Sランク昇格試験試験官5
私の言葉を聞いて三人は不機嫌そうな顔をし、残り二人はどうでもよさそうだった。一人は呑気に欠伸などしている。
「どうして吸血鬼などが試験官など……」
「私が強いことが一つ。この国の魔王と協定を結んでいることが一つ。そして、ハンター協会ともそれなりに仲良くしているのが一つ、といったところか。全ての人間と敵対しても面倒事が多いだけで利点などないしな」
素直に教えてやると、溜息を吐かれた。敵意が消えていないのは結構なことだ。まぁ、そんなもの、私にとっては大した意味がないが。
無視をして試験内容を説明してやる。
試験内容は単純だ。
聖悟たちが捕まえてきた魔物を制限時間内に倒すこと。
倒せずともよいが、自身の実力を証明せねばならない。そうでなくてはタンク、ヒーラー等が不利だからな。一方で他者を蹴落とすのは良い。少し足を引っ張られた程度で実力が発揮できないようであれば、Sランク相当ダンジョンに行った際に一発で死にかねない。
実際にランクアップ後に調子に乗ってダンジョンに乗り込んだ者の死亡率は結構高いのだ。
聖悟ではないが、それを思えば落としてやるのも優しさかもしれんな。
「以上だ。何か質問はあるか?」
「吸血鬼殿は参加されないので?」
「せぬ。殺してしまうからな。弱き者に加減というのは難しいのだ」
やはり、三名ほどがムッとした顔をする。
「まぁ、そりゃこんだけ実力差がありゃあ、そう言われるわな」
先ほど欠伸をしていた男が呑気そうな声でそう言うと、「貴様、やる気はあるのか!」と赤髪に怒鳴られていた。
「そうは言われても、協会が呼びだして試験官なんてさせるっつーことは敵じゃねぇんだろ? そんなにピリピリする必要もねぇし。ひと昔前なら戦争なんてしてたかもしれんが、今は友好な関係を築いてるんだ。俺的には手合わせくらいならまだしも、わざわざ殺し合う必要なんてないんだわ」
全員がそういうスタンスでいてくれれば楽でよいのだが、私のような存在となると、案外目の敵にされることが多い。まぁ、元とはいえ魔王と呼ばれた存在だからな。警戒をしないというのも難しいだろう。
「それに、ドラクルさんはこの地域にある学園で実技の教員もしていらっしゃる。わたくしといたしましても、殺意を向ける相手とは思えませんので」
凛とした、長い黒髪を一つに束ねた女がそう言うと、態度の悪い三人は舌打ちをしたり、私を睨みつけたりと各々の反応をした。
ふむ、これが聖悟の言っていた見どころはあるが協調性のない受験者か?
「何を言われても私がS級になることに変わりはない。この赤城勇大の実力を吸血鬼に見せつけてやろう!」
「「その意気です、若!!」」
赤髪が私に剣を向けるが……たぶん、この中で一番弱いのは貴様だと思うぞ? 筆記はよかったので頭は悪くないのだろうが、固いのかもしれん。
「面倒だし、もう始めてもよいか?」
「命の危険があるようでしたら、僕たちが倒しますのでご心配なく」
聖悟、謎の圧が出ているが何か腹の立つことでもあったか? 私を気にしているならば、この程度の対応、普通のことだぞ?
「協力をするのもよし、一人で倒すもよし。貴様らの今の全力を見せるがいい。
――それでは、実技試験開始」
合図とともに、魔物を覆う檻が消えた。
ミノタウロスと呼ばれる魔物は、雄々しく叫んだ。
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