表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

白い蝶

 近々顔をださねばなるまい、と考えながら日当たりのよい畑がつらなる道を歩いていたときだ。



 むこうから、白いちょうちょうがひらひらととんできた。

 あたたかいこの季節には、めずらしくもなんともないその生き物が、ジョウカイには気にかかる。



 

 ――― どうにも、あれは・・・・



 笠をもちあげて見送った先には、さきほど抜けてきたにぎやかな集落がある。


 しばしののち、ジョウカイは踵をかえした。

 

 

 



 

 

 街道筋のひらけた場所で、宿場としてにぎわうそこには宿屋の呼び込み女たちがそこかしこに立ち、客の袖をひいていた。


 ジョウカイの身なりをみれば、手にした鉢に施しは入れてくるが、声はかけてこない。

 

 どうやらこのあたりの坊主は、まじめにおつとめをしているらしい。


 場所によってはまっさきに目をつけられて袖を引かれることがある。

 そういう地の坊主たちは酒も女もすすんで『くう』、ジョウカイよりもひどい坊主であったりする。

 



 ひらひらと二階建ての宿の軒をかすめてとぶちょうちょうは、ジョウカイにしか見えていない。

 欄干に身をのりだす泊まり客の顔の前を通っても、誰も目で追わない。

 

 ふいに、気配を感じたジョウカイがふりかえると、なんと、むこうの辻をわたる《白い蝶》を目にする。

 

 


  ――― まだ、ほかにいるか・・・

 


 迷ったが、先に会ったちょうちょうをおいかける。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ