クリスマス1
クリスマスといえば、ということで私は今、大量のチキンを焼いている。
「フェリクス様のチキン、ち・き・ん~!」
嬉しそうに妙な歌を口ずさむマデリーン。そして、アルテも「アルテの分もあるよね、フェル!」と私の服を引っ張っている。あるが、普通に焼いているだけだぞ。レシピ通りに作っているだけだ。私以外が作っても同じだ。
エマを含めたオートマタも、別の料理にかかりきりだ。なので、たまには作ってみるかと手を出しただけなのに、なぜ私が少し料理をするだけでうるさいのだ。
「なんでローストチキン以外も作っているの?」
「足りんだろう、これだけでは」
だから、ついでに鶏肉を揚げている。
私は油の臭いだけで結構腹がいっぱいになるが……。
チラリと背後を見ると、ラウルと小娘がソワソワした顔で覗いていた。子どもたちには美味しそうな臭いに感じるらしい。若さだな。
味見などさせようものならば、全て食べられてしまう気しかしないのでさせていない。
「フェリクスさん、ケーキ取ってきましたよ!」
「でかした、豆太」
ラウルたちの後ろにいたのだろう。豆太がそう声をかけてきた。
子どもたちにはケーキの引き取りを指示していたので、立派に勤めを果たしてきたようだ。
「ふむ。この気配は……ヘスティアたちが来たようだ。マデリーン。迎えに出てやれ」
「かしこまりました!」
ジークの気配があるし、おそらく二人で来ているだろう。吸血鬼としてのジークは私の子といってもいい。だから、その血の気配で近くにいるかどうかくらいはわかる。
「フェリクス、一個……」
「味見ではすまなくなるだろう。ダメだ」
もう運ぶのだからおとなしく待っていろ。しょんぼりした顔をしてもダメだからな。
小娘もしょんぼりしている。お前たち、本当になぜ食べ物がかかわるとそうそっくりな反応になるんだ?
「それでは、エマ。あとは頼む」
「お任せください」
その返事と共に、オートマタたちが現れて準備をしていく。
その様子を確認して、子どもたちにクリスマス会をする部屋に行くように言おうと思った時だった。「フェリクス様!」と名前を呼ばれてその方向を見ると。
「……私は舞踏会を開くと言ったつもりはないのだが」
なんか、すごいドレスのヘスティアがいた。
いや、似合ってはいるが。こら、小娘。「お姫様みたい」ではない。
今回のジークは阻止に失敗したのか。
「すみません。一応、パーティーの枠組みなのでセーフかと思って」
「……毎度止めるのも大変だろうしな」
ああ、うん。面倒だったのだな。
「フェリクス、俺ももう少し良い恰好すべきですか?」
「それはいいわ! チアキもいらっしゃい。マデリーンがお洋服を用意してあげる♡」
ノリノリのマデリーンは「うん」とも「いいえ」とも返していない小娘の手を引いてすっ飛んでいった。まぁ、たまにはいいか。
豆太には……ラウルが小さい時の服が確かあったはずだ。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
ちょっと遅れたクリスマス。




