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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第四章 妖精と地精の国
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第298話 親子の再会

誤字脱字があれば教えてくれると嬉しいです。

「親父……」


 突然姿を現したアルマにアイアルは驚きを隠せずにいた。

 待ち望んでいたはずの再会。しかし、その再会は決して喜べるようなものでは無かった。

 この状況でアルマが姿を現した意味。それがわからないほどアイアルは愚かでは無かったから。


「なんでこんなところにいるんだよ親父!」

「それはこっちの台詞だ。なぜお前がここにいる」


 いくら『変身薬』でエルフの姿になっていたとしても、自分の娘を見間違えるようなアルマでは無かった。

 アルマのアイアルを見る目は非常に厳しい。今までアルマにそんな目を向けられたことが無かったアイアルは思わず怯む。


(親父に言いたいことなんていくらでもある。だけど、言ってどうするんだ? あたしは親父がどうしてここにいるかもわかってないのに。少なくとも親父が何かを目的にしてここにいるんだとしたら……)


 アルマの決意の固さはアイアルが一番良く知っている。もしアルマの目的がアイアルの目的と相違するとしたら、アルマは容赦などしないだろう。


「俺の目的をお前に話す必要は無い。お前には関係が無いからな。今なら見逃してやる。さっさとこの場から失せろ」

「っ!」

「関係ならありますわ!」


 口を挟んだのはそれまで黙って親子の邂逅を見守っていたコメットだった。アイアルとは違いアルマと何の関係もないコメットにとってはアルマの目的次第では見逃すわけにはいかなかった。


「彼女のお父様なのかもしれませんけれど、わたくしには関係の無いことですわ。もしあなたがこの国に害をなそうとしているならば。それを決して見逃すわけにはいきませんわ」

「お前は……そうか。お前がコメットか」

「わたくしのことを知ってますの?」

「……気にするな」

「? まぁいいですわ。あなたの目的はなんですの? この国でいったい何をしようとしてますの!」


 激しい口調で問い詰めるコメット。しかし、アルマはどこ吹く風でまったく気にした様子もない。いくらコメットが凄んだ所でアルマにとっては子供の威嚇でしか無い。


「答える義理はないな。クロエは……ここにはいないのか。なるほど、あっちに行ったわけか」


 コメットも、そしてアイアルも気付いた。目の前にいるアルマが二人のことをまったく見ていないということに。

 こうして言葉を交わしていても、その意識は別の場所にあった。


「親父。あたし達はその大砲を壊すためにここに来た。その邪魔をすんのか?」

「これは計画のために必要なものだからな。少なくとも今ここで壊されるわけにはいかない。もっとも、お前たちに壊せるとも思えないが」

「っ、舐めんな! 『ファイアボール』!!」


 渾身の『ファイアボール』を放つアイアル。しかしアイアルの魔法は大砲に直撃すると同時に霧散して消えた。


「耐魔コーティング。俺の作った特別製だ。並大抵の魔法は弾く。たとえ上級魔法を使ったとしても壊すことはできない」


 元々対エルフ用に開発されたコーティング剤をアルマは大砲に使っていた。先ほどの一撃で魔力を相当消耗しているアイアルがその耐魔コーティングを突破するのは不可能に近かった。


「魔法が無理なら物理で壊すだけですわ!」


 コメットは手にした銃に魔力ではなく実弾を込める。それも普通の銃弾ではない。倒れた兵士達が持っていた火力に特化した特別製の銃弾だ。

 

「くらいなさいな!」


 コメットの撃った弾丸が一直線に大砲に向かう。しかし、その前にアルマが立ち塞がった。


「なっ!?」

「甘いな」

 

 一閃。目にも留まらぬ速さで振られた剣がコメットの放った銃弾を斬り落とした。その直後、アルマの背後で斬られた弾丸が爆発する。


「その弾……なるほど。銃も兵士達から奪ったものか。確かにその弾の威力は生半可な魔法よりも強い。実弾であるがゆえに耐魔コーティングの意味もない。だがそれも当たればの話だ。後何発残っている? 作った数を考えれば残り数発のはずだ」

「銃弾を斬るだなんて……それにその大剣は」


 どこから取り出したのか、気付けばアルマは大剣を持っていた。飾り気のない無骨な大剣。しかし剣身は異様な威圧感を放っていた。


「たぶん親父の作った大剣だ。そんじょそこらの剣よりもずっと頑丈で切れ味もある」

「……そのようですわね」

「本気なんだな親父。本気で、あたし達の邪魔をするって言うんだな」

「こっちの台詞だアイアル。お前こそ本気で俺の邪魔をするんだな」


 睨み合うアイアルとアルマ。コメットもその目にやる気を漲らせていた。


「そうか。まぁいいだろう。なら教えてやろう。俺とお前たちの間にある力の差を」


 呆れたように息を吐いたアルマは、そう言って大剣を構えた。

 


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします。

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