火事
シャンシャンシャンとけたたましく消防車の音が聞こえてくる。
何事かと、寝ていた頭をたたき起こして外を眺める。
「ありゃー」
比較的遠くであったが、赤色が見える。
きっと燃えている光が漏れてきているのだろう。
家々の隙間からは、燃え盛る舌が見え隠れしている。
「あのあたりなら、大丈夫だな」
俺はそう思いつつ、すっかりと目が覚めてしまったので、ついでに時間を確認した。
ちょうど深夜2時だった。
2時間ほどして、どうやら鎮火したらしく、騒がしいのもなにやらホッとした空気が流れてくる。
ここまでくると、空もほのかに白くなりつつあり、いよいよ朝がやってくるようだ。
あくびを一つ、俺はした。