千明の姉
学園での授業を終えた私は職員室に戻ろうとしたところ、襲撃を受けた。
そろそろ、ここの生徒の教育がどうなっているのか聞いてもいいだろうか。いや、私も携わっている一人だった。
そんなことを思いながら攻撃を弾いた者たちを見れば……うむ。見覚えのある顔だな。
「なんだ。小娘の姉か。京都からわざわざご苦労なことだ」
似ているが……髪が短く、少し小柄か。私を睨んでいるのはどうしてだろうか。
全く、あのジジイ。子孫の世話くらいきちんとやってほしいものだ。いやまぁ、数が多いと聞くからやろうとしてもできない部分もあるのかもしれんがな。
「どうして千明を返さない」
「清明のジジイに頼まれたからな。あの小娘、ポンコツだが才能はある。素直故、矯正もできたし、あのジジイがそう決めたならば、お前たちの方に何かしらの問題があるのだろう」
私側は頼まれたから受け入れているだけだ。特に自分から引き取ると言ったわけではない。世話をしていれば、情も湧くので小娘が死なないようには教育しているが。
「何で……何であの出来損ないが清明様の養子になっているんだ……!」
目の前の女はめちゃくちゃ悔しそうである。
あー……。清明のやつ、一族の者でも優秀な者だけを選別して養子にし、一部の秘術を受け継がせたり、式神の一部を渡したりしているのだったか? 理由はそれだろうか。
「私の方が清明様を愛しているのに!」
……うん?
「清明様は妻を娶らぬと仰せだが、その次に近しいのは養子……つまり直弟子だ。同じ家から二人出た例はなく、このままではお傍に侍ること叶わぬ。千明には辞退するか消えてもらわなければ」
これもしかしてアレか? 清明が面倒な女に目をつけられているだけか?
なんだ、やつの問題ではないか。これこそ、ジジイが解決すべきことだろう。
「それは、なんだ。清明に直訴するのが良いのではないか?」
「祖に拝謁できるのは年始くらいだ」
恨みがましそうな彼女を見ながら溜息を吐く。
「つまり、お前の両親や兄はお前を応援して小娘を連れ戻そうとしているのか?」
「違う。あのクズたちは千明を本家筋の男に嫁がせて金をもらいたいだけだ」
彼女と小娘一家の思惑は違うらしい。
それならば、まぁ……やりようはあるか。
「それで、お前はあのジ……清明のどこが好きなのだ」
確かに顔は整っているかもしれんし、背も高いが、性格は悪いぞ。新しく妻を迎えるつもりはないらしいが、あっちこっちで適当に現地妻というやつを作っているとも聞くしな。第六天からも女にだらしないのは聞いている。京都の方では有名らしい。
それなりに良いところもあるらしいが、私にはその魅力がてんで理解できぬ。
「決まっている。顔と筋肉と圧倒的な呪力だ」
え。
「待て。それだけか?」
「何を言う。顔・筋肉・力。これを人は魅力というのだ」
「いや、何を魅力と呼ぶかはそれこそ人によるだろう。つまり、あれか? それが揃っていれば、相手は清明でなくともよいのか?」
「そうだ。しかし、この二十年の人生でそんな男は存在しなかった」
何を言っているんだこの女。
もしかして、小娘の姉も、ポンコツか?
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
千明の姉は千明とは違ったところのポン。




