その3
メイランに引き剥がされたシャルルは、それでも涙を流し続ける。声を上げて泣かないというところは成長している。
メイランは「ちょっと、待ってろ」と言い残し、シャルルを置いて部屋を出た。
メイランが出ていった部屋で、シャルルはふと思った。
そういえば、メイランって私が赤子の頃からいるのよね?メイランっていくつなのでしょうか?
思考に耽っていると、メイランがティーカートにお菓子やお茶などのティーセットを乗せて戻ってきた。
メイランはさっと、白いテーブルクロスを近くのテーブルにかける。そして着々と小さなお茶会のようなセットを築いた。
お茶を目の前に出される頃にはシャルルの涙は引っ込んでいた。
「それで?どうしたんだ?」
優しい声色でメイランはシャルルに問う。シャルルは包み隠さず、ルードの部屋であった事を話した。
「つまり、ダンナ様が愛人を囲っているのがわかったから、離婚したいと」
メイランの周りを気にしない物言いがストレートにシャルルに刺さった。
「そうよ!だって、あんなに!あんなにスタイルの良い美女に私か勝てると思う!?」
シャルルはどちらかというと小柄で美しいというよりは、庇護欲を誘う方だ。
「いや、アタシは見てないから」
「そんなの、全男どもは愛人(仮)のほうに行くわよ!こんなちんちくりんな商家の小娘よりも良いわよね!!!」
メイランに凄み、自分で言っていて悲しくなったシャルルは怒りをぶつけるが如く、手元のお茶を一気に飲み干した。
この場にはメイランしかいないため、シャルルをとがめる者はいない。
「本気か?」
「本気と書いてマジと読むくらいに本気よ」
メイランはジト目でシャルルを睨んだ。
しかし、シャルルの決意は固い。メイランは大きなため息をつき、再びシャルルに向き直る。
「わかった、手伝おう」
「え!?」
まさか、メイランが賛成してくれるとは思わず、シャルルは、驚きの声を上げた。
「なんだ、手伝わなくてもいいのかい?」
「違う、違う!そうじゃなくて、メイドなら愛人くらい容認すればいいだろうって言ってきそうだったから。ほら、メイランって貴族の屋敷を転々としてたって聞いたし・・・」
だめだ、何言っても言い訳にしかならない。
シャルルは元からあったメイドへの先入観のせいで、メイランに対して失礼なことしか浮かばなかった。シャルルはメイドは子供ができるまで、あの手この手で策を巡らせるものとばかり思っていた。離婚などということは言語道断だと思ったのだが、メイランにはダメ元で行ってみたのと気が動転していたのもある。
「まっ、アタシはアンタは幸せになるべきだと思っているからね。メイドとしては失格でも、アンタの姉貴分としては当たり前だろ」
「メイラン〜」
結局、妹分に甘いメイランは嬉しくて抱きついたシャルルを思う存分好きにさせた。
シャルルはお菓子を全て食べたメイランを許すことにした。
初1,000文字を突破してしまいました。




