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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第四章 妖精と地精の国
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第326話 曲がらぬ意思

誤字脱字があれば教えてくれると嬉しいです。

「お母様を取り戻すって、どういうことですの?」


 クロエは戸惑うコメットの質問には答えずに厳しい眼差しをアルマに向ける。


「お、お姉さま! どういうことですの!」

「……そのままの意味だよ。アルマはサテラのことを生き返らせようとしてるの。それが間違ったことだってわかってても」


 ハルミチがキアラを蘇らせようとしているのと同じように、アルマはサテラのことを蘇らせようとしていた。ハルミチの提案を受け入れたのは、キアラを蘇らせたいというハルミチの気持ちがアルマにも痛いほどよくわかったから。

 間違っていても、それでもあのサテラの笑顔をもう一度見たいと思ったのだ。

 一方でコメットはその話を聞いて戸惑っていた。アルマにとってサテラが最愛の人であるのと同じように、コメットにとってサテラは最愛の母なのだから。それが生き返るかもしれないと聞けば戸惑うのは当たり前だ。


「それは……本当ですの? 本当に……お母様を……」

「コメットちゃん、惑わされないで!」


 コメットの心の揺らぎを感じたクロエはその心が完全に傾いてしまう前に注意する。

 アルマだけでなくコメットまで同じ道に進ませるわけにはいかないのだから。


「っ!」

「確かにサテラを取り戻したいって気持ちはわかる。だけどそれに惑わされちゃダメ。死んだ人が生き返るなんてことは……あっちゃいけないの。それは許されないことだから」


 クロエにとってそれは絶対だった。死とは不可逆でなければいけない。もしその理を壊してしまえばそれは世界の安寧を崩壊させることになりかねない。

 誰が蘇り、誰が蘇らないのか。それを選択する権利を人が持って良いはずがない。そう考えているからこそクロエは心を鬼にしてコメットのことを止める。

 

「アルマもそれはわかってるよね。死者が蘇るなんてことは許されない」

「あぁそうだな。そんなことはわかってる。サテラがそれを望まないことも。でもそれでも俺はサテラを蘇らせると決めた。それにお前に俺の行動を決める権利はないはずだ」

「アルマ!」

「あぁそうだ。正しいのはお前で、間違ってるのは俺だ。だからどうした。これは俺がやるべきことなんだ」


 クロエがどれだけ言葉を尽くしてもアルマは揺らがない。クロエと旅をしてた時からそうだ。アルマは一度決めたことを違えない。

 それがわかっているからこそもどかしくて、そして悲しかった。

 だがこの場にはアルマの行いに納得してない者がもう一人いた。


「親父!」

「アイアル……」


 父親を探すためにここまで来たアイアルにとってようやく出会えたというのに全く相手にされていないこの現状は到底納得できるものではなかった。

 自分の知らないところで勝手に話が進んでいるこの状況が嫌だった。


「勝手に知らないところで話進めやがって、アタシのことはどうだっていいってのかよ!」

「アイアル……お前には悪いと思ってる。でもこれは俺のやるべきことなんだ。それにこれはお前の母親に関することでもあるんだ」

「いきなり母親とか言われてもわかんねぇって! なんなんだよ。実はエルフとドワーフとのハーフだったって、受け入れられるわけねぇだろ!」


 ここに来て明かされたことはコメットだけではなくアイアルにとっても衝撃的なことばかりだった。エルフとドワーフの混血。コメットと双子の姉妹であるということ。そしてアルマが母親であるサテラを蘇らせようとしている事実。

 それら全ての事情を理解し呑み込めるほどアイアルは大人では無かった。


「別にわかってくれとは言わない。理解してもらおうとも思わない。だから言っただろう。俺のことは探すなと。俺のやることはこれからも変わらない。サテラを取り戻すまでは」

「私達と一緒に来る気は無いってこと?」

「あぁ」

「この状況で、私達から逃げ切れると思ってるの? 無理矢理縛ってもいいんだよ」

「確かに俺は満身創痍だ。だが俺の勘違いか? それはお前達も同じはずだが。こうして会話をして時間を稼いでいるのはそこの男の魔力を少しでも回復させるためか?」

「っ!」


 アルマの言葉は当たりだった。クロエの言葉で説得できなければ実力行使をすることになる。その時のために少しでもレイヴェルの魔力が回復できるように休ませていたのだ。それをアルマに見抜かれてしまった。


「結局はお前も最後には実力行使しかできないというわけだ。だがそれでいい。互いの意思がぶつかりあった時、それが一番単純で明快な方法だからな。俺を止めると言うならやってみせろクロエ!」


 そう言ってアルマは傷だらけの体を支えながら立ち上がり、大剣を構えた。



今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします。

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