No.10 死にかけハゲ
今回は前回の続き的なモンです
「アハハ、君面白〜い。」
声は聞こえるのだが、まわりを見ても隣で怒りを静めた眞那が、ワクワクした感じの笑顔で階段を上がっているだけで誰も居ない。
自然と怖さから冷や汗をかいてしまう。
変に冷や汗をかいている俺を不思議に思ったのか、眞那が時折チラチラとこちらを見てくる。
上を見ると5階と4階の間の踊り場で立ち止まって、ピクリともしない2人がいる。
この声と2人を怪しく思いながら、俺は上がっていく。
上がりきった瞬間だ。
躰の自由が聞かなくなり、息もしづらくなり、何よりも、多少は聞こえていた雑音が、一切聞こえなくなった。
さらに目の前の階段は黒くなり、さっきまで足が着いていた階段も黒くなっていた。
これだけの条件がありながら不思議と、恐怖心はあまりなく、逆に悲しみがとても感じられた。
だ、誰なんだ!?
勝手に口走る。
もちろん返事は来るハズが………
「ここで死んじゃった哀しき乙女、ってところかな? アハハ」
あった。
いや、あってしまった。
決してあってはならないハズのコトがあってしまった。
だが、さっきも言ったように恐怖心はない。
しかし一体この声はどこから聞こえて来るんだ?
どこに居ても聞こえて来るみたいだが……。
「私は壁に制服ごと埋められてるから、何処からでも話しかけれるんだ! アハハ、便利でしょ?」
な、なんなんだこいつはぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
と思わず言ってしまう様な、実に変なテンションの少女だ。
少女……と言ってもいいのだろうか?
「な、何あの娘…!?」
「幽霊…かしら?」
「本多君があの世に連れて行かれるの!?」
ぁーなんだか嫌な雰囲気になりそうだ。
「アハハ!! 君たち面白〜〜い! だぁかぁらぁ……殺して、あ・げ・る。」
うわぁぁぁ!
とうとうこの娘壊れちまった!
そう思った時だ。
壁から赤い煙を出してゆらゆらと揺れて浮かぶ赤い火の塊、俗に言う火の玉が無数に出て来た。
もちろん体が動くハズもなく、俺たちはただ立つことしか出来なかった。
流石にこれには、死を覚悟したね。
俺諦め早いから。
なーんて、俺が思っている内にも火の玉は近付いて来る。
少しずつだけど、息苦しくなってきた。
窒息死と溺死は苦しいらしいなぁ……一緒か…。
かなり早いペースで諦めモードを繰り広げる俺を横目に、他の3人は必死に生き延びようと、頑張っている……様な顔をしている。
正直な話、身動きが取れない訳で、何も出来ないから何をしているのかが全く分からない。
「アハハ、終わりだにょ。君たちの人生は。私の様にね!! アッハハハハハハハハ!!!!」
姿が見えない少女的な幽霊の声鼓膜を突き抜け、脳内で響き渡る。
と同時に痛覚が全身に感じられる。
今までで1番痛いかもしれない。
よくよく見ると俺の体に火の玉がいくつもと言うよりは無数にへばりついていて、ついているトコが痛熱くて、なんというか早く死んだ方がマシかも。
って感じかな。
「本多君…本………多……君……。」
あぁぁ!
とうとう円が力尽きて、床に倒れた。
「泰世の……バカ野郎ぉ! 私をこんなと…ころで……この小説から……存在を消すなんて……バ……カ…野…………郎……ぉ。」
ふぅ、やっと疫病神が死んでくれた。
このままのノリで行くと次は実沙綺か?
「その通りですわ…。して……やられ……ました…です……わ…。」
やっぱりね。
大体そうじゃないかなぁっと思ってたよ。
で、最後に俺が1番痛めつけられて死ぬってオチなんだろ?
わかってるよ…それくらい……な。
って、早いだろ俺死ぬの! 絶対に早いよな!?
ぁ………。
「バカ! ここで泰世ぁが出てきてぇどうすんのよぉ!?」
「死に価しますわ。」
「折角の1話全部を妄想に使おうとしたのに。本多君ったら!」
はい、そうです。
円が行った通り、全て俺らが模擬店回りしている今した妄想ですり
あぁ、俺に明日は無いなぁ……はぁ。
「ウフフ、今日は淫乱パーティーねぇ………!!」
「眞那姉、淫乱では御座いませんわ。躾パーティーですわ。」
「それよりも闇鍋パーティーしようよ!?」
言いたい放題言いまくるドSの女たち。
とりあえずここから逃げ出さないと……。
「泰世ぁ…逃げたらバニーガールの姿で学校を隅から隅まで歩いて貰うからねぇ!!」
はぃぃぃぃ!!
俺に平和な日は来るのだろうか…………。
寒いですねぇ。自分、髪型が坊主だから頭が特に寒いんですよ〜。帽子は似合わないんで、防げるものが何も無いんです!! この気持ちは判る人にしか判りませんよね?