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魔剣少女になりました!  作者: ジータ
第三章 獣人族の宝玉編
120/350

第112話 狐族の悪い噂

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

 ファーラとの拳闘術の訓練を終えた後、休憩がてらレイヴェル達が戻って来るの待ってると先に戻って来たのは情報収集に行っていたフェティの方だった。


「ただいま戻りました」

「おかえりフェティ。どうだった?」

「そうですね。小さな村ですのであまり望むような情報は手に入りませんでした」

「そっかぁ。残念だね」

「いえ、元から期待していなかったので。ですが、多少気になる情報はありました」

「そうなの?」

「へぇ、気になるね」

「そんなに期待されるような情報ではないのですが……もったいぶるような情報もないので言ってしまいますが、一週間ほど前までに奇妙な集団がいたそうなんです。ローブを目深に被って、あからさまに一目を避けるような服装をした集団。二日ほど滞在していなくなったそうですが。夜にでかけたり、逆に昼間はほとんど出てこなかったり。かなり怪しい行動をしていたそうです」

「へぇ……ってそれかなり大事な情報じゃない?! この状況でそんな怪しい行動をする人たちなんて結構限られてくるだろうし」

「確かにその点だけで見れば重要な情報でしょうが、肝心のその人物達についてはほとんど情報を得ることはできなかったかもしれませんし。こちらが警戒している集団であるかどうかの確証は得られませんでしたから。確かに警戒すべき情報ではありますが。今は気に停めておく程度で大丈夫かと」

「まぁそうかもしれないけど」

「あ、でもさ。種族とかわからなかったの? 獣人達って鼻がよく利くし」

「それについても確認してみましたが、わからなかったそうです。なんでも被っていたローブがにおいを遮断するようなものだったらしく」

「なんかもう聞けば聞くほど怪しいけど。確かにその情報だけじゃなんとも言えないしなぁ」

「怪しい連中ってことしかわからないね。ま、そんな連中がいたってわかるだけもうけものだろうさ。その情報、他のチームには?」

「ライアさんの所には伝えに行きました。しかし、コルヴァさん達の所はなにやら出発の準備で忙しいらしく。大した情報じゃないなら聞く価値もないとのことでして」

「なにそれ。感じ悪くない?」

「確かにね。でもまぁあの狐族のご子息ならいかにも言いそうなことだね」

「えぇ、そうですね」

「え? 二人ともあの人たちのこと知ってるの?」


 フェティはロゼの仕事手伝ってたりするみたいだから知ってても不思議じゃないけど、そういう世間の評判みたいなのに疎いファーラでも知ってるとか、ちょっと予想外だ。


「知ってるなんていうほどのことじゃないけど。護衛の二人はともかく、狐族の族長の息子であるコルヴァ・ジャレル。あんまりいい噂は聞かないんだ。狐族は族長主義というか。とにかく族長に対する崇拝が半端じゃない。それこそ神と同列にでも扱ってるんじゃないかってレベルでね。そんな族長の息子に生まれたもんだから、生まれた時からかなり甘やかされて生きてきたみたいなんだ」

「幼少時がそれでもよかったのかもしれません。狐族の里から出るようなこともなかったでしょうから。ですが、成長して外にも出るようになったころに問題を起こすようになったそうです。簡単に言ってしまえば、里の中での扱いを外でも当たり前のように望んでしまったというわけですね。それ自体はまぁ仕方のないことだと思わなくもありません。非常識ではありますが、そういう環境で育ったのですから。しかし、周囲がよくありませんでした」

「周囲が? どういうこと?」

「お付きに奴らにとってコルヴァは神に子。崇拝しない連中を激しく責めたのさ。それこそ、武力行使も辞さないくらいにね」

「えぇ……なにそれ」

「おかげで狐族と周囲の里の関係は悪化しまくってね。アタシらも何回か巻き込まれたことがあるくらいだ。それでも最近は大人しくしてると思ってたし、獣王様からの要請にもちゃんと答えてたから大丈夫だとは思いたいんだけどねぇ」

「とにかく様子を見るしかないってこと?」

「まぁそうなるね。不穏な動きをしたらすぐにでも締め上げてやるよ」

「えぇと……物騒なのはほどほどにね」


 はぁ、もういっそ真っ黒って感じなら対処にしようがあるのに。黒に近い灰色って一番面倒な気がする。

 いや、勝手に黒が近いとか言うのも偏見混じりの意見だけどさ。

 うーん、まだほとんど話したこともないのに第一印象だけで疑い過ぎるのもよくないか? でもなんか嫌な感じするんだよなぁ。

 とりあえず視野が狭くならないように気を付けないと。


「善処する」

「クロエさんが心配されるならこちらでも警戒しておきます」

「ありがとねフェティ」

「ん……急に頭を撫でないでください」

「その割には嬉しそうだけど」

「別に嬉しそうになんてしてませんっ」


 ふっ、口でなんて言ってても、頬は赤くなってるし耳もピコピコ動いてる。

 可愛いなぁまったく。

 これも魔剣少女に……というか、女の体になった特権だ。

 男の体じゃこんなことできない。レイヴェルがオレと同じことしたら犯罪になるからな。

 って、そういえば。


「ねぇ、レイヴェル達戻って来るの遅くない? もうそろそろ出発の時間なのに」

「そういえばそうですね」

「え……あー、男同士なんか話でもあんじゃない?」

「……ねぇファーラ。何か知ってるでしょ」

「えっ?! い、いやいや! 知ってるわけないって!」

「嘘! 今露骨に目を逸らしたし! 昔からファーラ嘘つくの下手なんだから。丸わかりだからね! とりあえず知ってること全部白状して——」

「悪い、遅くなった!」

「待たせたな」

「あ、レイヴェ——って、どうしたのそれ!」


 オレがファーラに知ってることを吐かせようとしたその瞬間に聞こえてきたレイヴェルの声。そっちの方を向いたオレは思わず驚きに目を見開いた。

 傷こそ見当たらないけど、着てる服はボロボロになってるし、砂まみれだし。


「軽く体を動かしてただけじゃないの? 何したらこうなるの」

「いや、まぁ……ちょっとな」

「ちょっとな、じゃないって。あぁもう、泥だらけだし」

「はぁ、助かったわヴァルガ。ちょっと危なかった」

「何があったのか大体想像はつくが……だから顔に出ないようにしろと何度も」

「無茶言わないでよ。それより、どうだったの?」

「あぁ、まぁ及第点だろう」

「へぇ、あんたがそう判断するってことは悪くないってことか。うん、なるほどね」

「ちょっと、なに二人でコソコソ話してるの! っていうかヴァルガ、レイヴェルと何してたのかちゃんと説明して!」

「む、いや、それはだな……」

「目を逸らさない!」

「ヴァルガもアタシのこと言えないじゃん……」

「落ち着けクロエ。そんな目くじらたてるようなことじゃないだろ。ちょっと熱が入り過ぎただけだって。ほら、怪我もないし」

「そうだけど……でも怪我なんていくらでも誤魔化せるし。ヴァルガ達だから大丈夫だってわかってるけど……うーん……」

「クロエさんは本当にレイヴェルさんのことになると過保護になりますね」

「別に過保護ってわけじゃ。相棒だし。心配するのは当然でしょ?」

「それにしては行き過ぎてる気がしますが」

「そうかなぁ……」

「ま、とにかく俺は大丈夫だからそんなに心配しないでくれ。それよりそろそろ出発の時間だろ。遅れるとライアさん達に怒られるぞ」

「あ、そっか。もう行かないと。まったくもう……いい二人とも、今回はこれ以上追及しないけど、次はないからね。わかった」

「わかった、わかったから」

「うむ、心得た」

 

 結局、レイヴェルとヴァルガが何をしてたのかは知ることができず、若干モヤる気持ちを抱えたままオレは出発のために馬車へと向かうのだった。


今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

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それではまた次回もよろしくお願いします!

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