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短編集 冬花火

作者: 春風 月葉

 駅のベンチは隣に座る人間を選べないものだ。

 昨日は老婆、一昨日は子連れの女性だったか。

 今日、私の隣に座ったのは中年くらいの男性だった。

 身なりから察するに鳶職か何かだろう。

 はぁ…と深くため息をついたかと思うと男性はそのじゃりじゃりと髭の生えた口元を動かした。

「隣の方、良い気持ちはせんだろうが、少し話を聞いていただけんだろうか?」

 私は聞いた。

「それは私でなくてはならないのですか?」

「なぁに、吐き出す先は誰でも良いのだが、隣に座っているのがお前さんだったというだけだよ。」男性は髭を掻きながら笑う。

「そうですか、まぁ良いでしょう。お話を聞きますよ。」

「ありがとうな。隣がお前さんで良かったよ。」それから男性は、すぅっと口を開いた。


 駅のベンチは隣に座る人間を選べないものだ。

 だからきっと、その時に隣に座った誰かともう一度同じように隣に座ることはないかもしれない。

 でもその偶然には、その人でなくてはいけない何かがあるかもしれない。

 次は誰の隣に座るのだろうか?

 隣の人間は選べない。

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