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Episode 5

 意識を失っていたことに気がつき、慌てて起き上がった。

 ソークたちが何かを真剣に話しているのが見えた。

 「うぅん、やっぱりソークの負けというか、えぇ。少なくとも勝ちとは言えないような・・・。」

 「おい、ウドー。はっきりしやがれ!先に起き上がったのはオレだ。だからオレの勝ちだろう!な?」

 ソークがウドーの肩を乱暴に揺さぶっている。

 「ですから、ソークはノアの一撃を喰らって倒れてしまいました。そして、その数秒後にノアが倒れました。先に倒れたのはあなたです。」

 「うぉぉぉ!オレが負けちまったって言いてぇのかぁ?!あのへなちょこパンチを喰らっただけじゃねぇか!」

 「でも、それで意識を失ったのは確かでしょう。こればかりは、擁護できませんよ。」

 ソークの肩に手を置いた。ソークはすごい剣幕で振り返ってきたが、途端に怯えるような表情を見せる。

 「えへへ、すごくいい勝負だったね。後もう少しでソークに勝てそうだったのに。惜しかったなぁ。また力をつけたら、相手をしてくれると嬉しいな!」

 ソークは妙にマヌケな顔になった。何かおかしいことを言ってしまったのかな。

 「お、おう!お前も中々やるようになったな!修行をつけてやった身としては、実に嬉しいぞ。ふヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 「いやいや、ソーク何を言ってるんですか。素直に・・・アイタッ。」

 急に上機嫌になったソークは突然、ウドーを軽くごついた。

 「ま、どちらにせよ。アンタ、ノアいうんやっけ?オシショーをあそこまで追い詰めるなんて、やりなはるなぁ。ウチ、強い人、好きなんや。オシショーの次くらいに気に入ったわぁ。」

 そう言って、マーチャがボクの顔を撫で回す。まだ腫れぼったい頬が少し痛かった。

 「ん?それってワイよりもノアの方が上ってことですか?」

 「ウドーやぁ、何当たり前なこと言ってますのん?あんた、一度でもオシショーをあれほどまでに追い詰められたことあったかねぇ?」

 「まぁ、それはそうですけども・・・。」

 「安心しろウドー。オレはお前に力なんてハナから期待してねぇ!お前は頭がいい。それに探索能力もバツグンときた。それ以上は欲張りってやつだぜ。」

 ウドーはソークに背中を思いっきり叩かれた。

 「ヘヘヘ、まあそんなことは今はいいんです。ワイはノアの使った能力の正体が気になってしょうがない。あの、炎を削り取る様、何度振り返っても、何が起きたかわかりません。ソークが『魔法を消された』なんて言った時は、とても信じられませんでしたが、なるほど、あれはそうとしか言い表せません。」

 ウドーが鼻息を荒げながら近づいてくる。

 「えっと、ボクも良くわかっていないんだけれど、なんか、魔法が消せるみたい。」

 「なるほど、なるほど、なるほどですな。実に興味深いですねぇ。もっと詳しいことはわからないんですか?」

 さらにウドーが迫ってくる。目が若干血走っている。

 「確か、魔器官?が逆だって言ってた気がするなぁ。全然わかんないけど。」

 「このアホンダラァ!」とミトコンが顔に蹴りを入れてくる。そんなに痛くないけど少し傷つく。しょうがないじゃないか、難しすぎるんだから。

 「ふぅむ、つまりは、魔法として発生しうる現象を魔法粒子にするということですか?実に、じ・つ・に、興味深いですねぇ。」

 「でも、それだけじゃぁ、何の攻撃もできないんじゃないんかねぇ。さっきの戦いもオシショーが勝手にパワー切れを起こしているようにも見えたわぁ。」

 「いやいや、最後のあのノアのパンチ!あんなに暴力的な魔法はそうそうありませんよ!あれは意識を消したのです。ノア、合っていますか?」

 「えっと、ごめん、よくわからない。」

 つい、頭を軽く掻いた。ボクの話なのに、何だか少しばかり申し訳なくなってくる。

 「まあ、でもぉ。あんな虫も倒せそうもないパンチでソークを倒したんやろぉ?こんなかんわいい子がオシショーを気絶させるほどビビらせるとか、考えられへんやん。それしかないんやないかなぁ?」

 マーチャがボクの頬で遊びながら言った。

 「えぇ、ワイもそう思います。それに、この本によれば、人形に意識を与えることのできる魔法の使い手が昔にいたそうです。魔法で与えることができるのならば、その逆ができることはおかしくはないのでしょう。もっとも、どんな影響があるかは未知数ですが・・・。」

 ウドーがチラリとソークを見た。ソークは腕を組んで難しそうな顔でウンウン唸っていた。

 「そうか。つまりここまでの話をこのソーク様が理解できていないのは、ノアにやられたせいだってことなのか?!」

 「いえ、それは元からでしょうから、安心してください。」

 ウドーはソークに思い切り殴られた。



 「なぁ、ジィさん。どうだ?そっちはなんか見つかったか?」

 「ハァ、ノゾムよ。お前さんも、ちょっとは自分で探してみてはどうかね。」

 「そうしたいのは山々だけどよぉ、ちょっと難しすぎるぜ。ていうか、こんなの読めるヤツなんて、ここらじゃアンタくらいしかいないんじゃねぇの?」

 オレたちは魔法粒子についての文献を片っ端から読み漁っていた。

 「あれほど魔法小屋で勉学に励めと、幾度となく伝えてきたというのに・・・。ワシは悲しいぞ。」

 「だーかーらぁ!こんな難しいの、魔法マニアのウドーだってわかんねぇだろ!」

 「ウドー?あの子なら、ちょくちょく本を借りにきてるわい。この前だって、ちょうどお前さんが持ってる本を読み終えたらしいぞ。」

 改めてその本の中をパラパラと眺めてみる。

 「『空間魔法における魔法粒子のはたらきとその再現の模索』、ねぇ。空間魔法って、アレだろ?ワープしたりできるヤツ。そんなのおとぎ話じゃねぇか。頭が良すぎるあまり、一周回ってバカにでもなっちまったのか?」

 「ふぉっふぉっ。おとぎ話か・・・。しかしな、ノゾムよ。ワシが小さい頃には、空間魔法の使い手がチラホラおったんじゃ。」

 「え、マジ?」

 思わず本を閉じてレッジの方を見た。

 「あぁ、マジじゃ。しかしのぉ。ある日を境に、ワープしたっきり帰ってこなくなってしまったんじゃ。間違えて危険なところにワープしてしまうことは稀にあれど、どうしてか全員、帰ってくることがなかったんじゃよ。」

 「で、そんな危なっかしいものを再現しようとするやつがいたってことだろ?やっぱり頭のいいやつってのは、頭オカシイぜ。」

 「まぁ、なんだかんだ言って便利だったからのぉ。昔は空間魔法のおかげで昔は遠くの国との交流が盛んだったんじゃが、それもパッタリなくなってしまった。向こうでも同じことが起こったんじゃろうなぁ。」

 「・・・今じゃ想像もつかないな。」

 「あぁ。あの事件のせいで、家族や恋人が離れ離れになってしまったなんてザラじゃった。それくらい、本当に盛んに交流があったのじゃ。もっとも、もうかなり昔の事件じゃ。今さら復活させたところで、もはや何の意味もなかろう。お前さんの言うとおり、危険極まりないからのぉ。」

 改めて本の中身を眺めてみる。内容はやっぱりよくわからなかった。

 もう本をしまおうとしたところで、著者の名前の一つが目についた。それはレッジの名前だった。



 ウドーがいろんな魔法について語り始めてから、いったいどれくらいが経っただろうか。

 つまらないわけではないんだけれど、難しい上に量も多い。もう最初の方に何の魔法を言ってたかわからなかった。

 「ふぁぁ・・・。ウチ、そろそろ限界やわぁ。それに今、溜まってきちゃってしょうがないんやぁ。なぁ、ソークぅ、もう十分休めたやろ?ちょっと発散させてぇや。」

 「またかよ。最近多くねぇか?まあ、いいぜ。ソーク様のパワーについて来れるよう、せいぜい気張るんだな!」

 そういって、マーチャはソークを引きずって、ボクたちから離れていった。

 「溜まる?ねぇ、二人は何しにいったの?」

 「まぁ、速い話がケンカですねぇ。普通は魔法を使わないでいると、身体に魔法粒子が溜まっていってしまうんです。放っておいても勝手に体外に排出されるので問題はないのですが、量が多くなると何だか身体がムズムズしてくるんですよ。要するに、魔法を使いたくてしょうがなくなるってことですね。」

 マーチャたちが向かった方向から、巨大な火柱が上がった。

 「というか、ノアもあれだけの魔法を消して魔法粒子が溜めているのであれば、何となく感覚が想像できるのでは?」

 「うーん、ムズムズするって言うより、何だか息苦しいかな。もっと詰め込むと、全身がビキッと痛くなって、動けなくなっちゃうし、その感覚はよくわからない。」

 「なるほど・・・。それはきっと、魔法粒子がキャパオーバーしてしまったというところでしょうか。そうそう。最近、『魔法粒子を限界まで詰め込んだらどうなるか』なんていう実験記録を読みました。恐ろしい実験でしたよ。強い戦士を作るという口実は素晴らしいものの、実験対象など単なる道具のように扱う、当時の非情さ、倫理観の無さが垣間見えるものでした。ブルルル・・・。」

 「そ、それで、魔法粒子を詰め込まれたらどうなっちゃたの?」

 秘密をこっそりと伝えるよう、ウドーは恐る恐る続きを語る。

 「先ほどノアが言っていたのと同じように、一定量を超えたところで、誰もが全身の痛みを訴えました。そして直ちに意識を手放してしまいます。それほどまでに強烈な痛みだったらしいです。」

 ウドーは大袈裟に、これ見よがしに震え上がりながら、続きを話す。

 「研究者たちは、ここで意識を失わないとどうなるのかと、無理やり被験者を起こします。そして魔法を使うよう指示したのですが、被験者はそれに従いません。被験者があらゆる手段で痛めつけられても魔法を出さないことから、ここでようやく、魔法が一時的に使えなくなってしまうという結論に至ったそうです・・・。」

 「ち、ちなみにさ。そこからさらに魔法粒子を詰め込むとどうなっちゃうの・・・?」

 「えぇ、残酷な研究者たちが、そのことを疑問に思わないわけがありません。実際にやってしまいました。結果、身体の特定部位が破裂してしまったそうです。ある人は腕が、ある人は腹が。目玉が吹き飛んだ人もいました。まあ、これのおかげで魔器官等の存在の予測、発見に至ったので、現代の魔法理論の恩恵を受けている以上、ワイらは彼らの研究を愚直に批判できないのが、なんとも・・・。」

 「ひぇぇ、おそろしいねぇ。じゃあ、ボクは苦しくなったら魔法を使わなければいいんだね!」

 「まあ、そうなりますが・・・。ちゃんと話聞いてました?」

 「うん!」

 「そ、そうですか。」と、ウドーは頭を抱えてしまった。



 「ノゾムや、お前さん、最近、明るくなったのぉ。」

 「ん、そうか?あんまりピンとこねぇけど。まあ、こんな陰気じみたとこに通い続けてんだ。何かしらは変わんだろ?」

 レッジのところに通い出してから、1ヶ月は経っただろうか。

 正直にいうと、ものすごく変われた気がする。昔からの癖で嫌な物言いが出てしまうが、レッジはいつもそれを笑い飛ばしてくれる。

 「ふぉっふぉっふぉっ。それもそうじゃなぁ。して、ここのところ調子はどうかの?」

 「あんた、毎日それ聞くけど、面白いのか?まあ、いいや。今日はこの『魔法粒子の圧縮について』って本を何となく理解しかけてるってカンジ?」

 「ほぉ、何が書いてあったんじゃ?」

 オレは思わずため息が出た。

 「あのなぁ、これの著者、ジィさんじゃねぇか!ほれ、ここにあんたの名前が書いてある!」

 「ずいぶん昔のことだから忘れてしまってのぉ。ふぉっふぉっふぉっ。」

 「ったく、よく言うぜ。まあ、しょうがねぇから教えてやるよ。」

 オレは立ち上がり、いつものように隣の部屋から移動式の黒板を引っ張り出してきた。

 そして当たり前のようにお茶が用意されている。レッジはすごく楽しそうだ。

 「えっと、まずオレたちは魔法を使うときに、魔法粒子が欠かせない。だから、魔法粒子がたくさん蓄えられるほど、魔法をよりたくさん使えるようになる。」

 「そうじゃのぉ、プロタンティスがいれば魔法粒子が倍増するようなもんじゃが、もっと魔法をブッ放したいとなれば、当然の帰結じゃ。」

 「ジィさん、なんかオレの口調が移ってきてねぇか・・・。」

 レッジはずっと楽しそうだ。このニヤケ顔がオレにも移りそうなくらいに。慌てて咳払いで誤魔化して、続きを話すことにした。

 「魔法粒子は勝手に溜まってはいくが、魔法粒子が多くなるほど、体外へ漏れ出す粒子も多くなっていく。結果、魔法粒子は一定量しか体内にとどめることはできない。」

 黒板に何か書こうとしてみる。しかし、レッジがやっているようにうまくいかない。オレは書いたものにグチャグチャと上書きしてから、また続きを話す。

 「これを解決する技術が『圧縮』だ。体内の魔法粒子を押し込めることで、体外に漏らすことなく新たな粒子を詰め込むことができるようになる。これは昔から強い戦士が無意識的にやってきたことだ。というか、誰でも体内の魔法粒子はそれなりに操れるんだから、大なり小なり、圧縮自体はできる。」

 「そうじゃのぉ。ワシも講義を真面目に聞かないバカモノどもに負けんと、老体に鞭打って圧縮、がんばってたのぉ。」

 「何、すっかり引退したみたいな物言いしてんだよ。もう少ししたら次の年代の講義が始まんだろ?」

 「ふぉっふぉっふぉっ。そうじゃったのぉ。それで、続きはどうなっているのかな。もっと色々書いてあるじゃろうて。」

 「ヘイヘイ、えぇっと・・・。」

 本をパラパラとめくり、思い出しかけている記述を探した。

 「お、あったあった。『では、より強い力を求めんと、更なる圧縮をするとどうなるのであろうか。圧縮は上限なくできることなのだろうか。』」

 「ふぅむ、そのまま読むのは、ちょっといただけないのぉ。」

 「しょうがねぇだろ。言ったろ?まだ『理解しかけてる』ところだって。」

 「別に細かい数式まで再現しろとは言わん。全体の流れをぼんやりと唱えられれば十分じゃ。実際に魔法を使うときに、いちいち計算してたら、効率が悪かろう?」

 そう言って、レッジは本を取り上げてしまった。

 「あぁ、もう、わかったよ!まず、圧縮は反発する魔法粒子同士を、精密な操作で無理くり抑える行為だ。だから、魔法粒子の操作がめっちゃ上手くなれば、理論上ではいくらでも圧縮ができる!でも圧縮を極めるほどに、その操作技能の向上に対して圧縮できる粒子量は大して変わらなくなっちまう。それで、ある程度圧縮をマスターしたら普通に魔法そのものを鍛えた方が割に合う・・・っていうのがあんたの結論らしいぜ。」

 「そういえば、そんなこと書いたのぉ。実に懐かしい。」

 「とりあえず、理解してんのはこんな感じだ。ちゃんと数式も追えるようになったらまた次の本に行ってみようと思ってる。」

 カップに手を伸ばすと、お茶はすっかり冷めてしまっていた。一気に飲み干すと、レッジはおかわりを入れてくれた。

 「ところでノゾムよ。どうして圧縮の練度の伸びは、魔法粒子の操作技能の向上に対して、その変化が緩やかになっていくんじゃ?」

 「それだって本に書いてあるだろうよ。反発力が魔法粒子どうしの距離の2乗だか3乗に反比例するからだろ?」

 「その通り。では、その距離が0になってしまったら。どうなると思う?」

 「ゼロ?そんなのありえねぇだろ?全く同じ地点に2つも粒子を置けるわけねぇだろ。」

 「そうじゃのぉ」と言いながら、レッジはテーブルの上の容器から角砂糖を取り出し、それを指で砕いた。

 「これは少し前から、助手の一人が唱え出した理論の話じゃ。」

 レッジはオレのカップに砂糖のかけらを二つ投げ入れた。

 「ホレ、よく見てみぃ。二つの波はところどころで重なり合ったり、打ち消しあったりしているものの、それぞれはただ我が道を進んでいるだけに過ぎん。砂糖のかけらは別々の場所に落としたが、これが全く同じ場所に落としたとしても、話は同じじゃ。波は同じ場所に、互いの波そのものには干渉せずに存在できる。」

 レッジは残りの砂糖を、またオレのカップに入れた。液面の至る所で波紋が生じ、それぞれが勝手に消えていく。

 「まさか、魔法粒子は波でした、なんて言い出すつもりか?どう考えてもおかしいだろ。オレたちは魔法粒子を体内である程度操作してるんだぜ?一体、波そのものをどうやって操作しろって言うんだよ。」

 「まあ、最近に出始めたばかりの理論じゃから、もしかしたら根本的に間違っているかもしれん。」

 「・・・でも、正しいかもしれないとでも言いたいのか?」

 「まあ、そうじゃな。この説を提唱し出したヤツも、バカではない。ワシもまだまだ納得できていない面が多いとはいえ、信用する価値はある。」

 「あんだけの本を書いたジィさんにそこまで言わせるとは、とんでもねぇヤツだな。それじゃあ、明日は魔法粒子は波だと信じ込んで、やってみるかぁ。」

 「ふぉっふぉっふぉっ。偉大な先人たちができなかったことを平然と『やってみるかぁ』とは、何と舐め腐ったクソガキじゃ!」

 オレは甘ったるくなったお茶を飲み干して、立ち上がる。

 「さて、そろそろオレは帰るぜ。ごちそーさん!」

 部屋を出る直前、ふと思い出して、レッジに聞いた。

 「あ、そうだ。結局、距離がゼロになったらどうなるんだ?」

 レッジは妙に真面目な顔になって、唸り出す。

 「わからん。ワシが積み重ねてきた理論では、距離がゼロになるとは、ゼロで割ることを意味する。すなわち、わしの持つ知識を総動員したところで、それが可能であったとしても、全く予測ができないんじゃ。」

 「そうかよ」と言って立ち去ろうとしたところで、レッジが何かを言い出した。

 「じゃから、明日。お前さんが前人未到の偉業をこの目に焼き付けてくれるのが楽しみで仕方がない。」

 思わず口角が緩む。

 「へっ、明日までおっちんじまわないように、せいぜい気張っとくんだな。」

 レッジに背を向けたまま、オレは立ち去った。

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