保護者変更
それにしても、一応笑顔ではあるがこれは機嫌が悪い時の雰囲気だな。小娘は清明が笑顔でホッとしているが、これは放置すると面倒なやつだぞ。
「それで、外に呼び出すとは珍しいな。私も学園長から書類を受け取りたかったから構わないが」
「それならばよかったよ。千明も君の家に馴染んでいるようだね」
「まぁ、な」
小娘に向ける視線は、我が家に連れてきた時よりは柔らかいか。ホッとしているのかもしれんな。小娘自身も話しやすい雰囲気になったものだし、そういったことも関係しているかもしれんな。
「ところで、呼びだした理由なのだけどね。春清も監察期間中なのに、『問題を起こした娘をこのまま学園に通わせることはできない』なんて尤もらしいことを言って、千明を本家のできそこないに嫁がせようとしたんだ。まぁ、アレに千明はもったいないからね。当然、潰したけれど」
清明が口に出すのも嫌そうにするほどの縁談とは。
「学園の退学手続きも間一髪で止めたのだけど……かなり酷い成績でこのままだと普通に留年か退学だな、と」
「成績に関しては……そうだな。しばらく私と学園で面倒を見れば問題なく挽回できるだろう。……母親とやらが余計な真似をしていたようだが、小娘自身はかなり覚えが良い」
「そうか。では、やはりあの夫婦は共々処断した方がいいな」
こんなことを小娘の目の前で話してもいいものか、と小娘を見れば「よくわからない」とでも言うような顔をしていた。ああ、そうだ。こいつ、案外純粋培養娘だった。
「それで、千明の教育に関する権利を全て君に持っていてもらおうかと思ってね」
「親がダメでも祖父母やお前がいるだろう」
「アレを育てた人間を、信用できるものか。それに、僕はすでに手一杯だ」
このジジイも妖狐の子どもたちの保護をしているからな。それに加えて、今は現代の安倍家の正常化をしている。
納得はできないが、私の方が暇ではある。
「暇なので構わんが、条件がある」
「なんだい?」
「戸籍上はお前の娘にしておけ。これの家族が来ても面倒だから不審者として追い返す」
相手をしたくない。こっちはできるだけ家でのんびりしていたいタイプの吸血鬼だぞ。買い物も大抵は通販で済ませるタイプだぞ。知らんやつの相手とかこれ以上したいわけがないだろう。
「まぁ、僕もこれ以上才能ある若者に苦労させるのも忍びないからね。それくらいならいいよ」
普通の人間なら色々と制約も多いが、我々が関わると危険だからかもしれんが、融通が利く。言われるとしても、「その代わりに、大人しくしていてくださいね」「困ったときは力を貸してくださいね」くらいのものだ。あまり良くないことだとも思うが、私や清明のおかげで大人しくしている魔族や変異者は案外いるからな。これくらいの目溢しは仕方がないと考えられているのだろう。
「それで、千明の保護者変更の手続きのために呼んだんだ」
「なるほどな」
書類を渡されて、中身を確認する。その後に学園職員が入ってきたのは不備がないか確認するためだろう。
ついでに対魔武器の申請方法も聞いておく。すると、清明の顔色が変わった。
「まさかだけれど」
「ああ、小娘が持っていたのは燕丸という刀一本だったよ。良い刀ではあるのだが」
「……少し予定を変更しなくてはね」
察するのが早くて助かる。
それはそれとして小娘の学ぶ環境が整いそうなのは良いことだ。小娘の親に関しては清明がこれから向かうだろうから精々頑張ってもらうとしよう。
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