退治というより掃除
アルテに合図をして、彼女が飛んだ瞬間に大鎌を薙ぐ。面白いように飛んでいく首を見たアルテが「きもーい」と手を叩いていた。
「この量、上位種でも生まれたのかもしれぬな」
「これ、ジェネラルじゃなぁい?」
アルテがスコーンと箒で弾いた首を確認して、「本当だな」と頷く。
束ねられたゴブリンはこれを倒してもなお、態勢が崩れていない。数体いるのか、もっと上の存在がいるのかはわからんが。
「何。全部殺せば同じことだ」
「アルテもそう思う!」
アルテがランタンを掲げると、炎が生きているように動き、ゴブリンを飲み込んでいく。討ち漏らしたものは、私が片付けていく。ふむ。おそらく、たまにあたる少し硬い首がジェネラルだな。
それにしても数が多い。こちらに向かう途中で読んだ資料曰く、特に間引きをサボっていたわけではないらしいのだが。
高難易度ダンジョンというものはわかっていないことが多く、研究も停滞しがちである面は否定できんからな。あふれ出る条件のようなものが人知れず揃ってしまったのかもしれぬ。
「にゃっふ……ぜぇんぶ、消えちゃえ!」
アルテが炎の竜巻を生み出した先に、えらくずっしり構えたゴブリンがいた。
「貴様ら、何者……」
「うるさい。死ね」
何か喋ろうとしていたようだが知らん。話す魔物は珍しいが、少なくとも我々の暮らす世界に対し、害悪なのは確実だ。ややこしいことをされる前に殺しておこうと思うのは仕方のない話だろう。
スパンと首を斬ると、不思議そうな顔をした後、絶望したようなうめき声を上げた。
「やはり、ヴェルグは腕がよいな」
切れ味が違う。
血を払って、ゴブリンエンペラーらしき話していた物体から落ちた魔石を回収し、次に続く階段へ目を向ける。
確認されているのは7層までだが……。
「その先もあるのだったな」
長丁場になりそうで、嫌気がさすな。
いや、私の手にかかれば敵を殺すのは簡単だ。だが、こう……気が滅入るのは変らない。時間がかかり過ぎる。
「次の階層から血をばら撒くか?」
「それ、みんなが『あまりやるな』っていうやつ?」
そう。貧血と敵が私の行動を覚えることを懸念されているらしい。貧血は正直、特に問題ないのだが、戦術を真似された場合の被害が大きいとかでできるだけ見せないことを推奨されている。私のように血を意のままに操れる種族はそこまで多くないと思うのだが。
正直、どこぞの魔女の自爆と再生に比べたら可愛いものだぞ。あれは確か、中国にいる魔女だったな。
「まぁ、もう少し楽な方法はいくらでもある」
「いっぱいドッカーンってやつ持ってきたもんね♡」
世の中には便利なものが増えたものである。この世に生まれた魔法使いと魔女たちに敬意を表しつつ、思う存分利用してやろう。これで生き残る魔物なら、私が首を狩るくらいの価値はあるだろう。
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