迷惑陰陽師
マデリーンが離れに住み着いた。
気がついたら立派な人形工房ができており、少し頭が痛くなった。「毎日フェリクス様のごはんが食べられるというわけではないのですか!?」などと初めは言っていたが、ラウルの食事量を見せると途端に静かになった。私に毎食あれを作らせることになったと察したのだろう。
とりあえず、今はヘスティアに無理やり引きずられて魔王のところへ連れて行かれている。……第六天も大概、おかしなやつが好きだから気にいられるかもしれんな。家事用オートマタという餌もあるし。
ヘスティアも、小娘の時はあからさまに嫉妬をしていたのに、今回は静かであったのが少し不気味だな。
それにしても、ようやく静かになった。
なぜ私が暇になったタイミングで毎回違う厄介事が起こるのだろうな……。膝の上で丸くなったアルテを撫でながらそんなことを考えているとスマホが鳴る。
清明からのメールだ。
「なんだ?」
内容を確認すると、ようやく京都のダンジョンが片付きそうだ、という内容だった。
それに関しては、正直興味がなかったのだが、「だからそっちに遊びに行くね! もてなして、僕を!!」という文に頭痛がした。
これが世界最高峰の魔法使いの一人であり、千年以上を生きる超越者である。
「相手をするのが面倒だな……。『来るな』とだけ送っておくか」
というか、もてなしを受けたいならば来るのは私の所ではないだろう。絶対に。
それこそ、私のように温泉に行くとかすればいいのだ。やつも金だけはあるのだろうし。
そんなことを考えながら深い溜息を吐くと、インターホンを連打しているような音がする。こんな迷惑行為を、よりにもよって私にする者がいるとは……。
仕方なく見に行くと、エマの前に清明が正座していた。
「すみませんでした」
「もう二度とあのような悪戯はなさいませんよう」
「はい」
あのメール、家の前で送っていたのか。はた迷惑な。
思わず、何も言わずにジト目で清明のジジイを見てしまった。しばらくすると、私に気が付いたジジイが「フェル坊~!」と気色の悪い甘えた声を出しながら近づいてきたので、流石に蹴飛ばした。
「酷い! こんなに頑張ってる僕を足蹴にするなんて!!」
「本当に気持ちが悪い」
見ろ、この鳥肌を。いや、やはり見なくていい。早く帰ってくれればそれでいい。
「おかしいな……。僕、これでも大仕事をこなしてきたんだけど」
「それは、私とは関係のない話だろう。それで、何をしに来た」
「え。いや、ただフェリクスにもてなしてもらおうと思ってきただけだよ。置いてあるんだろう? いい酒」
「今はそんなにいい酒を置いていないぞ」
第六天に色んな理由をつけて持っていかれたからな。まぁ、酒屋で手に入る程度のものはあるが、ダンジョン産のものは今はないな。
「あの小童……」
「あの魔王を小童呼ばわりするのはお前くらいだろうな」
「僕の方がおじいちゃんなんやぞ!」
「では、酒を控えることだな」
「いやや!! 僕は死ぬまで好きなもん食って飲んで生きるんや!」
死ぬまでっていつまでだろうな。実際、この男は千年生きているわけだし。
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