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坊主と白い蝶のはなし  作者: ぽすしち


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18/22

命をけずる


「旦那は、本物の人か」


「はい」


「おまえの正体を存じておるか?」


「・・・きっと・・」

 オトイはうつむいた。


 二人で逃げる時、自分の正体を告げようとしたオトイの声は、ムラヤマシモンにのまれ、しばしの熱の交換のあとに、「ききたくは、ないのだ」と言われてしまったのだ。

 オトイの正体は、聞きたくない、と。

 そして、何者であってもよいと。



「旦那の病は?」


「人の病でございます。血を、吐くという・・・」

 はじめ、シモンが倒れたときは、同胞の術かとも疑ったが、すぐに誤解はとけた。


 心配した仲間が、人の体に良いとされる食べ物や薬を次々に届けてくれた。シモンは床の中で、人よりもよほど情が深い、とうすく笑った。


「その旦那に、なぜ、あの薬をのませた?」

「・・・・・・」


「病で弱った体では、よけいに命をけずるというものだ」


 わかっておろう、というのに、オトイはうなずき、おもわず、―― 笑ってしまった。


「おかしいか?」


「はい。―― おかしゅうございます。・・お坊様、あたしの旦那は・・・あたしのことを、それこそ、《命かけて》、好いてんですよ」


「おぬしと駆け落ちする時点で、じゅうぶん命がけだとおもうがな」


 坊主の言葉にまた別の笑いがこみあげた。



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