表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第三章 獣人族の宝玉編
162/350

第154話 本当の依頼主

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「コイル、コンズ。周囲の様子はどうだ」

「……問題ありません」

「大丈夫そうですぜ、坊ちゃん」

「よし、それじゃあ始めるとしよう」


 クロエやライア達が精霊の森へと向かっているなか、コルヴァ達は精霊の森へと向かいながらとある準備を進めていた。


「……あの女の結界、かなり厄介だな。くそ、まさか僕の力を持ってしても解除できないなんて」

「リオ・フィールでしたか。ライア・レリッカーは言わずもがな、ラオ・フィールも含め人族の娘にしてはかなりの使い手のようですが」

「ふん、とはいえ所詮は人族の娘だ。この僕の力を持ってすればどうとでもできる……はずだ」


 若干自信なさげながら、コルヴァは結界の貼られた『月天宝』を睨みつけていた。

 その目的はもちろん『月天宝』に貼られた結界をバレないように解除するためだ。


「しかし坊ちゃん。その『月天宝』の結界を解除してどうするんで? それが本物かどうかもわからないんでしょう?」

「はぁ、コンズ。お前は本当に馬鹿だな」

「?」

「確かにこれが本物かどうかはわからない。でもそれは向こうにとっても同じことだ」

「まさか……騙すんですかい?」

「本当なら昨日の段階で盗み出してしまいたかったけどね。まさか見張りをすることになるなんて。さすがにあの状況じゃいくら僕でも盗み出すのは難しいからね」

「なるほど。この『月天宝』は本物と見分けがつかないほどに精巧にできている。此度の依頼主がそれに気づくことはないというわけですか」

「もちろんいつかは気付くだろうが、すぐには難しいはず。そのための術も用意してあるしな」

「へへっ、さすが坊ちゃんだ。あくどいことを考える」

「褒めているのかそれは」

「もちろんでさぁ」

「今回の依頼だけは必ず遂行しなければいけないんだ。僕達狐族が再興し、この獣人国の王となるためにも。この国の王に相応しいのはあの愚王ではない。僕達狐族なんだ」


 カムイは目の前の『月天宝』を睨みつけながら、ギリッと歯を食いしばる。

 その胸中に渦巻くのは、過去の記憶。そして受けてきた様々な屈辱だ。だからこそコルヴァは決めたのだ。たとえどんな手段を使ってもカムイの王の座から引きずり落とし、王となるのだと。

 しかしカムイの保有してる戦力は並大抵のものではない。そんな時に声をかけてきたのが今回の組織、カムイ達の本当の依頼主だった。

 何を目的としている組織なのかはコルヴァ達も知らない。あまりに謎めいた組織だったが、それでもコルヴァ達が依頼を受けたのは提示された報酬があまりにも魅力的だったからだ。


「今回の報酬として提示された『魔剣』。なんとしても手に入れてみせる」


 それが今回提示された報酬だった。魔剣を報酬として出すことなどあり得ない。普通なら与太話として相手にもしなかっただろう。しかしそうしなかったのは、相手の組織に魔剣使いが複数人いたこと。そして報酬として提示された魔剣少女本人から契約してもいいと言われたことが大きい。


「もし虚偽がバレたとしても、魔剣を受け取った後なら構わない。僕ほどの実力者が魔剣を手にすれば名実ともに最強だろうからな」


 コルヴァは魔剣を手にすることができれば、自分が世界で最強になれると心の底から信じていた。たとえ他の魔剣使いを相手にしたとしても絶対に負けないと。

 もしこの場にクロエやダーヴがいたらそんなコルヴァの言葉は妄言と切り捨てただろう。しかし、コルヴァは魔剣少女というものを知らない。コルヴァは魔剣少女という存在に対してあまりにも無知だった。

 そんなことには全く気付いていないコルヴァは、ひたすらリオの貼った結界を解除しようと試みる。しかし、どう足掻いても気付かれずに解除できない結界にコルヴァの苛立ちは頂点に達しようとしていた。


「あぁくそ、この結界の術式さえ解読できれば解除できるのに」


 コルヴァが想像していたよりもずっと結界の構造は複雑で、そのせいでコルヴァは結界の解除に手間取っていた。もし強引に術式の解読をしようとしたり、壊すような真似をすればリオに伝わり、面倒なことになるのはわかりきっていた。

 だからこそ慎重に行動していたのだが、これ以上時間をかけるのはあまり望ましくはなかった。


「約束の時間までもう少し。こうなったら多少強引にでも——」

「コルヴァ様」

「坊ちゃん、誰か来やしたぜ」

「なに?」


 コルヴァは深く集中していて気付かなかったが、確かに誰かが近づいてきていた。

 コイルとコンズは警戒するようにコルヴァの前に立つ。

 しかし、茂みから出てきた人物を見たコルヴァはフッと表情を緩める。


「なんだ、お前だったか。予定よりもずいぶん早いじゃないか——ノイン」


 茂みから現れたのはフードを目深に被った人物——今回コルヴァにとって本当の依頼主であるノインだった。



 


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります。

Twitterのフォローなんかもしてくれると嬉しいです。

それではまた次回もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ