謎の美少女
「...ター」
「...スター」
「マスター」
ああ、またこのパターンか。
暗闇の中から、だんだんと視界が広がってくる。
「おはよう」
「おはようではありませんよ、マスター!」
「サ、サリナ苦しいよ」
主にその大きな二つの山が。
「なんでマスターは、モンスターを倒す度に気を失うのですか!サリナ心配です!」
と言われても、自分でも分からないんだよな。
「マスターやっと目が覚めたのかニャ」
ユキは怪我をしてないようだった。
「ユキのおかげで生き延びれたよ、ありがとう」
あのヒレで完全に死ぬと思っていた。でもそこでユキが助けてくれたんだ。
「頭を撫でられると照れるニャー」
恥ずかしそうに、ユキは顔を俯ける。
「それでですねマスター、一つ報告があります」
そう言ってサリナが案内してくれたのは、船の中。
そこに、縛られた謎の美少女がいた。
「この女の子は?」
たしか、海の中にいた女の子ではないか?
「倒した後にユキさんが連れてきました」
「ムググー!」
口にタオルを巻き付けられている美少女は、何か喋ろうとするが、タオルのおかげで上手く喋れないようだった。
「仕方ないな」
タオルを取って、縛られているロープを解いてやる。
「この誘拐者!絶対に許さないんだから!」
おいおい、いきなり酷い言われようだな。
「まあ、言いたいことは色々とあると思うけどさ、すこし質問してもいいかな?」
「はっ、あんたに答えることなんて無いわよバーカ」
こらこらサリナ、横で魔法のチャージするのやめてくれよ。
「マスターを侮辱しましたので」
お前の心を読むのも酷いと思うよ。
「そんな事ありませんよ。私は愛ゆえにです」
だから、心を読むなって!
「人が眠っているのに、叩き起されて、誘拐までしておいて怒るなって言うか!?お前ら頭おかしいんじゃないのか?」
敵意を剥き出しに殴りかかってくる。
「させません」
ビリビリ!
「ギャー!何すんのよ!」
「マスターに手出しはさせませんよ」
「こらこら、サリナ手荒な事はしちゃダメだよ」
僕は倒れてしまった彼女に手を伸ばした。
「ごめんね、良かったらあそこにいた理由を教えてくれないかな?」
「べ、べつにあんたになら教えてもいいわ」
サリナは思った。
「落ちましたね」
彼女は僕の手をつかむと、ゆっくりと立ち上がった。
「さっきも言ったように、ただ寝ていただけよ」
「そっか、睡眠を邪魔しちゃってゴメンね」
この世界には水中で呼吸できる種族も居るのかな?
「居ますよマスター。【海種族】は海でも息が出来ますよ」
だからサリナ、心を読むなよ。
「じゃあ、この子も記憶がないの?」
「まあ、そうなりますね」
この子も記憶がないのか。どうにか助けてあげたいな。
「いきなりで悪いんだけど、僕たちと記憶を取り戻す旅に出ない?」
「はあ?誘拐犯と?」
「そうだよね、誘拐犯とは行きたくないよね」
少し落ち込むが、やはり誘拐犯とは行きたくないよな。それはしかたないと思う。
落ち込んでいると、少女があわてて声を上げた。
「ちょっと待ってよ、私嫌だなんて言ってないわよ」
えっ!?
「だから、別に一緒に居てあげても良いって言ってるの!」
なんだかわからないけど、一緒に旅をしてくれるようだ。
「ありがとう、これからよろしくね」
そういえばこの子の名前をまだ聞いて無かったな。
「名前を聞いても良いかな?」
「私?私はリンナよ」
「良い名前だね」
「はぁ、そ、そんなの当たり前に決まってるでしょ」
何だかよくわからない子だな。
「リンナちゃんこれからよろしくね」
「フンッ!仕方ないわね」
まあ、何だかわからないけど仲間増えた。
「さあマスター、港が見えてきましたよ。皆さんが出迎えしてくれているようですよ」
「こんなにも盛大にお祝いしてくれるのか」
「ここの生活が元に戻るんですから、盛大にお祝いにもなりますよ」
そうだよな、収入が戻るんだから盛大にもなるよな。
僕達の船に届く歓声、みんなの笑顔、記憶を取り戻す理由が無くても、こんなふうにみんなの笑顔の為に頑張ってたのかなと思う。
「マスター泣いてるのかニャ?」
あまりの嬉しさについ、目から水が垂れてきた?
「フンッ、嬉しくて泣くなんてバカじゃないの?」
「嬉しくて泣ける人は、優しい証拠ですよ」
みんなが様々な反応をしてくる。
「良かったよ、これで皆が安心して漁に行けるんだから」
みんなの笑顔がこんなにも嬉しいなんて、記憶が戻ってきて、だんだんと変わってきたのか?
「まったく、だらしないわね」
そう言って、リンナは僕の涙を拭いてれる。
その直後にサリナの殺気を感じたが、気のせいにしておこう。
その日の夜は、豪華な宴会だった。
「兄ちゃん流石だぜ、ほらほら、もっと食べてくれよ。俺達からの感謝の気持ちだ!」
「ちょっと、これ以上食べれませんよ」
リンナが裏に入るのを目の隅に捉えた。
「おじさん、ちょっとすいません、トイレに行ってきますので」
そう言って、リンナの後を追いかける。
「いつまで追いかけてくるのよ」
いつからバレていたのだろう。
「このままどっかに行ってしまいそうな気がしてな」
「リンナは記憶を取り戻してるのかい?」
思わず聞いてしまった。
「少しだけね...」
「そっか」
そして黙ってしまう。 何を言えばいいのか分からない。
「私ね...」
リンナが話を始める。
その声には、僕が罵倒されていた時の勢いは無かった。
皆様お待たせ致しました。そして僕は旅をすることになるの更新です。
最近はスルスルと書けてて、更新スピードが早く自分でも嬉しいです。
今回は、モンスターとのその後を書かせて頂きました。
謎の美少女の過去については、次回の更新で書こうと思いますので、お楽しみにお待ち下さい。
そして今回の内容ですが、久しぶりの仲間の登場です。
この美少女の設定で一番困ったのが名前とだったのです。
前回の執筆中に設定は出来ていたのですが、名前を決めていない!
そんな事件を起こしてしまいました。
そして、いつもお読みいただいてます皆様、今回だけでも読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
これからも頑張りますので、よろしくお願い致します。
皆様からのご意見、ご感想、評価等もお待ちしております。
より良い作品を作りたいと思いますので、どうかよろしくお願い致します。
それでは、今回も楽しんでいってください。




