猫のおねだり
杖を掲げたアルテが「にくきゅースタンプ!」と叫ぶと、杖の先に巨大な猫の肉球型が現れた。そして、それを叩きつけるとその先にいた蛇共は哀れぺったんこになった。なんというか、どんな重量で叩きつければ紙のようにペラペラになるのだろうな……。
「次はー『つめとぎトルネード』!」
杖の先に現れた肉球に爪が生える。かなり鋭そうだ。杖を振ると、トルネードが現れ、魔物を巻き上げながら切り刻んで行く。
アルテの身の安全だけを考えて魔法を学ばせたら、こんなに凶悪になってしまったのだ。しかし……アルテは可愛いから仕方がないのではないだろうか。狙われたり、攫われたりする可能性がある以上、自衛方法を用意しておくのは当然のことであろう? とても可愛らしい猫が、かなり強いだけだ。そう考えるとそこまで凶悪でもないか?
「フェル、アルテ頑張ったの!」
「そうだな。偉いぞ」
頭を撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らす。
ありのままの猫の姿が一番愛らしいが、このように自慢げに報告するのも愛いものだ。
「ふふーん♪ 素直なフェルにはこれもあげる♡」
私の手に蛇の魔石を乗せて、「これでアルテにおいしいごはんを買ってね」とウインクする。
ちなみにいつもおいしいごはんを用意しているつもりなのだが、もっと、ということだろうか? あまり思いつかないな。
「『二人で』食べに行こうね♡」
「構わない。お前の好きな場所に行こう」
そんなもの、『ご褒美』のような扱いにせずとも、お前に頼まれればいつだって二人で出かけるとも。いや、我々は人ではないため二人と言ってもいいものかわからんが。
「さて、次の階層は何が出るか」
「うーん……楽しそうなものがいいなぁ」
「戦うのに楽しいも何もないだろう」
「数が多すぎて何が来ても気持ち悪いもんね」
何があってこのような状態になっているのか……。やはりダンジョンコアやらボスが暴走しているのだろうか。
まぁ、最上階まで行けばわかるか。
「ここって何階まであるのかなぁ?」
「確認されているのは四十七階層だな。しかし……このペースでは相当かかるな」
「うーん、ちょっと嫌になってきたぁ」
私もだ。
やらざるを得ないからやるが。
やはり時短。時短が必要だ。
「私が爆弾を投げて、二人で残ったものを処分していこう」
「そうだね」
それしかない。毒を撒こうにも、耐性がありそうな魔物も多くみられる。地道に倒していくのが一番早そうだ。
とても深い溜息が出るのは仕方がない話である。
「まぁ、確かにこれは清明向けではないな」
確かに式神を使った掃討作戦が可能かもしれないが、大量に式神を使うのはかなり呪力というものを消費するらしい。短期間ならばまだしも、このように多い階層のダンジョンでは相性がかなり悪いだろう。
これが終わったら、本当に旅行に行くのもいいかもしれないな。かなり骨が折れそうだ。
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