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引きこもり吸血鬼の怠惰なる引退生活  作者: 雪菊


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年末準備


 クリスマスが終わると、世間は一気に年末年始に向けて雰囲気を変える。

 ラウルたちの学校も冬休みに入り、家にいるようになったからか少々騒がしい。



「フェリクスはこういう時期はちゃんと規則正しい生活になりますね」

「ドラクルさん、普段はこんな明るい時間じゃなくて夜に起きてるのに」

「無理はしていませんか? フェリクスさん」



 なぜか私を心配するような言動を取る子どもたち。まぁ、私も年寄りではあるが、ここまで心配されるようなことではない。



「別に無理はしていない。私は確かに夜行性だが、それこそラウルが幼い時などは明るい時間に起きていた」



 子どもたちと過ごす時間というのは思いのほか少ないものだ。小さい時は泣く声を聞きながら呆然と「この時間がいつまで続くのか」とウンザリした時期もあるが、過ぎてしまえば一瞬の時間だ。気づけば大きくなり、声は低くなり、わがままなど滅多に言わないようになる。正直に言うと、少しばかり寂しい気分になるな。こうやって子どもたちは自立し、近い未来に出て行くのかもしれない。



「何、しんみりした顔をしてやがるんですか」

「うむ。子どもというのはあっという間に大きくなるものだと考えていただけだ」



 まぁ、ラウルに関してはそろそろ止まる頃だろうが。

 人狼も相応に長く生きる種族だからな。



「まぁ、年末準備もある。日中の方が買い物も行きやすいだろう」

「そう。鏡餅とか年越しそばとか色々準備しないと」



 そのあたりは小娘や豆太の方が少しばかり気にしているように見えるが。

 私はあまりそういうのを気にしないからな。私はあまり年末だか年始だかに興味がないからな。日本ではなぜだかかなり重要視されているが。



「おせちはどうする? 作る?」

「いるか?」

「「いります!!」」



 小娘と豆太が同時にそう言う。私はラウルに目を向けると「いやぁ、俺の食う量考えると面倒じゃないです?」と答えた。私もそう思う。



「縁起物だから軽く用意して、あとは普段通りにするか?」



 小娘たちは何とも言えない顔をしていたが、ラウルの食事量を思い出したのだろう。黙って頷いていた。



「別に、小娘は年末年始をジジイと過ごすでも構わないが」

「絶対に嫌」



 本気で嫌そうな顔だった。



「感謝はしてるけど、ここがいい」

「まぁ、小娘がいいならかまわないが……」



 安倍家に帰った方がお年玉をもらえるだろうし、うまくいけば親族を味方につけられるかもしれんが。

 家族に会ってトラブルに遭う可能性もあるか。それを考えれば確かに億劫かもしれない。



「では、買い物に行くか」



 ところでおせちというのは今からでも購入できるのか?

 ……近くの店は終わっていそうだな。家で作るか? 私も暇だしな。


あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

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