プロローグ
あの夏の日。夜の街頭しか灯りのない道で、あの子に出会ったことは、俺の人生においてまさに運命、いや必然的なことだったのだろうか。もし必然なら、恐らくお互いの何かがお互いを引きつけたとしか考えられないが…
とりあえず今更ながら俺の名前を名乗っておこう。でないと後から色々厄介な気しかしないからな。
奈良坂灯彌。これが俺の名前だ。21歳、職業はニー…いや自宅警備員。貯蓄については詳しくは言えないが、まぁ家一件は普通に買えるくらいはある。何故かは今は伏せておこう。そう、今は。
そして、俺がある夏の日出会った少女が額零。8歳の子だ。家族構成についてわかっていることは既に親族がいないということ、らしい。らしいというのは未だ真偽が明確ではないとのことだ。どうやら戸籍も曖昧という、至極厄介なことになっているらしい。まぁ流石にこんな訳ありの子を児童施設だのに入れるのは正直心苦しかったので、かなり面倒だったが俺の養子として迎え入れることはできた。つまり、俺の娘となる。
さて、少々長々となってしまったがそろそろ語ろうと思う。
ある夏の日に出会った、男と少女の物語をー