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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第三章 獣人族の宝玉編
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第191話 情報屋としての信条

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 二日後、オレ達はケルノス連合国の首都ビースまで戻って来ていた。

 行きと違って帰るのは簡単だった。途中からはカムイの手配した飛空艇に乗るだけで良かったから。

 まぁ、結局守るべき『月天宝』は守れなかったし、依頼としては失敗って形になるんだと思う。でも問題はそこじゃない。依頼の成否なんてどうでもいい。

 ハル達のこと。知ってる限りのことをロゼから聞く必要がある。このタイミングでオレ達のことを呼び出したってことは、確実に何かを知ってるはずだから。

 依頼の報告はライア達が請け負ってくれた。オレとレイヴェルはその間の時間を利用してフェティと一緒にロゼの店へとやって来ていた。


「ババさ……師匠、ただいま戻りました」

「遅かったな。それとフュンフ、今ババ様って言おうとしたな。それは止めろと何度も言ってるはずだぞ。まだそう呼ばれるほどの歳ではないわ」

「十分歳だと思うけど」

「聞こえとるぞクロエ」


 かなり小声で呟いたはずなのに、さすがの地獄耳と言うべきか。まぁロゼなら不思議じゃないけど。


「まぁよい。フェティ、茶の用意を」

「珍しいね。ロゼがそんな気を回すなんて」

「阿呆。私の分だけに決まっておるだろうが。なんでお主らに私の秘蔵の茶を出さねばならんのだ」

「ホント、そういうとこ可愛げないよね」

「なんじゃと!」

「お、おいクロエ。いきなり来て喧嘩するなよ」

「別に喧嘩してるわけじゃないよ。ただロゼにもう少し礼儀ってものを教えてあげようとしただけだから」

「ふん、何が礼儀だ。お前に教えられるようなことは何もないわ!」

「あぁもういいから落ち着いてくれ!」


 レイヴェルがオレとロゼの間に割って入る。ロゼとは別に仲が悪いわけじゃないけど、どうしても会うとこうなるのが難点だ。ロゼが優秀だからこそムカつくというか。まぁ出会った時からこの調子だから半ば諦めてるとこもあるけど。


「師匠、お待たせしました」

「お、持ってきたか。ってなぜ三つあるんじゃ」

「クロエさん達の分です」

「必要ないと言っただろうに」

「ですがもう用意してしまったので。お二人ともどうぞ」

「ありがとうフェティ。フェティはホントにいい子ね。ロゼとは大違い」

「くすぐったいです」

「ふむ、ずいぶんと懐いたみたいだな。どんな手管で手なずけたのやら」

「人聞きの悪い言い方しないで。普通に仲良くなっただけだから。それより——本題に入ってもいい?」

「ずいぶんと直球だな」

「そもそもここに来たのはそれが目的なんだから」


 気持ちを切り替える。いつまでもふざけてるわけにはいかない。ここに呼んだってことは、オレの聞きたいことはわかってるってことだ。

 というか、単純に考えてロゼが知らないわけがない。

 変に探ろうとしても誤魔化されるだけだから、直球で聞くしかない。


「私、そういう腹の探り合いとか苦手だから直球で聞くけど……ハルのことどこまで知ってたの?」

「ふふ、どこまで……か。私を誰だと思っている」

「やっぱり知ってたんだね。最初から」


 力が漏れて手にしたカップに僅かに亀裂が入る。


「どうして……」

「どうして教えてくれなかったのか、ということか? それは愚問だぞ」

「っ……」


 わかってる。言われなくたって。

 ロゼは情報屋。表も裏も関係なく、多くの情報を取り扱っている。差し出すものに見合うだけの情報を。それがロゼの信条。

 そもそも前提が違うって話だ。オレの知りたい情報があって初めてロゼは交渉の場に立ってくれる。

 たとえオレが喉から手が出るほど知りたい情報をロゼが持ってたとしても、オレが聞かない限りロゼはその情報を差し出すことはない。今回のハルのことに関しても同じ。

 オレが何も聞かなかったからロゼは何も言わなかった。ただそれだけ。

 このことでロゼを攻めるのはお門違いもいいとこだ。

 むしろ、今こうしてこの場を設けていることが異例と言ってもいいくらい。

 これがロゼなりの誠意なんだろう。


「そうだね。ロゼの言う通り。あなたは情報屋だもんね」

「その通り。さぁ、お主は知りたいことのために、どこまで、いや、何を差し出せる?」

「…………」

「クロエ」

「何もないよ」

「ほう……」


 オレは静かに首を振る。そう、何もない。残念ながらと言うべきか、オレの持ってる情報の中にロゼを満足させることができるような情報は何もない。


「今の私は特に有益な情報なんて持ってない。それこそロゼの持ってる情報に見合うだけのものなんて持ってない」

「だからハルの情報はいらないと?」

「いらないわけじゃないけど。でも、無理やり聞き出すのは違うし、デタラメなこと言ったってすぐに見抜くでしょ。だから今は諦める。でもいつかロゼが満足するような情報を持ってきてハル達のこと教えてもらうから」

「……くくく……あははははははっっ!!」

「な、何がおかしいの」

「いや、ここまで馬鹿正直に言われるとは思ってなかった。確かに今のお前から私の望むものは得られないだろうな。持ってる情報もたかが知れている。今はお前の力を必要とするようなこともないしな」

「だからって別にそこまで笑わなくても」

「あぁいや、別に馬鹿にする気は……ちょっとしかなかったんだが。だが、そうか。ふふ、いいだろう。今回は特別だ」

「え?」

「今回フェティの面倒を見てもらった礼もあるからな。全て、とは言わないがある程度の情報は教えてやろう」




今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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