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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第四章 妖精と地精の国
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第254話 厳しい入国審査

誤字脱字があれば教えてくれると嬉しいです。

〈レイヴェル視点〉


 さぁいざグリモアへ入国……とはいかなかった、

 グリモアに着いた俺達がまず最初に受けたのは入国審査だ。

 持って来た荷物を片っ端から調べられた。まぁ国に入るんだから仕方ないだろう。ただここまで念入りに調べるかってくらい念入りだ。

 大きな鞄はもちろん、小物しか入らないようなポーチに至るまで。さすがに細かすぎやしないか?

 正直荷物を片っ端からひっくり返されるのはあんまり良い気はしない。そんなことを考えてたら検査を担当していたエルフの男性が申し訳なさそうな顔をして言ってきた。


「今は国内に不穏な勢力もいるため外からの来客にも気をつけざるを得ないのです。申し訳ありません」

「あ、いえ。そういうことなら仕方無いかと」


 不穏な勢力。まぁ言わずもがなレジスタンスの人達のことなんだろうな。

 でも外から来た俺達のことも念入りに調べるほどに警戒してるのか。

 一応見られて困るような物は全部別の場所に隠したから問題は無いはずだけど。

 若干緊張しながら検査が無事に終わるように祈る。

 そして――。


「はい。問題無さそうですね。あ、一応外から来た方の武器の持ち込みは禁止されていますので、そちらの武器だけお預かりしても良いですか? もちろん出国される際は返却いたしますので」

「え? この剣を? でもこの剣は」

「冒険者の方ですから不安に思うのはわかります。ですが、グリモア内は安全ですので武器を携帯していなくても平気です。どうかご安心を」


 安全ねぇ。不穏な勢力がいるって聞かされたばっかりなのに安全って言われても全く安心できないんだが。たぶん上の奴からこう言って武器を取り上げろとかなんとか言われてるんだろうな。

 ここでもし納得できないなんて言ったらグリモアの安全体制を疑うことになるわけだし。向こうからすれば良い気はしないだろうな。

 でも他の武器ならともかく、この剣を、クロエのことを向こうに渡すわけにはいかない。さてどう言い訳したもんか。


「どうされたんですか?」


 俺が渡し渋っていると、検査していたエルフがいぶかしげな顔をしてこっちのことを見てくる。


「なにか問題でも?」


 そう言われると問題しかないんだけどな。でもそのまま本当の理由を伝えるわけにもいかない。この場を誤魔化すためにいったん渡すか? 後で契約紋を通じて呼ぶことはできそうだしな。

 いや、でもそんなことしたら後でクロエに何言われるかわかったもんじゃない。それに他の誰かにクロエのことを触らせるのも癪だ。

 そんなことを考えてたら離れた位置にいたエルフの兵士が険しい顔をして近づいてきた。まぁ明らかに好意的な雰囲気じゃないな。


「どうせ武器を渡すのを渋っているんだろう。いいか貴様、これは決まりだ。いいからさっさと武器を――ぐぁっ!?」

「やばっ」


 俺から無理矢理剣を取り上げようとした男の体が吹き飛ばされる。もちろん俺は何もしてない。

 俺は冷や汗を流しながらクロエに目を向ける。今のをやったのは確実にクロエだ。でも相変わらずクロエは何も言わない。


「ど、どうした?! 貴様、いったい何を!」

「い、いや俺は何も」

「嘘を吐くな! 今し方この目でみたばかりだぞ! いますぐ取り押さえて――」

「意思を持つ剣なんだ」

「……なんだと?」


 一か八かだったが、話を聞く気にはなってくれたか。

 クロエから事前に言われてた設定だったけどエルフの興味を惹くことはできたみたいだ。


「嘘を吐くな。意思を持つ剣など国家で保有するレベルの稀少な剣だぞ。どうして一介の冒険者でしかないお前が持っている」


 さっきまでの丁寧な態度はどこへやら高圧的な態度で詰め寄ってくる。

 意思を持つ剣。魔剣とは違う、それでもかなり稀少な剣だ。さすがに魔剣とは比べるべくもないが、魔剣のように固有の力を持っている。一本売るだけで一生遊んで暮らせるだけの金が手に入るって言われてる。もちろんだからって売るような奴はいないだろうけど。

 見つかるのは往々にして突発的に生まれたダンジョンの最下層だったりする。そこまで行けるような実力者なら生活に困らない程度の金は持ってる。

 後は一家に代々受け継がれてるパターンだ。


「これは俺の家に受け継がれてきたものなんだ。俺の先祖に冒険者が居て偶然手に入れたらしくてな。ずっと受け継がれてきたものなんだ。この剣は俺以外に触られるのを酷く嫌がる。だからさっきみたいなことが起きたんだ」


 これはあながち嘘でもない。もし本当に意思を持つ剣なら持ち主以外が触ろうとすると顕著な反応を示す。さっきみたいなことも珍しくないらしい。


「嘘じゃないぞ。なんなら試してみるか?」

「……いや、遠慮しておきます。そういうことなら事情は汲みます。ですが、グリモア内でその剣を抜くようなことがあればすぐに捕まるということだけ覚えておいてください。それからこれを手首に」

「? これは?」

「滞在証明書の代わりです。それをつけている間は入国審査を通過した客人だと認識されますので」

「なるほど。わかった。忘れずに付けておくよ」

「あちらも終わったようですね。ではどうぞグリモアへ。あなた方の滞在が良き物となることを願っておきます」


 検査のエルフに見送られ、俺達はグリモアへの入国を許可されたのだった。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします。

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