その8(side ルード)
ルード視点の昔話です。 ヤンデレ味あり
少し、無理をさせてしまったかなルードは規則正しい寝息を立てて眠る、妻の頭を撫でる。
シャルルは知らない、ルードが前魔王、現魔王に直談判して持ちかけた婚約・婚姻だと。
シャルルとルードはルードが男の子として会う前に一度、女の子の姿であっている。
それでも10年以上前であるからシャルルは忘れてしまっているのも無理はない。
「君が、私を救ってくれたんだよ」
そして、ルードは当時を思い出した。
ルードが子供っぽい喋り方をするのは、どちらにも慣れるようにした結果だ。
ルードはこの加護が嫌いだった。
男として生まれながら、女にもなれる。だから、諜報活動に向いている。
加護でしか見られていない気がしたのだ。
前魔王様は、そんな意思を尊重して二人だけの時に、
やりたくないなら、やらなくてもいい。他の好きなことをすればいい。
と言ってくださったが、父が許さないだろうなと同時に思った。
結果、ルードは家出した。
その時に幼いシャルルが家族とメイランとはぐれて、迷子になっていたのを見つけた。
『パパ、ママ、メイラン。どこー』
大粒の涙を流し続けるシャルルをなだめ、父に仕込まれた、情報誘導で特徴を聞き出す。
『じゃあ、一緒に行こうか』
『うん』
しばらく、聞き込みをするとそれらしい格好の人間を近くで見かけたと情報が入った。
『メイラン!』
ルードの手を離れ、メイドに激突する勢いで抱きつきに行くシャルル。
『グヘェ』
メイランの鳩尾に頭突きをかまして。メイランはお腹を痛める。
『もう、どこ行ってたのよ。シャルルを置いていっちゃダメなの!』
痛みで悶える、メイランを可愛らしく叱責するシャルル。
『アンタが自分でフラフラとどっかにいったんだろう、ちゃんと奥様と旦那様に叱ってもらうからね』
『えぇー』
『えー、じゃないよ』
主従の関係というよりは、親子のような歳の離れた姉妹のような会話をルードの目の前で繰り広げられた。
もう大丈夫か、とその場から離れようとしたとき、シャルルはこちらに話しかけた。
『お姉ちゃん!ありがとう!勇者様みたいでかっこよかったよ!あっ、けど勇者様は男の人だった』
ルードを形容できる言葉を必死に探すシャルル。
しかし、影で立てることを必然とされてきたルードにとってしてみればその言葉だけで十分だった。
純粋なお礼を言われた、笑顔を向けられた。
それがどんなに救いだったか。ずっと、ただ役にたつだけでいた私でも誰かを救えるのなら…
ルードは家出を中止して、父のもとにすぐさま駆け寄り、願い出た。
『私を徹底的に鍛え直してください』
願わくば、あの笑顔の似合う少女に自分の成長を見いてもらえるように。彼女の言ってくれたように誰かを助けられるように。
その後、父にお墨付きをもらい。シャルルと今度は婚約者として会った時、彼女は一目では私だとわからなかったようだ。
当たり前か、とわかっていたが少し悲しかった。
その後も秘密を明かせることなく、今日に至った。
前話にも出てきた前魔王は「はじまり」で言われていた、魔王、ご本人です。
本来は協定からすぐに辞めるつもりでしたが、周囲が強く反発したのと、その立場が必要だったから。結局20年くらい続けさせられました。
明日の更新は19時になります。




