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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第三章 獣人族の宝玉編
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第165話 戦闘人形

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ライアとアリオスが戦い始めた後、ラオとリオはその場から離れた位置へと移動していた。理由は単純で、二人の戦いに巻き込まれないためだ。

 魔剣使いと、魔剣使いに届くほどの力を持った人間。そんな二人の戦いに巻き込まれるなどたまったものではない。

 ラオとリオもかなりの実力者ではあるが、それでも今はまだ魔剣使いに勝てるほどではないのだから。


「リーダーのことだから心配はしてないけどさ、できればあんまり被害は大きくしないで欲しいよね」

「同意。魔剣使い相手じゃリーダーでも手加減はできなさそうだから、あんまり期待はしてないけど」


 ラオもリオもライアが負けるとは微塵も考えていない。

 懸念しているのはライアが本気を出すことでどれだけ周囲に影響を与えるかということだけだ。

 最悪周囲の地形が変わる可能性すらある。それを考えればできるだけライアから離れようと思うのは当たり前だった。


「で、あいつらは何も言わずにぴったりついてきてるわけだけど」

「正直気味が悪い。攻撃くらい仕掛けてくるかと思ったのに」

「どっかに誘導したいのか、それともまともに戦う気がないのか」

「リーダーと魔剣使いの人が戦う邪魔をして欲しくないんじゃない? この人たちの仕事はラオ達の妨害だと思う」

「ま、元より邪魔する気なんてないんだけど。まぁいっか。それより、この辺なら大丈夫かな」

「ん。思う存分暴れられそう」


 ラオとリオが移動を止めると、後ろからぴったりとついてきていたフードの人物達も移動を止めラオとリオを囲むように展開する。このまま逃がすというつもりはないそうだ。


「さっきからずっと思ってたけど、こいつらさ……人じゃないよね」

「間違いないと思う。生命の息吹を感じない。人形だと思う」


 戦闘人形と呼ばれる、特殊な技術を用いて作られた人形。製作者の力量次第では上級冒険者にも匹敵するほどの力を発揮する。命令には絶対服従。何より厄介なのは、命を持たないからこそ、危険を顧みずに攻撃を仕掛けてくることだ。

 

「まぁいっか。サクッと片付けないとね。リーダーはともかく、向こうの方は大変そうだし」

「ん。時間をかけずに一気に殲滅する。リオ、サポートして」

「オッケー♪ 任せてよ!」


 ラオとリオの戦い方は至極単純だ。前衛と後衛に分かれての連携だ。その性格から勘違いされがちだが、前衛を務めるのはラオ。後衛を務めるのはリオだ。

 ラオは手甲をつけ、リオは法器を構える。


「人形相手なら遠慮せずにブチかませる」

「だね。じゃあいくよ。『アンチマジック』『ストレングスアップ』『ファイアエンチャント』!」


 三つの魔法を同時に展開し、ラオを強化する。

 付与したのは相手からの攻撃魔法や妨害魔法を防ぐ『アンチマジック』。筋力や頭の回転速度など、全ての能力を上昇させる『ストレングスアップ』。そして攻撃に炎属性を付与する『ファイアエンチャント』だ。


「ふぅ……っっ!!」


 呼吸を整えたラオはまずリオの近くにいた戦闘人形から排除にかかる。リオにも多少ではあるが近接戦闘の心得はある。しかしそれでも複数体に襲われれば捌ききるのは難しくなる。

 もちろん魔法などを使えばその限りではないのだが、僅かな隙を突かれる可能性はある。

 だからラオが処理してしまうのが一番簡単なのだ。


「ふっ」


 リオの近くに居た三体の人形を一撃で仕留めるラオ。その手に伝わるのは硬い何かを砕いたような感触。

 明らかに人のものではなかった。

 その三体を撃破したタイミングで左右にいた二体がラオのことを抑えようと飛び掛かってくる。


「遅すぎる」


 飛び掛かってきた二体のタックルをラオはジャンプで避け、ラオという目標を喪失した二人はそのまま正面からぶつかり崩れ落ちる。

 ラオはそのまま着地して二体を踏み砕き、残り五体。その五体も特に連携するわけでもなく、一斉に襲いかかってきた。

 しかし攻撃してくるわけではなく、飛び掛かって捕まえようとするだけ。そんな稚拙な行動がラオに通用するわけもなく、瞬く間に制圧される。

 戦闘開始してから一分足らずの出来事だ。そのあまりの弱さにラオは眉をひそめる。


「おかしい。手ごたえがなさすぎる」

「なんか変な感じだね」


 確かに速さはあった。しかしそれだけだ。戦闘人形特有の連携などは一切なかった。正直、ラオ達にぶつけるにはあまりにも弱いと言ってもいい。


「でも片付いたなら……って、あー……そういう感じか」

「理解した。これは面倒くさそう」


 倒れていた十体の戦闘人形がカタカタと音を立て、無造作に起き上がる。

 起き上がった戦闘人形は元通りになっていた。

 自己修復。相手にするには非常に面倒な能力が相手に備わっていることをラオ達は理解した。


「時間がかかりそうな相手は嫌いなんだけどなぁ」

「全力で同意する。でも仕方ない。このまま放置もできそうにないし」

「だねー。はぁ、仕方ないか」

「今度こそ完全に破壊し尽くす」


 グッと拳を握りしめ、ラオは戦闘人形に向けて突進し、リオは魔法の詠唱を開始するのだった。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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