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ロックバンドのやり直し  作者: 2tももたろう
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第2章 異変

ある朝ユイトの世界に異変が起きていた!


朝、目が覚めると時計はAM10:00と表示していた。

今日は確かオフだよなとスマホを見る。

通知がいくつか来ていた。

「リン:今日13時からであってる?」

「ユキ :あってるよ〜明後日ツアーだしやっぱ時間少し長くしない?」

「ジュン : 俺はいけるよ」

なんだこれ?4日前にも見覚えのある会話。

「え?ツアーって昨日名古屋行ったでしょ」

そう送ると「なにいってるの?」と言われて異変を確信した。

時計に書いてある日付は、11月20日(木)。

4日前の日付だ。


どうなってるんだ?

確かに俺は名古屋から帰ってきてそのまま...

スマホも確認してみる。

間違いなく11月20日(木)だ。

いまだに状況が飲み込めず、気が動転しそうになる。

SNSは?

新しい総理大臣になったのでその日のニュースは覚えている。

ホットワード 「新総理」

机の上には、使い切ったはずのティッシュ。食べかけのカレー。

大きく開いた口を手で塞ぎ、ソファーにもたれかかった。

動揺している。

こんなことがあって良いのだろうか?

おかしい、絶対におかしい。

夢を見ているのかもしれない。

しかし、髪の毛を引っ張っても、手の皮をつねっても、冷たい水で顔を洗っても

元の世界に戻ることはなかった

もう間違い無いだろう、


<俺は未来の記憶を持ったまま過去の世界に戻っている>


状況を100%飲み込むことはできないが、

とりあえず支度してスタジオに向かわなければいけない。

あーだこーだしているうちに11時になろうとしていた。


スタジオに到着すると、リンが椅子に座りタバコを吸っていた。

ー同じだ

スタジオの中でユキがドラムを叩いていた。

ー同じだ

そしたらこの後、髪を赤に染めてきたジュンが入ってくるはずだ。

振り向くとドアが開き、赤髪のジュンが入ってきた。

「まじかよ…」ため息に近い声が漏れていた。


当たり前のように始まった練習。

3時間後、胸がざわつき始める。

もう少しでアノ話し合いの時間が訪れる。

構えていたら、リンが口を開いた。

「大阪と名古屋売り切れなかったなぁ」

<始まった>そう思った。

嫌な予感というより記憶はそのまま再生される。

「どうして俺たち人気出ないんだろうなぁ。良い曲作ってるのになぁ」とジュンが呟く。

そこからみんなは他のバンドをあげては、ボーカルが良いからなどと話し始めた。

記憶通りだ。

ここで4日前の自分(今もそうなのだが)なら我慢しきれず、

怒りに任せて「なにがいいたいのかはっきり言えよ」と言ったはずだ。

現に今も腑が煮え繰り返りそうになっているし、悔しくて目頭が熱くなっていたが、

喧嘩になってからの数日間を考えるとぐっと堪えて、言い返すのをやめた。

俺は笑顔で「まじ、めっちゃがんばるからな!絶対に売れような!」と言った。

みんなも「俺も頑張るから、頑張ろう」と返してきた。

意外だった。

てっきりもっとつっかかってくるかと思っていた。


そこからは少し変化があった。

翌日、大阪移動の日。

記憶通り、集合場所に現れたリンとジュンは「おはよう」と言って、

「コンビニ行く?」と誘ってきた。

「いくいく」と返し、会話をしながら買い物をする。

ギクシャクしていない、距離も感じない。

車の中でも、ヘッドフォンを外し、なるべくメンバーと話をした。

他愛もない内容だが、自然と笑うこともできたし、

記憶にある時間とは違って、楽しかった。

どう思っているか決めつけずに、もっと話を聞くべきだったんだ。

実家に到着して食べたクリームシチューは100倍美味しく感じた。

世界に少し色がついていた。


翌朝、会場に向かうための車には良い空気が流れていた。

俺もいつもより大きい声で「おはよう」と言った。

自分の中に影があることは変わらないが、

こいつらのためにも待っててくれているお客さんのためにも

頑張ろうと素直に思うことができた。

良い調子だ。

そう思った。


リハーサルの時には期待で高揚していた。

早く始まって欲しいとさえ思った。

本番前、最終券売を聞きまたあの話が始まった。

「チケットソールドしなかったね」

俺の中でまた影が膨らんでいった。

エンジンを組む時、また俺はメンバーの顔を見ることができなくなっていた。


ステージに上がる、マイクを通して耳に入ってきた声がどんより重くのしかかってきた。

歌いながら目の前の景色がぼやけていく。


<俺のせいで売れていない。だからみんな幸せになれない。>



読んでいただきありがとうございました♪

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