クリスマス2
久しぶりにパーティーでするような恰好をしたが、かたっ苦しいな。
まぁ、みんな楽しそうなのでよしとしよう。小娘も「こんな服、初めてだ!」と楽しそうだ。
「汚したらどうしましょう……」
「クリーニングに出せばいいだけだろう」
緊張している豆太にそう返しておく。今の世には洗濯という技能を極めた能力者もいて、どんな繊細な服でもある程度綺麗になる。異能を攻撃に使うものだけでない、というのは平和でいいことだ。
「それよりも私は、あれをどうするかの方が悩ましい」
私の視線の先には鼻血を出して気絶したヘスティアがいた。何かよくわからんが、「フェリクス様の新ビジュ……っ!」と言ってそのまま鼻血と共に気を失った。本当に耐性がドンドンなくなっている。なんというか……もう私から離れた方がいいのではないか?
「本当に、どうすればいいのだろうな……」
「ヘスティアさんの部屋にフェリクスの写真山ほど貼り付けたら荒療治的に治りませんかね」
ラウルがチキンを手にしながら適当なことを言う。
美味いか? そうか、よかったな。ところでそれは何本目だ?
「フェリクス様の写真ならたくさん欲しいですわ!」
「何を言っている。無理だぞ? 私はレンズに映らんからな」
鏡にも窓にも、もちろんレンズにも映らん。吸血鬼だからな。何枚か昔の肖像画があるが、それくらいだな。
今の人間から生まれた吸血種は生まれたと同時に血を血液型が一緒の親の血で薄めることで、吸血鬼としての能力が低くなるのと引き換えにそれらのデメリットがなくなるそうだが、私の親の時代にそんな知識はなかったからな。私は写真が撮れない。ラウルと写真を撮ろうとしたら、私が消えてしまったのでラウルが浮いているように見える写真ができてしまったのは若干面白い昔話かもしれない。
「そういえば、そうでした……。く……っ、もうそろそろ吸血鬼が映るカメラが
発明されても良い頃ですのに!」
「新たな吸血鬼たちは映るので仕方がないのではないか? まぁ、長命なんてそこまでいいことでもないしな」
まぁ、ここにいるのは小娘と豆太以外長命種だが。
「それより、目が覚めてよかったな。ヘスティア。せっかくめかし込んできたのだ。少しは楽しんで帰れ」
「……はい♡」
おい。それで、どうして私に引っ付く。まぁ、いいか。ヘスティアにはこれが楽しいことなのだろう。あまり理解はできんが。
「ヘスティアさん、これはドラクルさんが焼いたチキン」
「あら、チアキ。ありがとう」
「これはドラクルさんが揚げたチキン……」
「チキンしか調理していませんの!?」
「そうだが」
他はオートマタと外注だ。むしろ、メインを調理したのだから誉めてほしい。さすがに七面鳥の丸焼きは面倒でやらなかったが。
そもそも、私が調理すること自体が気まぐれなのだ。
「そういえば、一応、プレゼントも用意しておいたぞ」
パチンと指を鳴らすと、エマが持ってきた。
子どもたちがそちらに駆けていく。
「ヘスティア。お前にはこれを」
「え」
「女の喜ぶものはよくわからんが……まぁ、少なくとも資産にはなるだろう」
ダンジョン産の特殊なダイヤで作られたペンダントを渡すと、フリーズしてしまった。
嬉しくないのだろうか? 一応、ヴェルグとその奥方に聞いて発注したのだが。
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