手料理
人生には幸せなことの方が多くある。
確かに幸せなことの方が多いと思う。
でも、幸せな思い出は中々記憶に残らない。
そして人々の心に残るのは、辛かった記憶、悲しかった記憶、悔しかった記憶、様々な負の記憶が残る事になる。
「不味いなら食わなきゃいいのに…」
「どうかしましたかマスター?」
「サリナは、美味しくない手作りの食べ物を嫌々食べるか、好きな食べ物を自分で買ってきて食べるかどっちがいい?」
「それはもちろんマスターの手作りが良いです」
サリナ、質問に答えられていないんだけど…
「まじめに答えますと、自分のことを考えて作ってもらえる分手作りの方が私は良いですね」
自分のことを考えて作ってもらえる?
「自分のことを考えて作ってもらえる料理です。料理とは不思議なものでして、どれだけ下手でも一生懸命作ると美味しくなるのです。」
「さすがにそれは言いすぎじゃない?」
「そんなことありませんよ。他の皆さんに聞いてみても同じ事を言うと思いますよ」
女性は美味しく感じやすいのだろうか、それとも僕が鈍感なのか…
「マスター、ここまで女性に囲まれて旅をしてるのですからそろそろ女性について学びましょうよ」
面目ございません。
親父は僕の料理をどう考えて食べてたのかな…
「また二人で秘密の話?」
「ユキもマスターとお話したいニャー」
「そんなたいした話じゃないよ。ただ手作りの料理って美味しく感じるって話をしてただけだよ」
僕たちは、次の街に向かうために馬車に乗っている。
馬車の後ろ、荷物置きから僕が後ろを眺めていたところ、サリナがやってきてさっきの会話になったわけだ。
「手作り料理?優人、誰にあげるつもりよ?」
「マスターはユキのために手作りの料理を用意してくれるのかニャ?」
「ユキ何言ってるの?優人は私に作るのよ」
「いえいえリンナさん、マスターの手料理は正妻である私が頂くべきではないでしょうか?」
あっ、これはまずいやつだ。
「マスターもちろんユキにくれるニャ?」
「優人、もちろん私よね?」
「マスターは私に用意してくれるのですよ皆さん」
「何でサリナだけなのよ優人!納得できる説明しなさいよ!」
ちょっと待ってくれよ、何で僕は一言も発していないのに怒られてるの?
「優人、説明しなさいよ」
「ユキも説明を求めるニャ」
「説明なんてしなくても大丈夫ですよマスター。マスターは一番好きな私に手料理を作る。何も不思議なことではありませんよね」
「一番好き?だったら優人は私に手料理を作るはずよ」
「二人とも何言ってるニャ?ユキに作るに決まってるニャ」
また三人の言い合いが始まった。
三人の言い合いを眺めていると、自然と頬が緩んでしまう。
「マスター何を笑っているのですか?笑ってるならマスターから言ってあげてください。マスターが手料理を作る相手はサリナだと」
「優人、あなたの優しいところは良い所だけど、あんまり期待させすぎると可哀想よ」
「マスターはユキのために手料理を作ってくれるのニャ。二人は外食でいいニャ」
三人の言い合いは終わりそうに無かった。
そろそろ次の街に着くから、荷物を降ろす準備しないといけないな。
「街に着くからそろそろ準備しろよ」
声をかけたら全員がすごい形相でこちらを見てきた。
「マスター、結局誰に手料理を作るのですか!?」
「そうよ優人、誰にするのよ!」
「マスターはっきりするニャ!」
僕が少し悩んで出した答え…
「まあ、誰に作るかはまだ秘密で」
もちろん全員に作ってあげるよ。それぞれが好きな料理をね。
やっとたどり着いた街。【ベストリア】この街の別名は花の都。
この街の特徴は綺麗な花が一面に咲いていることであろう。色も形も様々な花が咲き乱れているのに、そのどれもがお互い調和を保っており、一日中景色を眺めていたくなる。
「マスター知っていますか?この街で結婚式を行うと、新郎新婦のみならず参加者全員に幸せが降り注ぐと言われています」
へぇ~、そんな噂があるのか。まあ結婚とか恋愛とかの噂って女の子のほうが詳しいから。
「そうですよ。恋愛関係の話は女性の方が敏感に反応するのです」
もうサリナに心を読まれることに慣れてしまった。でもこれって慣れたらいけないやつの気もするけど。
「マスター、気にしたら負けです」
いやいや、読まないようにしてくれよな。気にしたらとか言うけど、自分の考えを読まれるのはさすがに気にするって。
「あのさ~、二人でいちゃいちゃしてないでさ、荷物降ろすの手伝うとか出来ないの?」
いつの間にか馬車が停車場に止まっており、リンナとユキが荷物を降ろし始めていた。
「大変失礼いたしました。すぐにお荷物降ろさせていただきます」
あまりにも綺麗で眼を奪われていた。サリナにじゃないよ?花にだよ?
「マスター、花と私に眼を奪われてたじゃないですか。私相手に誤魔化しても無駄ですよ」
「いやいや、お花さんに眼を奪われていたんですよサリナさん。そりゃサリナも絵になるけど、花とサリナの共演綺麗だったけどさ」
「マスターお上手ですね」
サリナが僕の手の上に自らの手を重ねる。
「サ、サリナさん、少し近くないですか?」
「そんなことないですよ」
更にサリナが近付いて、お互いの息が当たりそうなほど顔が近い。そして、サリナはそのまま瞼を閉じる。
その行為につられて、僕も眼を閉じ…ゴンッ!!
「いちゃいちゃしてないでさっさと手伝えー!!」
リンナの叫び声が街に響き渡った。
皆さま大変お待たせいたしました。
まっさんです。
そして僕は旅をすることになるの更新を超絶久しぶりに行う事が少々怖く感じております。
執筆の感覚が鈍っていたり、構成の感覚が衰えていたりと、本当にこれで大丈夫かと不安であります。
この長期間更新出来ずに、皆様にお話したいことも沢山ありますが、まず一言
長期間更新せず本当に申し訳ございませんでした。
執筆のペースは戻そうと思っておりますので、これからもよろしくお願いします┏○ペコ
久しぶりの更新ですが、皆様に楽しんで頂けますと幸いです。
それでは今回も楽しんでいってください




