テーマを決めれば、どこまで描写するか決まる
無駄な文章は書かなくていい。
では無駄な文章とはなんなのか。
ストーリーだけでは面白みのない文章になるでしょうし、かといって心理描写を事細かに描けば眠たくなる文章になるでしょう。
人間はトイレに行きますし、お風呂もはいるし、食事もします、それら全てを書いたらつまらない文章の羅列になるでしょう。
そこで重要になるのがテーマです。
自分は何が書きたいのかとも言い換えられます。
例をあげましょう。
恋愛小説を想像してください。たいてい、主人公かヒロインが事故にあうか、不治の病です。ですが基本、恋愛小説は医療小説ではありません。
なのでブラックジャックや映画の孤高のメスのような医療ドラマは書きません。
何故ならテーマから外れるからです。
逆にブラックジャックや孤高のメスでテーマそっちのけで恋愛やられたら、興ざめです。
極端な例ではあるのですが、この感覚を理解できれば無駄な文章がどんなものかわかります。
トイレにいくシーンをいれたとしましょう。ではそのシーンはテーマにどのようにかかわるのでしょう。何かしらのイベントがおこるならともかく、普通にトイレにいくだけならまったくテーマとかかわりません。ならばそんなシーンは不要と判断できます。
そんなことを言い出したら、ほとんど書くことがなくなる。
という意見もあるでしょうが、そんなことはないです。
主人公の性格、容姿、人間関係などはテーマには直接関わらずともテーマを補強するのに役立ちます。
他にも世界観、風景もテーマを裏打ちするのに必要でしょう。
必要な文章のみで構成された小説はどこを読んでも面白いと感じさせます。
全てが物語にかかわるのでわくわくどきどきしながら読めるのです。
それにたいして、無駄な文章の羅列は読んでいて眠くなります。これ、なんの為に書いてある文章なの? そもそも意味あるの? なんて思われたらもう読んでもらえません。
全ての文章に意味があり、見逃せないと感じさせなければ、読み飛ばされることもあるでしょう。
読み飛ばされるのなら最初から書かないほうが読み手も楽です。
以上が大まかな描写の話しです。次は細かな描写をどうするか説明します。
筆者の『呼び声』では気持ち悪くなる描写やえぐい描写も遠慮なく書いてます。内臓を飛び散らかしながら戦う犬とか普通に出てきます。
たいして『義悪者の憂鬱』ではそのような描写はほとんどありません。
腕が切られたりしてますがリアルな描写はしていません。
これはテーマが違うので書き分けているのです。
こういった書きわけは小説全体の雰囲気をかえます。
どんな作品にしたいのか、つまりテーマによって細部の描写はかわるというわけです。
何を書いても同じような作品になってしまう原因もここにありまして、描写をかえていないから似たような作品になるのです。
さて、だいたいこんなものでしょうか。
最後になるのですが、必要な文章だけを書こうとすると何も書くことがない、という意見が結構あります。
そんなわけないです。
いつ、どこで、だれが、なにを、どうして。
たったこれだけのことを表現するだけでかなりの文章量が必要になります。
今、この文章を読んいるあなたは何処にいるんですか? 椅子に座ってるならどんな椅子ですか? あなたは男ですか女ですか? 夜ですか昼ですか?
現在の自分の状況を説明すると、それだけでかなりの文章を必要としますよね。
何も書くことがないというのは、結局のところ何も書きたいことがないだけです。
何を書きたいのか、つまりテーマをはっきりさせましょう。
テーマがない小説なんてありません。たぶん。
書きはじめる前にテーマをどうするのか考えてみましょう。