ハンター協会の依頼2
聖悟曰く、次のS級昇格試験に選出されているメンバーの一人にすごく強い女がいるそうだ。そして、同時に試験を受ける者の中に、例の『有権者の娘の推し』もいるらしい。
「……そんなつまらん話でわざわざ私を呼ぶな、という話ではあるが」
依頼を出しておいた希少素材を出されてはなぁ……。まぁ、これも自分で採りに行けという話ではあるのだが、これだけのためにわざわざドイツにあるダンジョンまで行くのはかなり面倒だ。買取やちょっとした手間で済むならそうしたい。これを出してくるあたり、仕方なく私に頼んだのだろうな。随分と評価されているようだ。
とりあえず、昇格試験にあたり要項を引っ張り出して、以前作ったチェック項目を確認するか。昇格だけしても意味がないからな。S以上のランクになってくると、各地の危険ダンジョンに呼ばれることもあるのだ。推しとかそうでないとかで昇格を決めるとろくなことにならん。
「人間はこんな試験を受けなくちゃいけないなんて、面倒で可哀想ですね」
「お前ももう二十年若かったら受けることになっていたぞ」
「魔女なのに!?」
「魔女も変異者も強種も変わらんと世界が知ったからな」
それ故に、昔ほど魔女への目は厳しくない。
「マデリーンは特別な魔女ですもの! 他とは違います!」
マデリーンはそう言って胸を張っている。
まぁ、それも間違いないか。
魔女には特別な互助会があり、一部の魔女……ヘスティアやマデリーンはそこに所属している。そこでは一応ハンター協会と同じような助け合いが行われていると聞くが、詳しいことはわからん。私は魔女ではないしな。
「フェリクス様だって関係ないでしょう?」
「私はな」
私は関係がないが、ラウルや小娘の将来に関わってくる可能性は否定できん。それを考えると恩を売っておいてもいいという気持ちも少しばかりはあるが……一方で、そんなものでどうにかなってしまうのもどうかと思うのだ。コネであれこれできてしまう人物は敵視されることもあるしな。親が私や清明になってしまった以上、そのあたりはある程度「仕方がない」とあきらめてほしい。
「それで、マデリーン。お前は素材目当てか?」
「……マデリーン、フェリクス様のそういうとこどうかなって思います」
「そうか。余りがほしいのかと思っていたがそうでないなら」
「ほしいですぅ!! ダンジョン産の貴重な鉱石、マデリーンにも分けてください!!」
そんなことだと思った。
伝手が少ないと素材の入手方法が自力採取に限られてくるわけだが……マデリーンのようなタイプの能力者は戦闘能力に秀でていない。自力採取も困難な傾向にある。
アルテのためにと欲していた鉱石は、マデリーンも欲している素材だったのだろう。
「なかなか手に入らんものだからな。私も、最悪ドイツまで行かなければいけないと考えていた」
「日本のハンター協会も馬鹿にできませんね……」
ヴェルグもあれを使ってもっと試したいことがあると言っていた気がするな。しかし、これを抱えたゴーレムが相当厄介で倒すことのできる者が限られてくるのだ。
「じゃあ、余ったらもらっていいのですね? マデリーンのものですね? ね?」
「私がハンター協会と喧嘩しなければな」
「何でその選択肢があるのです」
買い取れれば楽に済むものだが、手に入らない物ではないからだろう。
あの手の希少鉱物を落とすゴーレムを配置できる支配型ダンジョンはないだろうか? そんなに都合よくそんなものが現れたりしないということはわかっているが、思うだけならば自由だからな。
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