恐ろしい。
魔女棒に長い裾のローブ、怪しく光る宝石をはめ込んだ杖はいつ魔法が飛び出しても不思議ではない。ジョセフィンはとても短気だ。
次弟フィンはかなり大柄な少年で175はあるのではないだろうか。自分よりもすこし上の方にくる頭には魔族の証である角が生えている。ちなみに種族は基本母親と同じになるのでフィンもれっきとした魔族だ。母親譲りの赤目と黒髪を持つ。本人は父親譲りの黒髪といって憚らない
この辺境伯領では種族による差別は禁止されているので目立たないが魔族はかつて人族と戦争を行っていた間柄なため時折陰口を叩かれることもある。本人は気にしていないが自分は気にする。
フィンのすぐ下のトモエはうなじを見せつけるように髪を頭の後ろで結い和服に袴、自分の身長よりも長い薙刀を抱えている。155の体には重すぎるのではないかと思われる薙刀だが、トモエは騎士団の訓練に度々参加しては練度の甘い団員をぶちのめしているのでトモエにはあっているらしい。
カグヤ母上の美しい顔立ちと髪目を受け継いでいるため同じ格好をさせてトモエの絶妙なプロポーションを隠せば見分けがつかないだろう。カグヤ母上よりやや背が高い。
ノアは年長組で一番背が大きく、青い目と髪をしている。はい、完全にマリー母上の血です。
手足も羨むほど長いため手の長さを生かして短刀を相手の短刀より早く急所に叩き込むことができるのだが、間違いなく素手のほうが強い。
帝国の皇位継承権を保有しておりそれ故小さい頃は暗殺者に狙われるのではないかと恐れていたが、そのような不届き者は出なかった。父上と”はーれむ”メンバーの報復が恐ろしかったのだろう。冗談抜きで国ごと滅びかねない。
四妹のテレサは見た目も完全にエルフの一族だ、プラチナブロンド、金の目、控えめなスタイル、弓と風や水属性魔法を得意とすることなど。身長もマチルダ母上と同じ。父上はまるでマチルダ母上の”くろーん”だといった。
テレサの弓術は本当に見事で、テレサに合うものはまず美貌に恋をし、次に弓術に恋をするという噂まである。マチルダ母上は父上との冒険には途中参加で、しかも娘の身をあんじた父王によってすぐ呼び戻されたため、その不満をぶつけるように娘を鍛え上げたのだ。
そのしわ寄せが実の弟に行っているのだが…
そしてフィオナ。年長組の中では一番下だ。だがフィオナには少々厄介な事情があった。
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