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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第二章 竜人族の里編
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第26話 動き出す闇

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 城壁の中に広がるイージアの街並みは王都に負けないほど、匹敵するほど発展していた。

 もちろんオレが昔にイージアに来た時とは比べ物にならないほどだ。


「イージアに来るのは初めてなのか?」

「初めて……ってわけじゃないんだけど。前に来た時は落ち着いて回る余裕も無かったから。それに前はこんなに発展してなかったし」

「え、そんなに前なのか?」

「んん! 今のは忘れて。とにかくほとんど初見だと思ってくれたらいいから。うん、ただそれだけ」

「お、おう……」


 あっぶねぇ……うっかり口滑らせるところだった。

 まぁ魔剣だってばらした時点で年齢のことなんて薄々バレてるんだろうけど、それでもできれば隠しておきたい。

 百年以上生きてるからってもしおばあちゃんなんて言われたら……いくらレイヴェルでもブチ切れるな、うん。だいたいオレは不老不死だから永遠の十七歳だっての!

 ……って、誰に言い訳してるんだオレは。

 あ、そうだ。ラミィもどっかにいるだろうし。もし会ったらレイヴェルに迂闊なこと言われないようにしないと。

 先に入ってたけど、どっかにもうどっかにいるのか?


「どうしたんだキョロキョロして。誰か探してるのか?」

「探してると言えば探してるんだけど……できれば見つからない方がいいなーなんて思いつつ」

「どういうことだよそれ」

「あはは……」


 レイヴェルがいない時ならいいんだけど。今はレイヴェルもいるしなー。

 もしラミィがレイヴェルに会ったら何言うかなんてわかったもんじゃないし。

 安全に穏便にことを済ませるためにも先にレイヴェルの宿に行ってからラミィのこと探そうかな。

 うぅん、でも今日はずっとレイヴェルと一緒に動くだろうし。いつまでも隠し通せるようなことでもないだろうしなぁ。


「クーロエ♪」

「ひゃわっ!」


 首筋にふぅーっと息を吹き替けられて思わず飛び上がる。

 弾かれるように後ろを向くと、そこには予想通りというか、いたずらっぽい笑顔を浮かべたラミィの姿があった。


「ラ、ラミィ。びっくりさせないでよ」

「ごめんごめん。久しぶりだったからつい嬉しくなっちゃって。さっきはゆっくり話もできなかったし。それでさ、さっきは聞けなかったけどどうしてクロエはイージアに来たの? 一人? もし良かったらそこで話さない? 積もる話もあるしさ」

「それはいいんだけど、あの、あのねラミィ。ちょっと話があるんだけど」

「ん? なぁに」

「えーと、クロエ。この人は?」

「……あんた誰?」


 オレとラミィが話しているのを見て、それまで驚いて黙っていたレイヴェルが冷静さを取り戻し聞いて来る。

 それに対して反応したのはラミィだ。まるでレイヴェルのことになんか気付いてなかったみたいに……っていうか、事実として気付いてなかったんだと思う。

 ラミィの目には確実にオレしか映ってなかった。それ以外は路傍の石みたいなものなんだろう。

 たぶんさっき会った検問官のことももう覚えてないと思う。

 それくらいラミィは他人に興味がない。一部の例外を除いて、だけど。

 絶対零度にも等しいラミィの瞳を向けられてレイヴェルは一瞬たじろぐ。

 うん、わかるわかる。怖いよな。ラミィみたいな美人にこんな目向けられたらオレだってちびりそうになる。


「だ、誰って……俺はレイヴェルだ。レイヴェル・アークナー」

「ふーん、で? そのレイガルだかレイヴァルだか知らないけど。私達になんか用? っていうかクロエのこと気安く呼び捨てにしてたけどなんなわけ?」

「何って、俺は」

「あのねラミィ、話っていうのは彼のことなの」


 レイヴェルの口から言わせるのはまずい。

 ここはちゃんとオレの口から言わないとダメだ。


「こいつ? こいつがクロエの何なの?」

「えっと……そのね、契約者……なんだ」

「……え?」


 オレがそう言った瞬間、ラミィの表情が固まった。

 思いもよらない言葉を聞いたことで脳が処理することを拒否してるのか、言葉の意味を何度も反芻してるのか。

 まるで時が止まったみたいにラミィは動かなくなってしまった。

 

「あの、ラミィ? 大丈夫?」

「……こ」

「こ?」

「こいつがクロエの契約者ぁああああああああっっ!?」


 ラミィの叫び声が、イージアの中に大きく響き渡った。






□■□■□■□■□■□■□■□■



 人の気配の全くない建物の中をディエドとダーヴは歩いていた。

 否、正確には人がいないわけではない。ディエドとダーヴの足元に人はいた。ただし、全員物言わぬ死体になっていたのだが。


「なんか嬉しそうだねぇディエド」

「あぁ。当たり前だろ。久しぶりに楽しめそうな獲物見つけたんだからな」

「うふふ、どうかーん。ダーちゃんもウキウキしてる♪」


 ディエドの言う獲物とはもちろんクロエとレイヴェルのことだ。

 強者との戦いを望むディエドとダーヴにとって魔剣使いは願ってもない相手だった。


「しかも見たか? あの魔剣。俺の予想が正しけりゃあいつはラグナロクシリーズだ。あの破壊力……一撃で俺らの魔力がごっそり持って行かれたからな」

「ラグナロクシリーズかぁ。ラグナロクシリーズとはまだ戦ったこと無かったよねぇ。ずっとレジェンドシリーズばっかりだし」

「あぁ。ラグナロクシリーズなんて眉唾だと思ってたんだがなぁ。実物を見たらなるほどだ、納得するしかねぇ。あの魔剣はまさしく格が違う」

「む、それってダーちゃんがあの魔剣より劣ってるっていいたいのー? 拗ねちゃうよ?」

「バーカ。んなこと言ってねぇだろ。ま、確かに単体で比べりゃあっちの方が性能が良いかもしれねぇけどな。でも魔剣ってのはそれだけで完成するもんじゃねぇだろ」


 魔剣とは、それ単体では意味をなさない。魔剣少女とその契約者。この二つが揃って初めて魔剣は完成するのだ。


「俺とお前が揃って勝てねぇ奴なんていねぇんだよ。それこそ、ラグナロクシリーズだろうがなんだろうがな」

「きひひっ♪ 確かにそうだねぇ。ダーちゃんとディエドは最強だもんねぇ」

「今はまだあいつらには手を出さねぇ。契約したばっかみてぇだしな。それじゃ面白くねぇ。もっと力を蓄えて、強くなってもらわねぇとな」

「楽しみだねぇ。また会う時が」

「あぁ」


 死体が地に溢れる異様な光景。しかし、その光景を生み出したディエドとダーヴはそれがまるで当たり前のことであるかのように気にした様子もなく、つい先日出会ったばかりのクロエとレイヴェルのことを考えていた。

 すると、そんな二人の前に黒いローブを目深に被ったいかにも怪しい人物が現れる。だがディエドとダーヴは微塵も慌てる様子がない。


「……またずいぶんと派手に暴れたな」

「あぁ、ちょっといいことがあってな。それより何の用だよノイン」


 男か女かも判別のつかない声音——ノインと呼ばれたその人物はディエド達と同様、足元の死体のことは気にも留めずに話を続ける。


「あのお方から指令だ」

「あ? またかよ。この間王都行ったばっかりだろうが」

「そうだよぉ。なんだかダーちゃん達のこと都合よい駒だと思ってない? あのさぁ。あんまり舐めてると——」


 次の瞬間、ダーヴの姿が発光したかと思うと、ディエドの手に剣が握られていた。その切っ先はノインの首に添えられている。ディエドが僅かでも動かせば首が切り裂かれることは間違いないだろう。


『殺すよ?』

「好きにしろ。私の生死は問題ではないのだから」


 しかし、ノインは微塵の動揺も見せなかった。

 期待した反応が返ってこなかったことにダーヴはつまらなさそうに鼻を鳴らし、人の姿へと戻る。


「聞く気になったか?」

「話だけだ。面白くなさそうだったら帰る」

「それなら問題ないだろう。そこにはお前達も気に入るはずだ」

「へぇ、大した自信じゃねぇか」

「今度向かってもらうのは竜人族の里。そこにある竜命木が今回の目標だ」


 クロエとレイヴェルがイージアについたその頃、その裏で大きな闇が動き始めていた。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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