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Episode 6

 「イヒヒヒヒ!いっくでぇ、ノア!こいつが昨日考えた、やっばい必殺技やぁ!」

 マーチャは広がる熱波とともに大きく飛び上がり、頭上に掲げた手の上に大きな炎の塊を作り出した。部屋だったら5人はくつろげそうだ。

 そこから、炎の玉が何十個と飛び出して、ボクが立っているところを吹き飛ばしそうな勢いで、乱射してきた。

 「イヒッ!オシショー、見てはりますカァ!魔法が消されるっちゅうなら、消す暇もないほどに打ち込んでやろうって、えぇアイデアだと思わんかァ?」

 ボクは一つずつ炎を避けていった。最小限の動き、とまではいかないけれど、ここのところ、マーチャとソークにしごかれ続けたおかげで、かなり魔法を感知できるようになってきた。身体もそれについてきてくれている。

 「おぉ、ウチの必殺技を余裕綽々と避けていくなんて!やっぱり、ノア。あんたは最高やぁ。」

 「オシショーの次やけどなぁ!」と叫びながら、マーチャは残った炎を投げつけてきた。

 その向こう側から、一緒に迫ってくるマーチャの魔力を感じる。

 ボクは炎に手をかかげ、その動きを消した。

 静止して燃え盛る炎が壁になり、マーチャに隙ができるはずだ。ボクは拳に力を込め、マーチャの元へ回り込もうとした。

 しかし、予想は完全に外れてしまった。マーチャは炎など気にせず、そのまま真っ直ぐに突っ込んできた。

 慌ててそのお腹に拳を打ち込むも、うまく力が入らなかった。

 何もかも予想外なこの状況に、ボクはどう行動すべきか迷ってしまった。

 マーチャは両手の炎の剣を消し去り、体を後ろにそらしながら大きく息を吸った。

 「あ、」

 後悔が言葉になる前に、マーチャは口から吐き出す炎でボクの全身を包み込んだ。

 死なない程度に炎を消すのが精一杯だった。

 炎を吐き終わったマーチャは、肩で息をしながら、動けなくなったボクを見て笑った。

 「ふへぇ、やっぱりマーチャは強いなぁ。」

 ボクは何とか呼吸をしながらマーチャに顔を向ける。

 「あんたも、ここ1ヶ月で、よう強くなりおったなぁ。ウチ、惚れてしまいそうやわぁ。」

 マーチャが差し伸べる手を頼り、どうにか立ち上がる。

 「へへへ、ありがとう。でも、これもみんなのおかげだよ。」

 そう言って、駆け寄ってきたソークとウドーを見た。

 「うむ!こんなに強くなってくれて、ソーク様は心の底から誇らしいぞ!ふヒャヒャヒャ。」

 「さっきまで、『もうオレ、あいつらに勝てないかもしれない・・・』とか弱音を吐いてたくせに、何を言ってるんですか。」

 「そんなこと言ってねぇ!」と、ソークがウドーに蹴りを入れた。

 フンスと鼻息を荒げるソークに、マーチャが腕を絡めた。

 「ねぇ、オシショー?ウチ、まだまだ物足りんわぁ。ノアはちょっとボロボロやしぃ。えぇやろぉ?ソークぅ。」

 興奮したままで顔を赤らめているマーチャとは対照的に、ソークは真っ青になる。

 「お、いいじゃないですか。オシショーとやらの尊厳を見せつけるチャンスですよ。クフッ。」

 ソークはこっそりとウドーを睨みつけてから、マーチャに連行されていった。

 目の前の広場が一瞬にして炎の海と化した。

 「二人はすごいなぁ。あんなに強力な魔法をポンポンと使えちゃうんだもん。さっきだって、マーチャはボクに手加減してくれてたみたいだし。早く二人に追いつきたいよ。」

 「ちょ、そんなふうに言われてしまうと、ワイの立場がないですよ。あなたが来てからもう1ヶ月。あれからワイは微塵も強くなっちゃいません。」

 「そんなことは・・・あるかもしれないけど!でも、ウドーはボクたちに魔法のノウハウをたくさん教えてくれたでしょう?だから、ボクらの強さは、ウドーの強さだよ。」

 ボクはウドーに全力の笑顔を向けた。

 「あ、そうだ!今日も何か面白い魔法の話してよ!」

 「そうは言われても、ここのところ毎日のように話してますから、もうネタ切れですよぉ。まだ語っていない魔法については、知識不足ゆえ、まともに話せません。トホホ・・・。」

 ウドーはガックリとうなだれてしまった。

 「うーん、そっかぁ・・・。」

 しばらく視界いっぱいに荒れ狂う炎を眺めていると、ふと思い出したことがあった。

 「そういえばさ、空間魔法って知ってる?」

 「あぁ、一応それなりに知っているつもりですけど・・。あなたこそ、よく知っていますね。」

 「この前、レッジ先生の家を訪ねた時にテーブルの上の本に書いてあったんだ。中を見ても難しい言葉ばっかりだったからさ。頭のいいウドーなら、わかるように教えてくれる気がしたんだ!」

 「そこまで言われちゃぁ、語らないわけにはいきませんね。」

 ウドーはすっかり胸を張っていて、とても頼もしそうに見えた。

 「はぁ、でもコイツだって、空間魔法なんて見たことないんやろ?大丈かいな?嘘ふきこまれんか?」

 小言を言うミトコンの口を塞いで、ボクはウドーの語りを待った。

 「うぉっほん!空間魔法というのは、主にテレポートをするのに使われる魔法ですね。例えば、空間魔法が使えれば、ここから魔法学校まで、一瞬で移動することができるはずです。」

 「へぇ、すごく便利そうだねぇ。でも、いまいちピンとこないなぁ。」

 「ほぉ、ワイの話に疑問を持ってくれるなんて、珍しいですね。どうしたのですか?」

 頭に浮かんだことが中々、言葉にまとまらない。それでもウドーは静かに待ってくれていた。

 「そのぉ、ほら。最近、魔法の仕組みについて教えてくれたでしょう?魔器官が魔法粒子を、炎や音に変換できるって。それが魔法なんだって。じゃあ、空間魔法って魔法粒子を一体何に変換してるの?」

 「うーん、中々鋭い質問ですねぇ。実は現在をもってしても、それは解明されていないのです。」

 「でも、空間魔法は存在していたんだよね?」

 「その通りです。はるか昔に行われた、空間魔法使いに対する非道な実験の記録も残っています。それでもなお、わかっていないのです。ちょっとワクワクしませんか?」

 ウドーが顔を近づけてくる。どうやら、またテンションが上がってきたみたい。

 「ですが、先人たちはただ指を咥えていたわけではなく、たくさんの仮説を建ててきました。現在、有力な説は2つです!」

 ウドーは唐突に立ち上がり、炎の暑さをものともせず、高らかに語り続ける。

 「一つ目は、空間歪曲説です。この世界は、魔法粒子のような、小さな粒で構成されていると考えられています。この世界が前後・左右・上下の三次元の空間であることも、根本的な理屈は未解明ですが、ある種の粒子の働きによるものだとされています。」

 「ボクの身体もその粒子ってやつでできてるの?何だか実感湧かないなぁ。」

 「それは魔法小屋でも言ってましたよ!・・・まぁ、いいでしょう。空間の有り様を定義づける粒子にはたらきかけて、一時的に空間を作り直すことで抜け道を作り出しているのではないか、というのが空間歪曲説となっています。」

 「・・・よくわかんない!」

 ウドーは吹き出した。

 「ハハ・・。そう言うと思ってました。でも、もう一個は簡単ですよ。」

 そう言って、ウドーは紙を一枚取り出した。

 「僕たちは3次元空間に存在していますが、この紙の中に生息するような、2次元の生き物を想像してみてください。」

 ウドーは紙を丸めて輪っかを作った。

 「その生き物は紙の中しか動くことができないので、この円周の反対側に移動したければ、ぐるっと回ってこなければいけません。」

 ウドーの指が紙面をぐるっと半周する。

 「ですがもし、その制限を打ち破って、ここをまっすぐ抜けることができたら?そのうえ、この何もないところが、僕たちの世界にある抵抗、すなわち、空気抵抗や重力、摩擦といったものがないとしたら?」

 ウドーは指で紙を貫こうとしていたが、うまくいかなかったみたいだった。くしゃくしゃになった紙をカバンに突っ込んで、咳払い。

 誰も何も言わなくなってしまった。気まずさに耐えられず、ボクから話すことにした。

 「お、おぉ。なんかわかる気がする!早く移動できそうな気がしてくるよ。」

 「えぇ、その通りです。この考えをワイらの空間でも考えてみます。ワイたちが認識してないだけで、前後・左右・上下の他にもう一つの方向があって、そちらへ動くことができればこの何もないところを通ることができるんじゃないでしょうか?」

 「なるほどねぇ。でも、そんな4つ目の方向なんてあるのかなぁ?」

 「この説では、4つ目の方向へ向かうのに、何かしらの空間的な障害があると考えられています。その壁をこじ開けるのが空間魔法なのではないか。それが、もう一つの説、4次元の壁説となっています。ちなみに、5つ以上の方向があると主張する、多次元の壁説なんていうのもあるんですよ。」

 ウドーはすっかりペースを取り戻していた。

 「ふぅん。でも、4次元の方向なんて、全く想像できないなぁ。」

 「ワイらは3次元に慣れきってしまっていますからね。この感覚を消し去れない限り、理論より正確に4次元を理解することはできないでしょう。」

 「・・・そういえば、前に、『スピードを上げる魔法』っていうのを教えてくれたよね。」

 「えぇ、そうですが、それがどうしたのですか?」

 脳を包み込むように、頭に手を当てた。目を瞑り、頭の奥に意識を向ける。

 「スピードを上げる魔法があるなら、ボクは逆にスピードを下げることが、あるいは止めることができるよね?というか、前にソークとの試合で近いことやったし・・・。それで、3次元と思い込むアタマを止められるのなら・・・。」

 「理論上はそうなるかもしれませんが、何が起こるかわかりませんよ?やめといた方がいいと思いますが・・・。」

 段々と外の音が聞こえなくなってくる。身体の感覚が少し、また少しとボヤけだした。

 時折浮かんでくる記憶が、輪郭を失っていく。

 身体がゆったりと回りだした。回ったのは世界の方かもしれない。

 真っ暗な世界に、七色にゆらめく虹の波が、キラリ、キラリとそこらじゅうで鳴っている。

 炎の艶やかな匂いに釣られ、立ち上がった。

 身体の隅々へと広がる時間の芳醇な粒が心地よい。

 世界は無限だった。無限になった。

 ・・・・・・・。

 しばらくして、ボクはようやくボクを思い出した。

 そして、急に不安になった。

 そこらで爆ぜる虹の波に、縋るように近づいた。

 ボクは触れた。波は霧散し、欠片が世界に溶け出した。

 怖い。

 幾度と虹の波に触れても、ただ消えるだけ。

 その行動に意味はない。それでも、「この世界」は美麗に輝く。

 繰り返しの到達点。何かに隔たれたその向こう側、虹の波を見つけた。

 見えない何かがボクを阻んだ。それを迷うことなく消し去る。

 突如、身体の外も、内も、余すことなく撫で回されるような感触がした。

 途端に記憶が鮮明になる。ボクと世界が分断される。

 そこは、ただ真っ暗だった。



 「おい、ジィさん!さっさとしろよ。広いところでやろうって言ったのはあんただろう?」

 「ふぉっふぉっふぉっ、少しはか弱い年寄りを労ってくれんかのぉ。」

 オレはレッジと山の奥へと向かっているところだった。

 「何言ってんだよ。あんだけごちゃごちゃした山道を登ってきったていうのに、ピンピンしてるじゃねぇか。」

 実際、レッジは呼吸が全く乱れていない。遅れているのはその歩みが遅いのではなく、「お、珍しい植物が生えてるのぉ」とか言って、何度も脇道に逸れまくっているからだ。

 「そういうお前さんは、少し息が乱れてるのぉ。これでも食うか?」

 そう言って差し出されたのは、目がチカチカするように黄色いキノコだった。

 「うわっ、何だよその、いかにも身体に毒って感じのキノコは・・・。ほら、ここの柄なんて、インクレムに見えて不吉だぜ。」

 「おや、コレを知らんのか。ふぅむ、ワシが若い頃は、研究と講義のてんてこ舞いでフラフラになった時に、よくお世話になったもんじゃがのぉ。」

 レッジは少しつまらなさそうに、背中のリュックにキノコを放り投げた。

 その後もレッジの道草に何度も足止めされながらも、どうにか目的の場所に到着する。

 「いやぁ、着いたのぉ。ちょっと前に、ここでお前さんが奇声を上げていたのが懐かしいのぉ。」

 「懐かしむほど前じゃねぇし、そもそも懐かしがりたいようなことでもないだろ。いいから、始めようぜ。」

 目的は、魔法粒子を完全に重ね合わせてみること。

 例の理論を提唱するレッジの助手曰く、成功すればでかい爆発が起こるらしい。だから、こんなとこまで来たんだ。

 空中に佇む魔法粒子に意識を集中する。そのうちの二つばかりを見繕って、徐々に近づけていった。

 「おぉ、魔法粒子が集中してきてるのぉ、ノゾムよ。がんばれ、がんばれ。」

 「うるせぇ。ジィさんよぉ、ちょっと集中させてくれ。」

 順調にふたつを近づけることができそうだと思ったのも束の間、ある距離から急激に斥力が大きくなってくる。

 無理やりくっつけようとするも、少し距離を縮めただけで、急激に反発が大きくなっていく。

 「クソッ、もう無理だ、!」

 力を抜いてしまった。二つの魔法粒子は一気に弾け飛び、木や岩に小さな凹みを作った。

 「チクショォ。やっぱりそう簡単にはいかねぇか。」

 木の凹みを睨みつけながらそうぼやくと、そのずっと向こうが火の海になったのが見えた。

 「お、おい、ジィさん!あれ、ヤベェんじゃねぇか?早く消しにいかねぇと。」

 「落ち着けぃ。よく見るんじゃ。単にマーチャがソークに遊んでもらっているだけじゃろうて。お前さんが集中している間だって、ノアのやつがマーチャにボコボコに負けておったぞ。ふぉっふぉっふぉっ。ほんとに元気じゃのぉ。」

 木々の隙間から見える炎の海は、あちこちで激しく渦巻いている。

 はるか遠くにいるはずのオレを、今にも飲み込んでくる気がしてならない。

 思わず手が震えてくる。ノアはあんな奴らとやり合ってるのか・・・。

 「これ、集中せんか。」

 レッジはそう言いながら、オレの頭をこづいた。オレが睨みつけてやるよりも早く、レッジは続けた。

 「ホレ、もっかいやってみぃ。次はできるかもしれんじゃろぅ。」

 全身の力が抜けてしまい、オレはいつの間にか座り込んでいた。

 「ハハ、もういいかなってカンジ?ちょっとやそっと爆発させたところで、あれにはかなわねぇだろうよ。オレはその程度だったってだけだ。」

 レッジがどんな顔をしているか、見たくなかった。

 地面にポタポタと水が滴り落ちる。

 「ふむぅ、お前さんが強くなろうと、ワシはどちらでも構わん。やめてしまうことに、反対する気はない。ただ、お前さんはワシの助手じゃろう?ちょっと今から、ワシの実験に付き合ってもらおうか。」

 「ヘッ、こんな役立たずが助手とは、人手不足も甚だしいぜ。まぁ、好きにしろよ。」

 レッジはオレの後ろに回り込んだ。

 「ではノゾムよ。まず顔をあげんか。そんでもって、さっきのようにその辺の魔法粒子を動かしてくれ。ただし、一つで構わん。」

 オレは返事を返すことなく、すぐ目の前の魔法粒子に意識を集中し、それを気の向くままに、動き回らせた。

 「ちょっと速すぎる気がするが・・・、まぁえぇわい。ところで、そのカタマリなんじゃが、ちょいと大きすぎやしないかね。もう少しばかり、魔法粒子の数を減らせんかのぉ?」

 思わず息を呑んだ。よく考えると、魔法粒子は目に見えない程度には小さい。さっきできた凹みの大きさを踏まえると、最初に扱っていた塊は、どんなに甘く見積もっても、何万もの粒子が含まれていたはずだ。

 レッジは何も言わずに、ただ後ろに立っている。

 オレは操っている魔法粒子の塊に意識を集中させた。少しずつ、外側にある魔法粒子を支配から解放していく。

 「クソッ、頭いてぇ・・・。」

 こんなに集中しているのは初めてかもしれない。自分が呼吸を止めていたことに気づかないでいた。

 息を吸い込むと、一緒に吐き気が訪れてきた。

 「お、おぃ、ノゾムや。そんなに無理せんでもえぇぞ。何も今日中に終わらせにゃならんことでも・・・。」

 「うるせぇ!もう少しなんだ!」

 呼吸の音が身体中に響き渡る。頭の中がキリキリ疼き出した。

 魔法粒子の塊は既に目に見えないだろうサイズに到達。でも、まだ小さくできる。

 しかし、縮小は止まった。

 小さすぎて、どこをひっぺがせばいいのかがわからない。

 「ノゾムよ。お主はよく頑張った。今日のところは帰ろう。お茶でも飲んで、ゆったりせんか?」

 レッジの言葉が頭に響く。それはたちまち、「無理」のに文字に変わっていった。

 再び身体に力が入らなくなり、地面に身体を預ける。でも、今はちょっと満足している。

 ふと、魔法粒子の塊に目を向ける。

 脳裏に、見たことのない光景が浮かび上がってきた。

 オレは今、自分の作った魔法粒子の塊の中にいる。

 そこら中に、もやのような、煙のような、何かが漂っている。

 その一つに手を伸ばす。それに触れると、指先の一点に、瞬く間に集まりだして、小さな粒になってしまった。

 小さな粒を握り締め、それを遠くへと投げた。

 「おい、ノゾム!ノゾム!しっかりせぃ!ノゾム、ノゾム!」

 レッジの声でオレは現実に引き戻された。

 「急に意識がなくなるもんじゃから、驚きすぎて一緒にぶっ倒れるかと思ったわい。さぁ、今日はもう帰ろう。」

 レッジの手を借りて立ち上がりながら、ふと、先ほどの魔法粒子の塊が気になった。

 それはまだオレの支配下にあった。

 さっきの夢を思い出す。すると、どうしてかオレは、さらに魔法粒子を減らすことができた。

 ここまでの苦労が嘘のように、次々と魔法粒子を引き剥がしていく。そしてついに・・・。

 「おい、ノゾムや。何をしている。また倒れられたら敵わん。さっさと・・・。」

 レッジは言い終える前に、腰が抜けてしまったのか尻餅をついた。

 「よぉ、ジィさん。なんか、できちまったわ。」

 オレはたった一つの魔法粒子を手の中でグルグルと回転させた。

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