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皇軍、青森防衛~神軍到来2~

 横須賀海軍基地/第二軍港

 

 大型揚陸艦『そらなみ』。本来は大陸反攻作戦に参加する部隊を送り届けるために建造された艦だが、重慶防衛線が突破され大陸から人類が全滅したことで出番がないままとなった。

 本来なら今回の防衛線には使えないのだが、日米が共同開発した汎用兵器。俗にロボットと言われるものだ。制式には人型汎用兵器又は二足型機動兵器。名称『タケミノカヅチ』全長約20m、全幅5m総重量は20t。その特性には戦車ではできない脅威的な踏破性と多様な攻撃オプションである。その代わり、一機での攻撃力はさほど高くなく、数機で一隊を組まなければならない。そして一番やっかいなのがその特異な機体のせいで生産と整備が、その他の兵器に比べ困難であった。

 この機体を運ぶのに適した輸送機が少なく、全機を一度に運べないからである。

 その『そらなみ』には人型兵器と人員、補給物資や整備車両などが積み込まれていた。他にも大型一隻、小型三隻、特殊型二隻が停泊していた。そちらには海兵旅団が乗り込む予定だ。

 横須賀の海兵第二旅団本部ビルの最上階に位置する会議室に主なメンバーが集まっていた。軍港を一望できるこの部屋で、輸送艦の艦長と副長、主な部隊長と副長が一同に顔を揃えている。並べられているパイプ椅子に座り正面を見据えている。正面には旅団長と参謀長そして白燕進が肩を並べていた。旅団長の善次郎は全員が揃ったのを確認するとホワイトボードの前に立ち、指揮棒である一角をさした。そこには青森の地図が貼り付けてある。

 「我々海兵第二旅団は横須賀から特別遠征打撃艦隊の輸送船で八戸はちのへ港に上陸します。その後、部隊は八戸駅から装甲輸送列車に乗り東北本線で弘前駅へと向かい、そこで部隊を展開させます。既に配った資料は見たと思いますが、そこが最前線であり今のところ唯一の防衛戦です。展開している部隊も正規部隊は殆どいません。幸い、敵の上陸が本格的でないのが救いですね」

 善次郎が自分の席に戻ると換わるように参謀長が前に出た。

 「今回の敵は主にヨーロッパ戦線で出現した俗に『神の軍勢』である。この中には米軍の海兵隊と共に戦った者もいると思うが、残念な事に我が皇軍に関していえば戦闘経験は皆無である。対応策や注意点に関しては国連を介して既に全軍に伝わっているが、実戦は訓練とは違うのと同じである。現場では学兵が未熟ながらも皇臣民を守護すべく乾坤一擲の精神で奮闘している。しかし、装備でもろくに与えられていない学兵は、その命を散らしている。今の防衛線もそのような状況下のため一刻も早く正規部隊がいかねばならない。だが、九州防衛に気をとられた上層部の失態で正規部隊の殆どが九州・中国方面に配備したため、今すぐ向かえる部隊が皆無に等しい。そんな中、我々海兵第二旅団は全力投入が可能な状態である」

 海兵第二旅団の参謀長は旧軍の影響を濃く受けていて、毎回演説を行うことが通過となっている。その為、海兵の兵は慣れたもので寝息をたてているものもいる。善次郎の目配せを受けた個人副官が参謀長に駆け寄る。参謀長は「コホン」と咳をたて、仕切り直す。

 「いささか、脱線したが。先ほど旅団長からもあったように八戸に上陸、装甲列車で弘前へと向かいそこで現地の部隊と合流し防衛線の強化に努める。また、今回の作戦に我々の部隊に加わった人型兵器部隊『タケミノカヅチ』には現地に着き次第、第三中隊と共に偵察任務に出てもらう。また、この部隊は新設されたばかりで、今回の出撃には試験も含まれている。上からの要望で無理はしないように」

 参謀長の新設の言葉に士官の中から「新米か」と言った愚痴が聞こえたが、進はあえて無視した。多分、第三中隊の士官だろ。

 

 

 

 

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