1 恥ずかしい授業
テンプレなろう小説を呼んでいくうちに、『あれ、これって転生主人公の子供達って劣等感ヤバそうだな』とおもったのがきっかけです。しかし規格外過ぎてそんな事思わないかも。
これは戦闘チート、内政チートの転生勇者の子供が、なんとかして生きていく物語。
「…魔王四天王がひとり、業火のエリアスが王都に現れたときには一同死を覚悟しましてな…」
「はい」
「特にときのニーベル辺境伯の娘様であなたのお母様は民衆の盾となって死ぬと申されました」
「はい」
「そこをタロー様が『美しい(剣技の)者が死ぬのは忍びない、俺が守るから安心しろ』とこう仰せられて、聖剣エクスカリバーを片手に…」
「だああああ、やめやめやめ!」
あまりの羞恥に机に突っ伏しながら奇声を上げる。どうして歴史の授業で両親の惚気話を聞かされねばならないのだろう。これが幼い頃ならば『父上かっこいい!』とかいって父親に素直に憧れられたのだが、問題はすでに思春期に突入していることである。
母親が違う兄弟たちも年長組は同情するような目を向けてきた。彼ら彼女らも同様の目に合っている。
なにせ父親の功績は甚大なのだ。
東の大陸にある魔王を始めとする魔族の侵攻で滅びかけた国の王都に現れ
初心者用のショートソードでドラゴンを倒し
これを抜くものが世界を支配するとまで言われた伝説の聖剣エクスカリバーを引き抜いて魔王を滅ぼした。
これだけでも凄まじいが問題はこの父親が別の世界から来た転生者だと自称していることである。
この国には珍しい黒目黒髪をもち、少々彫りの浅い顔と少し低めの身長、薄い体毛、浅黒い肌
『転生するならお約束だよね』とか言い放っては”はーれむ”なるものを作り上げ、そのせいで現在我々が居住しているムグロナ王国では法律を変えて一夫多妻制を導入する羽目になった。
魔王も魔王四天王も滅んだため責任を取って降伏した魔王の娘を人質兼妻にする。
途中魔族の支配から解放した国の姫君を娶る。
純潔でなければ役目を果たせない聖女と契りを交わしてしまう。
長らく迫害されていた魔女達を保護してそのまとめ役たる大賢者(女)と結婚する。
内政面でもその実力を発揮し、戦乱で荒れ果てたニーベル辺境伯領に米と魔族大陸から持ち込んだ芋を植えて王国一豊かな土地に変えてみせた。
当時間近で見ていた者からすれば救世主のようであったという
その実態は有り余る魔力で治水工事を行ったり整地を行ったりしたのだが。
とにかくニーベル辺境伯タロー卿は周りを固める妻や部下領民、それに何も知らない一般庶民からは勇者かつ救世主であり、王国の上層部では頭痛の種であり、思春期の子息にとっては聞けば聞くほど
全身がむず痒くなる、そんな存在だった。
一応第一章までは完成しているのでそこまで一気に投稿します。あとはストックが溜まり次第です
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