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引きこもり吸血鬼の怠惰なる引退生活  作者: 雪菊


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優しさか甘やかしか


 この駄々っ子陰陽師に適当に酒を物色させておく。

 ラウルが成人した時に出そうと考えている生まれ年のワインを除けば、どれも大したことのないものだ。とりあえず、エマに酒のつまみなどを用意させておく。これで静かになるならばなんでもいい。



「これは追い返さずともよいのですか?」

「まぁ、面倒だがわざわざ諍いを起こすほどではないからな。本気で喧嘩を売ってきているならば、私も相応に相手をするが」

「あー♡ これ、十万くらいするウイスキーやん! これも飲んでええの!?」

「いいぞ」



 すでにそこそこ値の張る日本酒やワインも抱えている清明を見ながらそう返しておく。

 第六天もそうだったが、いい物だけを狙うのはどうしてだろうな? こいつらだって金はあるだろうに。第六天自身は確か「かーッ! 人の金で飲む酒は美味い!!」などとほざいていたが。



「このワインは?」

「それは……ヘスティアが飲みたいと言っていたから置いているものだ。ダメだな」



 たまに来る昼食時に少し酒の話題が出たため、夕食を共にしたときにでも出そうと考えていたのだが、なんというか……最近はこう、ちょっとしたことで「つまり……結婚!?」などと言いだすのでまだ出せていない。何か、私を見た瞬間様子がおかしくなるのは仕様なのか?



「……女の子には優しいねんな」

「そうか?」



 そんなつもりはないが。

 というか、私は危害を加えられることがなければお前にも十分に優しいと思うぞ。敵対すれば容赦がないだけだ。



「お前にもそれなりに高い酒を与えてやっているが」

「……せやな! フェリクスちゃん優しいー」

「うるさいな。……たまに殺そうか迷うぞ」

「く……! 道満には甘い癖に」



 性格の差では? こいつと違って真面目だし、少しばかり助けてやろうとも思うもの。見てみろ。この清明のジジイを、誰が助けてやりたいと思うんだ。



「千明も甘やかしとるやろ! インスタントグラフィとかやっとるで」

「ああ、若者で流行っている……。一緒に遊びに行く友人ができてよかったことだ」



 天使系とこれは……サキュバス系の魔族だな。普通の変異者たちも大勢いるが、種族が違えど友人関係になっているところを見ると、小娘は充実した学園生活を送っているらしい。このまま青春を謳歌すればよい。



「毎日遊びに行っているわけではないし、真面目に予習復習、鍛錬に取り組んでいる以上、これは『甘やかし』には当たらんと思うが」

「……安倍の後継者連中がこれ見て反抗期に入っとるんやと」

「それは絞めつけ過ぎているそちらの問題だろうに」



 甘やかしていないという証拠を見せたいが、二学期が終わらなければ成績表が出てこないからな……。少なくとも、指標にはなるだろうし、中間試験の結果だけ並べておくか。



「……うわ。どんな教え方したらこんなに成績伸びるん」

「小娘の能力が高かったこと、学ぶ意欲があったことが要因だろう。全員がここまで伸びることはない」



 小娘の場合は、おやつ目的というのもあったが。ホットケーキ、フレンチトースト、ドーナツ、カップケーキ等々で簡単に釣れた。素直であるがゆえに母親の言うことを聞いてやらかしを重ねていたが、素直であることで戻って来れたのだ。

 周囲はもう少し早く助けてやればよかったのに、と私は思うものだがそう簡単な話ではないのだろうな。



「ふぅん……ようやっとるやん。もう少し伸びたらほんまに直弟子にして一部の術の継承者にしてもええな」

「本人の意思を確認してからにするように」



 ジジイはパッと笑顔を作って「もちろん!」とか言っているが、これほど信用できんことはないな……。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。


清明は「各家の教育方針とか、本家に害がない限り僕に関係あらへんけど……もしかしたら、色々考え直さなあかんのかもなぁ……」とは思いつつ今後も放置である。

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