第6章 深海の中で
過去を望むユイト、全てを帰ることができるのか
朝、目が覚めると時計はAM7:00と表示していた。
今はいつなんだろうか。
そんな気持ちでスマホを持つ。
スマホが同じなことがまず違和感だった。
2023年9月25日(月)
ただ次の日の朝を迎えているだけだった。
最悪の気持ちになったままの世界線。
希望のない未来しか待っていない世界線。
もう1度貼られたレッテルは剥がれない。
そんな世界の翌朝が来てしまった。
「おい!なんでだよ!なんで戻ってねぇんだよ!」俺は叫んでいた。
そこから色のない日々がまた始まった。
寝ても覚めてもただ1日1日当たり前のように進んでいくだけ、
奇跡のように過去に戻れたり、未来に飛べたりすることはない。
組まれるイベントが大きくなるに連れて、
みんなの話の中によそのボーカルの話が増え、
こういう歌い方が流行りだとか言われ、
事務所からもボーカル1強バンドを求められた。
その方が見え方が良いそうだ。
自分の実力のなさを認識させられ、自信のなさにブーストがかかり、
また喉元まであの言葉がせり上がってきた。
<もうやめようと思っている。新しいボーカルを入れて売れて欲しい。>
考えれば考えるほど、ドツボにハマって何度も伝えようとした。
かといって、自分1人になってやっていけるスキルもなかったので、
結果的にバンドに縋っている自分が情けなく感じた。
ー苦しい
俺は誰も幸せにできない、エゴだけでここに居座っているだけなんじゃないか?
ー苦しい
不幸になることを恐れて、自分がいない幸せにみんなが行ってしまうことを恐れているだけではないか?
ー苦しい
こんな足を引っ張ってばかりの人生。もう疲れてしまった。
この深海の中、息を止めて溺れてしまえば、
未来を見ることもなく楽になれるのだろうか。
ふいにプツッと音がして、世界が真っ黒になった。
読んでいただきありがとうございました♪




