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呪いの解除

「ぐはっ!!」

 しまった、完全にやられた。

 壁に激突して、自分の思っていたことが当たってしまっていたことを悔やんだ。

 僕達は通路に入った時、既に後ろから付けられていたのか。

「マスター!」

 サリナの叫び声が聞こえる。

 大丈夫だと伝えようとするも、肺の空気が全て吐き出されており、声が出なかった。

 しかし、これで相手の姿も確認できるはずだ。

 だが、その狙いは一瞬で砕けてしまった。

「マスターは誰に飛ばされたんだニャ?」

「なんで...姿が見えないんだ!」

 僕は苛立ちを隠せなかった。

 攻撃を受けたら相手が姿を現すと思っていた。だが、それはゲームの世界だけであった。

 実際の敵は姿を隠したまま攻撃を行い、完全に有利な状態で終わらせる。

 僕の考えが甘かったのだ。

「と、とりあえず相手の姿が分からないと攻撃できない」

 息が苦しい、どこかの骨がやられたかな。

 考えろ、必ず解決策があるはずだ…

 リンナは操られていて、相手の姿は見えない。サリナの魔法も、ユキの打撃も効果がない。

「相手が見えればユキの攻撃でやっつけるのにニャ」

 見えれば?そうか!

「サリナ!」

「どうしましたかマスター?」

「操りの解除方法を教えてくれ」

「操りも呪いも解決策は古来より一つしかありません」

 操りも呪いも?

「一つ?」

「はい、王子のキスです」

 えっ?キス?

「だからキスですよ」

 キスってあのキスか?唇と唇の?

「だからそうですよマスター」

「ってか何自然に心を読んでるんだよ!」

 リンナの胸ポケットにあれが入っていたはずだ。

「ユキ、リンナの動きを止めれるか?」

 ユキは周囲を警戒しながらこちらを見つめて

「ほんのちょっとなら止められると思うニャ」

 ちょっとでも止めれるなら大丈夫だ。



「じゃあ、俺の合図で一気に決めるぞ」

「分かったニャ」

「じゃあ、行くぞ!」

 そう言って僕達は走り出した。

 その方向は見えない相手ではなく、リンナに向かってだ。

 僕達が走り出すと、リンナは構えて迎撃の準備を始めた。

「ニャー!!」

 ユキがリンナの足元に飛びつき、リンナは仰向けに倒れた。

 よし、今だ!

 僕はリンナの上に乗りマウントを取ると、顔を近付けた。

「チュッ!」

 !?!?

 全員がこちらを見てきた。

 そして、その目はなぜか恐ろしいものであった。

 と、とりあえずこっちは後で対処しよう。

 リンナは操られていた影響か、気を失っている。

 僕はリンナの胸ポケットを探った。

 更に恐ろしい目が僕を襲ったが、とりあえず気にしない。

「あった」

 リンナのポケットにはお菓子を作る時に使う粉が入っていた。

 その粉を部屋に撒き散らした。

「これで見えるだろ」

 目論見通り、相手の姿が分かった。

「喰らうニャー!」

 なぜかユキの攻撃は僕に向かって来て、モロに攻撃を受けた僕は気を失ってしまった。



「優人!!早くしろ!!俺は疲れてるんだよ!」

 クソッタレな光景を見せられる。

「なんだその目は、文句があるなら出ていけ!!」

 幼い僕は発言しているおっさんを、恨むような目で見ている。

 これは僕の過去だろう。

「できたよ…」

 料理がテーブルに運ばれる。

 見るに、仕事から帰ってきた親父に食事を用意しているようだ。

「けっ、不味い飯だな」

 文句を言いながら親父は料理を口に運ぶ。

 本当にクソみたいな親だ。

 子供に向かってこんな事を言うのだから。

 これほど自分の力の無さを呪ったことは無い。

 母親が居なくなってから全てが変わってしまっていた。



「マスター、目覚めましたか?」

 サリナに膝枕をされていた。

「最悪の気分だよ。でも、過去が分かったことは倒せたのか」

 なぜかユキに攻撃されて気を失っていたが、過去が見えたのは敵が倒せた事にもなる。

「マスターの過去はどうでしたか?」

「どうでした?クソッタレだよ!なんだよあれは!」

「良いものでは無かったのですね…」

 良いものでは無い?あんなの最悪だ。

「クソッタレだよ!八つ当たりされて、逃げる場所も無くて、ただ耐えるしかない。立場の低い人間への嫌がらせだ」

「そうですか…」

 サリナに分かるはずがない、僕の苦しみを。僕の気持ちを。

「はい。残念ながら私にはわかりません」

「だったら!」

 そこまで言って、自分が親父と同じ事をやりそうになっているのに気が付いた。

「ごめん…ちょっと取り乱して」

「気にしていませんよ。マスターは優しいですから」

 僕が優しいか、親父と同じ事をやりそうになったのに優しいのか…

「はい、優しいですよ。だってマスターは気が付きましたから。マスターは同じ事をやりそうになっても気が付いて止めることが出来る。自分の苛立ちの発散を止めることが出来る。それがマスターの良い所です」

「僕の良い所?」

「私はマスターの過去はわかりません。マスターの苦しみもわかりません。でも、今のマスターはわかります。マスターは優しくて素敵な人だとわかります」

 今の僕か…

「過去は過去でしかありませんよ。過去に囚われ自分を見失うのではなく、今の良いマスターが更に良くなるように過去を見ませんか?」

 過去ではなくて未来か…

 またサリナに救われるのか。

「私に救われるのは嫌ですか?」

「まさか、大歓迎だよ」

 二人で微笑み合う。

 救済の世界、僕はこんな生活を現実の世界でしたかったのかもしれない。

「それで話は変わってしまうのですが」

 サリナが僕の目を見つめる。

「マスターはリンナさんにキスしてましたよね?」

 えっ!?

「ま、まあ、したけどさ…それって助ける為に必要だったわけで…」

「それでもキスしましたよね?」

 サリナの顔が怖い笑顔になり、目が闇に飲まれてるように見える。

「じゃあ、私にもキスしてくれますよね」

「あ、あの、サリナさん?」

「キスしてくれますよね?」

 は、はい。

 僕はサリナの首に手を回し、唇に顔を近付ける。

 僕の唇とサリナの唇が接触しそうになる。

「何してるニャー!!」

「こらー!何してるのー!!」

 騒々しい二人の声が聞こえ、とっさに顔を離してしまう。

「サリナ、それは許されないわよ」

「何のことでしょうかリンナさん?」

「あんたキスしようとしてたでしょ?」

 や、やばい、これは僕に飛び火するやつだ。

 そろそろと逃げようとすると

「優人、どこに行くのかしら?」

 あっ、まずい…

 その後、こっぴどく怒られました。

「マスター、キスはまたの機会にですね♡」

皆様、大変お待たせいたしまして申し訳ございません。

まっさんです。

ネタ集めに半年近くかかってしまって申し訳ございません。

今回ですが、やっとの事で探索編が終わりました。

皆様に支えられて探索が終わり次回からは別の街へとシフトしていく予定です。

まあ、その前に色々とやりますのでそこもお楽しみに

お待ち頂いていた皆様本当に申し訳ございませんでした。

今回もお楽しみください

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