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その4

そこから約2ヶ月は、離婚に向けて奔走(側からみれば、迷走)した。その間もシャルルは他の使用人たちからいつルードが帰ってくるのかを聞いたが、誰もが申し訳なさそうに首を横に振った。そして、ルードと話し合うことができぬまま離婚申請書が届く。

自分が書けるところを書いて、それを置いて部屋を出た。

回路をすでに組み込まれた魔術陣の描かれた札を落とす。

落ち切ったのを確認してから、シャルルはためらいなく、自室のバルコニーから飛び降りた。


「”レビテーション”」


地面に激突する前に言葉に魔力を込めてバレないように簡略詠唱を唱える。

ふわりと風が優しくシャルルを包み込み、落下の勢いを落とした。

トンと足が地面に着く。あとはこの屋敷から出るだけだ。メイランが待機している場所まで走ろうと足に力を込める。


「こんな時間にどこに行くのかな?」


この声は・・・

シャルルの血の気が引く。もちろんメイランではない。彼は今まさにシャルルがその縁を切ろうとしていた夫、ルード。

事前に今日はいないと聞いていたシャルルは驚きのあまり声を出せない。


「タレコミがあってね」


不敵に笑う、目の前の男が恐ろしく、まっすぐ前を見れない。

使用人の誰かが、異変に気づいてしまったのだろう。シャルルの逃亡は叶わなくなったという現実を打ち付けられ、腰が抜けた。

それにしても、ルードは逃亡計画に気づいていた上で泳がしていたの?

すでにシャルルを捕えるための包囲網ができており、事前に知っていなければこんなに速やかに行えるはずがなかった。シャルルに逃げ場はない。

ルードは固まっているシャルルを抱き上げて屋敷内へ入っていく。

その抱え方がまるで壊れものを扱うようで何年も妻に連絡を寄越さなかった本人には見えない。

シャルルは何が起きているのかわからずにただ唖然と口をポカリと開けて身をルードに任せるしかなかった。

レビテーション→空中浮遊の魔術

いわゆる、クッション代わり。永続するわけではない。


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