はじめに
私がそれを知ったのは今年の夏くらいだろうか。それはなんの変哲もないただの書物であった。
ただ、中身がこの近年、発生した都市伝説について記されたものである。
好奇心というものが、まだ私にもあるらしく、参考書の一つとして、その本を購入した。
出版社に心当たりはないが、子供向けの図鑑の棚にあった代物なので恐らく、知る人ぞ知る出版社なのだろう。
家に帰り、中身に軽く目を通したが、イラストつきで都市伝説の怪異に触れられていた。
東方プロジェクトの二次創作をはじめ、妖怪や怪現象、SCPなどに関心を持ちはじめた私にとって、この本はなかなか良い刺激となった。
しかし、仕事の忙しさでそれらについて語る機会がなかった。
何よりも神や幽霊を信じる私にとって、そういった類いの話はある種の禁忌的なものだという認識があった為、この歳まで距離を取っていたというのもある。
未だに心霊現象などは怖くて自分の目で確認しようという度胸もない。
よく言えば、好奇心よりも畏怖の念が強いタイプであり、悪く言えば、臆病なのだろう。
そんな私が怪異について、これを記しているのだから、やはり人間は何が理由で変わるか解らないものである。
変わった理由の一つに妖怪を親しみを感じるようになったのがあるかも知れない。
それはこれを書く私だけでなく、他の人間にも言えよう。
現在の日本にとって急成長した文化の中にオタク文化というものがある。
私自身はオタクと呼べる程、熱中出来ているかは疑問であるが、その文化によって妖怪や怪異はデフォルメ化され、マスコットや少女の姿をしたりして私達の周囲に溶け込んでいった。
例として挙げるのであれば、神話や伝説の類いの英雄などを女体化させたりした作品などを見た事があるだろうか?
2021年の現在では史実に登場した名馬を擬人化させた作品などがブームになっている。
私達にとって、この文化は親しみと愛着をもたらす特殊な文化となった。
それは怪奇現象で生まれた妖怪なども例外ではない。
その為か、私も昔に比べて怪異や神秘なものに対する距離感の境界が少し異なっている。
心霊現象などのホラー関連は苦手だが、データとして語るくらいには認識が変わったのかも知れない。
仕事がすべてだった人生に変革をもたらす意味でも新しい何かを見つける為に私はこれを記そうと思う。
こんな堅苦しい人間の記録だが、もし気に入って頂ければ幸いである。