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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第三章 獣人族の宝玉編
179/350

第171話 ネヴァンの力

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

『魔剣使い……』

「くそ、こんなタイミングで」


 もう少し。後少しだったのに。

 すんでの所で邪魔してきた二人のことを睨みつける。

 クルトとネヴァン。そう名乗ってたけど……。

 フードの奴が放ってきた針に射貫かれたせいで今レイヴェルは動けない。でもそれ自体は問題じゃない。

 この針はオレの力ですぐに破壊できる。でも、その破壊のための僅かな時間ですら今のオレには惜しかった。


「行くぞ。あの方がお待ちだ」

「……あぁ、わかってるよ」

「…………」

『っ、ファーラ、ヴァルガ、待って!』


 オレが呼び止めても二人は振り返ることもなく、そのままフードの奴と一緒に離れていく。このまま行かせるわけにはいかない。早く二人を追いかけないと!


『レイヴェル、ちょっと無理やり壊すから!』

「あぁ、わかった!」


 『影縫い』。影に特殊な針を突き刺して対象の動きを封じる技。影魔法を使う人が似たような技を使ってるのを昔見たことがあるけど、さっきのはそういう感じじゃない。

 その辺りの技術を応用した道具が使われてるんだろう。って、今はそんなことどうでもいい。幸いこの魔道具はそれほど耐久力は高くなさそうだ。これなら無理やり壊すこともできる。

 オレはレイヴェルから送られてきた魔力を使ってレイヴェルの動きを封じていた針を無理やり破壊する。


「っ、よし! 動けるようになった!」

『追いかけるよレイヴェル!』

「あぁ!」


 でも、そう簡単にことが運ぶわけもなかった。


『どこに行こうっていうのかしら?』

「さすがに無視は僕も傷つくなぁ」


 二人の後を追いかけようとしたオレ達の前にさっき現れた魔剣使いが立ち塞がる。

 そのまま素通りさせてくれるとは思わなかったけど、でも、今はこいつらの相手をしてる場合じゃないんだ!


『そこを退いて!!』

『怖いわね。でもぉ、せっかく会えた魔剣同士。殺り合わないのも面白くないでしょ?』

『ふさけないで!』

「相当焦ってるね。そんなの彼らのことを追いかけたいの?」

「それがわかってるなら退いて欲しいんだがな」

「まぁ僕としてはどっちでもいいんだけどさ……」

『馬鹿なこと言わないで。魔剣と殺り合える機会を逃すわけがないでしょ』

「とまぁ、彼女がこんな感じなわけでさ。僕の反対意見なんか聞いてくれたことないんだよね」


 そう言ってクルトは呆れたようにため息を吐く。

 その様は本気でそう思ってるおうに見えるけど……でも違う。

 あのクルトってやつも根本はネヴァンと同じだ。オレ達の邪魔をすることを嫌がってない。ううん、むしろ楽しんでる。


『まさかとは思うけど……私達から逃げきれるとは思ってないわよね?』

『くっ……レイヴェル、やろう』

「そうだな。それしかなさそうだ」

「あぁやっぱり結局そうなっちゃうかぁ。まぁ、仕方ないよねぇ」

『「っ!?」』


 クルトの持つ剣——ネヴァンから禍々しい紫色の瘴気が広がる。それはゆっくりと広がり、オレ達に近づいてくる。


『あ、まずい! レイヴェル、離れて! あれを吸っちゃダメ!』


 瘴気がオレ達の所に到達する前にレイヴェルはその瘴気から距離を取る。

 その直後、変化は起こった。


「これは……」

『これがあの魔剣の力……』


 瘴気の範囲内にあった木々が何の前触れもなく腐る。さっきまで青々と命の満ちていた木が一瞬で腐り落ちた。

 木々だけじゃない。地面もだ。草が枯れて、その命を枯らされる。

 あれがネヴァンの力……。


『ふふ、残念。この瘴気を吸ってくれたら面白いことになったのに』

「まぁ警戒するよね。見た目からして明らかに怪しいし」


 クルトはその瘴気の中心にいるのに大して苦しむ様子も無い。まぁ魔剣使いが自分の魔剣の能力で苦しむはずもないから当然か。


「どうする? あの瘴気がある限り迂闊に近づけないぞ」

『わかってる。レイヴェル、最初から飛ばして行こう。あの二人に時間をかけるわけにはいかないんだから』

「やるのか……わかった。いつでも大丈夫だ」


 レイヴェルはどうやらオレの意図に気付いてくれたみたいだ。

 オレ達はファーラ達のことを追わなきゃいけない。この二人にいつまでも時間を割いてる余裕なんかない。

 だから速攻で勝負を決める。


『ふぅん。何かやるつもりなのね』

『その余裕、すぐに壊してあげるから』


 レイヴェルの体を漆黒の光が包み込む。使うのは二回目。

 魔力の消耗も激しいから長時間は厳しいかもしれないけど、ここはなんとしても押し通る!


『【鎧化】——『破黒皇鎧』!!』


 二度目の顕現となる漆黒の鎧。レイヴェルと一つになったような感覚がする。

 よし、【鎧化】は上手くいった。この状態ならあの霧も防げる。


『まさか最初から【鎧化】をしてくるなんて……でもいいじゃない。それでこそやりがいがあるってものだわ』

「はぁ、怖いなぁ。そんな本気出してくるなんて。怖いから……ちゃんと殺しとかないとね」


 待っててファーラ、ヴァルガ……すぐに追いついてみせるから!


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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